2000年、「このミステリがすごい」の海外作品部門1位となった「極大射程」の映画化。
例によって、日本版「このミス」は結構読んでいるのですが、海外版はあまり読んでいないので、このたび初めて知ったという情けない話です。
アメリカにとっての敵が東側でなくなってしまったので、アメリカは自らの国の権力とか、格差でとてつもなく成長した複合企業などを敵とし始めたように思えます。
そのようなものに従うのではなく、自分の中に正義をもち、自らのルールに従う、そのようなニューヒーローが求められているのかも知れません。
ジェイソン・ボーンもそのような一人でしたね。
罠にはまり、銃撃され、普通なら失血死するような傷を負い、大統領狙撃犯の濡れ衣まで着せられてしまうスワガー。
そのサバイバルがすごい!
何しろあのような場合、一番重要なのは絶対に生き抜くのだ、という強固な意志だと思います。
その気持ちの有無が生死を左右する。
この絶望的な場から、どのように抜け出すのか、生き抜くのか、彼の置かれた孤独な立場からするととても無理のように思えるのですが、そこを生き抜く圧倒的な勇気・力・そして技術でしょうか。
このあたりにちょっと感動してしまいました。
自分も含めて、現代人はひ弱。
このような強さにはちょっとあこがれてしまうのですね。
この中でいいなあと思うのは、FBIの新米捜査官、ニック・メンフィス。
はじめの罠の狙撃現場近くにいて、スワガーにのされて取り逃がすというドジな役どころです。
大統領を狙ったはずなのに実際に撃たれて死んだのはエチオピアの司教。
スワガーの経歴を調べるうちに、彼の腕で、狙撃を仕損じるはずがない、とスワガーの無実を信じ、自らのFBIの立場も捨てて、スワガーと行動をともにすることになるのです。
ぎこちないながらも、結構役に立つ奴。
お得な役どころですよね。
最後はアメリカ版必殺仕事人とでも言いましょうか・・・。
狙撃って怖いですよね。2キロ先から撃たれたら、本人も何がなんだか分からないで即死。
防御しようがないというか。
それにしては彼らはあまりにも無防備という気もしますが。
でも、このような映画を見て、持つべき感想ではないかも知れませんが、あまりにも簡単に人が死ぬ・・・。
確かに、本人も、ヒロインも、友人も助かりました。
一応ここでは「悪」とされる人物たちはお約束のように死にました。
でもその間にどれだけの人が撃たれ、爆撃を受けて命を落としたと思います?
確かに、一般人は死んでいないかも知れないけれど・・・、プロならいいのか?
ほとんどは、スワガーが狙撃犯といわれ、命令に従っただけの人たち。
確かに強くてかっこよくて、面白かったんだけれど、こういうシーンに慣れきってしまってはいけない気がする。
この手の映画でそれをいうのは野暮。分かってはいながらもね・・・。
それはさておき、なかなか渋めのこのニューヒーローは、シリーズ化になるのでしょうかね。
ぶつぶついいながら、やっぱり見に行くんだろうなあ・・・。
2007年/アメリカ/125分
監督:アントワン・フークア
出演:マーク・ウォールバーグ、ダニー・グローバー、マイケル・ペーニャ、ケイト・マーラ
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