「風信子(ヒアシンス)の家」 篠田真由美 東京創元社
神代教授の事件簿、ということで短編集です。
桜井京介のシリーズの姉妹作、ということになりますが、この作品は、そのシリーズが始まるより少し前1991年6月から1992年2月という設定。
だから、この神代教授の家には蒼と、京介も同居中で、もちろん登場します!
深晴も、当然出てきます。
桜井京介ファンなら、これは読まないではいられません。
蒼は、まだ少し不安定な少年。かわいいっ!
この中で好きなのは、やはり表題作の「風信子(ヒアシンス)の家」でしょうか。
ある日神代教授に届けられた家屋の立体模型。
「君にこの謎がとけるかな?」というメッセージ。
そこには記名もされているのに、彼には覚えがない。
神代教授は自らの記憶を探り始めます。
どうやら学生時代の知り合いのようだけれども・・・。
ようやく解きほぐした記憶の中には意外な真実が隠されていました。
ちょっぴりくすぐったくて、切ない真実。
人の気持ちは不思議です。
さて、いつもなにやら、質素だけれどもグルメなこの登場人物たち。
おでんの作り方について、こんな一節がありました。
「まかしとけって。
出し昆布は水につけてきたし、こんにゃくは下茹でしてアクを抜いてある。
後は揚げ物を油抜きして、大根は米のとぎ汁で柔らかくして、全部をでかい鍋でゆっくりじっくり煮込むだけさ。
じゃがいもは溶けないように、しばらく水につけておいたやつを後から入れて、味つけは塩と醤油とみりんを少しばかり。
薄味に仕上げるのがコツだな」
これは神代教授のセリフ。
おいおい、簡単そうに言うけど、家庭でこれだけ出来れば、すごいんじゃないかな。
というか、私が大雑把過ぎるのでしょうか。
ダシこそ、化学調味料は使わないようにしていますが、うちでは全て一緒にぶち込んで煮てしまいます。
こんな丁寧な下ごしらえなんかしません・・・。
世間の皆様は、これが普通なのでしょうか・・・???
我が家の食生活ももう少し考えなくては・・・と、反省してしまうな。
寒い日にコタツに入って、みんなでこんな丁寧に作ったおでんをつつくなんてのは、最高ですね!