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映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

しゃべれども しゃべれども

2007年06月10日 | 映画(さ行)

東京の下町。その下町情緒を背景に落語をテーマとして、ホロリとくる味がよく出ています。
邦画はたまにしか見ないのです。
国分太一君のファンというわけでもない。
でも、テレビで見たCFのほんの一シーンで、彼が見せる一瞬の真剣なまなざしになんだか心引かれて、見てみました。

国分太一演じる今昔亭三つ葉は、うだつの上がらない二つ目の落語家。
その彼が、なぜか「話し方を習いたい」という3人に落語を教えることになります。
無愛想で口下手な十河。
関西弁の少年、村林。
元プロ野球選手で、解説をしてもうまくいかない湯河原。

伝えたいことがあっても、なかなかうまく言葉で伝えられない。
そんなことってよくありますよね。
言葉をうまく使える人をうらやましく思うことがあります。
ここに登場する十河さんなんか代表的に、言葉がうまく使えない。
だからこそ、自分がしゃべったことを聞いてもらえて、きちんと受け止めてもらえたら、とてもうれしいのです。
落語を出来るようになることと、うまく人と話せるようになることは、ちょっと違うんじゃないかな・・・、
と、思いながらも、でも、するすると言葉が出て、それで笑ってもらえたら、それは一つの自信となって、次には自分の言葉が出るのかもしれない。
この人たちにとっては、落語そのものよりも、集まるたびにいいたいこと言い合って、それが自信になったような気もしますが・・・。

さて、この映画では国分君の落語家としての演技がどうのこうのではなくて、本気で、「落語」を楽しんでしまいました。
マジで、国分君の落語を一本通しで聞いてみたいです。
下っ端の落語家というと、ややひょうきんな人物を想像するのですが、さにあらず。
普段からきもの姿、古典落語一筋、図書館通いで勉強も怠らない努力家で、一途な性格です。口が悪くて、喧嘩っ早いというのもいかにも江戸っ子っぽい。
伊東四郎演じる師匠を尊敬していて目標にしている。
けれども、何かいま一つ欠けていて、そこから上にいけないでいる。そんな状態。
第一印象の、「真剣なまなざし」、は、やはりそのままで、なんかいい感じでした。
それと、国分君の立ち居振る舞いがきれい。
踊りの稽古のシーンなんかもありましたが、あんな感じで、動作の一つ一つにも気を配っているのが分かります。座布団を片付けるシーンでさえ、動作がきれい。
まあ、こんなことは映画にも出てきませんが、彼のおばあさんがお茶の先生という設定なので、きっと、彼も茶道をたしなむに違いない。そんな想像さえしてしまいました。

その江戸っ子がプロポーズをするとどうなるのか・・・、
という答えがラストにあります。
あまりにも急で、さりげなくて、え?今のはもしかして、プロポーズ?と考えてしまうほど。まあ、そんなのもありですかね。思ったことはすぐに伝えなければね!

ともあれ、ほおずき市に浴衣姿。浅草界隈の映像、なかなか美しく、ラストのゆずの曲もぴったりで、ほんわか気分で、映画館を出ることが出来ます!!
この公式サイト、すごく映像がきれいなんで、ぜひご覧ください。

2007年/日本
監督:平山秀幸
出演:国分太一、香里奈、森永悠希、松重豊、八千草薫、伊東四郎

「しゃべれども しゃべれども」公式サイト