台湾で、野球にかけた青春

* * * * * * * * * *
実話に基づく台湾作品。
知られざる熱き物語です。
1929年、日本統治下の台湾。
嘉義農林学校(通称嘉農)の弱小野球部に
日本人近藤(永瀬正敏)が監督として就任します。
近藤は「甲子園を目指す」という目標のもと、
生徒たちに厳しい練習を課します。
近藤は日本で野球監督をしていたのですが、うまく行かず、
その道を絶つ形で台湾に渡ってきていたのです。
彼は、めちゃくちゃだけれどパワフルで天真爛漫な子供たちの何かに
動かされたようでもありました。

その野球部は日本人と漢人、そして台湾原住民の混合チーム。
これが意外とそれぞれの民族の特性を活かして良い構成になっているのです。
厳しい練習に耐えた彼らはメキメキと力をつけて、
31年には台湾予選大会で優勝。
ついに目標の甲子園の土を踏みます。
そしてそこでも次々と勝ち続けてついに決勝戦!!
2回戦で対戦したのが、札幌商業で、
そこのピッチャーが本作の紹介役のような役割で登場するのが、
北海道民としてはちょっとウレシイところ。
太平洋戦争前夜の社会は、
なんだか人々が皆パワーにあふれて感じられます。
台湾では日本語教育がなされていて、
台湾作品でありながらほとんどが日本語。
実際は現地の方には鬱屈した思いもあったのだろうと思うのですが、
本作をみる限りは、生徒たちの中には民族の壁も偏見もなし。
そしてまた、本筋とは関係はないのですが、
水利技術者八田與一(大沢たかお)が登場。

彼はダムを作り、台湾でも、今も知らない人はいないくらいに敬愛されていた人物だそうです。
日本統治下・・・などと聞くと
暗く抑圧された状態ばかりがイメージされてしまうのですが、
現地の人々にとって悪いことばかりではなかったようなのが、
なんだか救われる感じがします。

本作では、甲子園に来た彼らに、
一人の新聞記者が心ない言葉を投げつけるシーンがあるだけで、
特別差別的なことは描かれていません。
だからこそ本作、3民族の融和などというテーマ性は殆ど無くて、
単純に野球に青春をかけた熱き若者たちの物語に仕上がっているところが、
素直に心に響いてきます。

作中、農業の教師が「大きくて立派なパパイヤの実らせ方」を
子供たちに説くところがあります。
根もとに釘を打つと大きく立派な実をつけるという。
そうすると近くに植えた釘を打たない木も大きく立派な実をつける・・・。
なにそれ?!
若干微妙な挿話に思えたのですが、
その意味が最後の決勝戦でよーくわかりました!
185分という大作。
でも全然長く感じなかった、感動の物語。
松坂桃李さん似のツァオ・ヨウニンくんもカッコ良かった。

「KANO 1931海の向こうの甲子園」
2014年/台湾/185分
監督:マー・ジーシアン
出演:永瀬正敏、坂井真紀、大沢たかお、伊川藤東吾、ツァオ・ヨウニン
熱血度★★★★★
歴史発掘度★★★★☆
満足度★★★★★

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実話に基づく台湾作品。
知られざる熱き物語です。
1929年、日本統治下の台湾。
嘉義農林学校(通称嘉農)の弱小野球部に
日本人近藤(永瀬正敏)が監督として就任します。
近藤は「甲子園を目指す」という目標のもと、
生徒たちに厳しい練習を課します。
近藤は日本で野球監督をしていたのですが、うまく行かず、
その道を絶つ形で台湾に渡ってきていたのです。
彼は、めちゃくちゃだけれどパワフルで天真爛漫な子供たちの何かに
動かされたようでもありました。

その野球部は日本人と漢人、そして台湾原住民の混合チーム。
これが意外とそれぞれの民族の特性を活かして良い構成になっているのです。
厳しい練習に耐えた彼らはメキメキと力をつけて、
31年には台湾予選大会で優勝。
ついに目標の甲子園の土を踏みます。
そしてそこでも次々と勝ち続けてついに決勝戦!!
2回戦で対戦したのが、札幌商業で、
そこのピッチャーが本作の紹介役のような役割で登場するのが、
北海道民としてはちょっとウレシイところ。
太平洋戦争前夜の社会は、
なんだか人々が皆パワーにあふれて感じられます。
台湾では日本語教育がなされていて、
台湾作品でありながらほとんどが日本語。
実際は現地の方には鬱屈した思いもあったのだろうと思うのですが、
本作をみる限りは、生徒たちの中には民族の壁も偏見もなし。
そしてまた、本筋とは関係はないのですが、
水利技術者八田與一(大沢たかお)が登場。

彼はダムを作り、台湾でも、今も知らない人はいないくらいに敬愛されていた人物だそうです。
日本統治下・・・などと聞くと
暗く抑圧された状態ばかりがイメージされてしまうのですが、
現地の人々にとって悪いことばかりではなかったようなのが、
なんだか救われる感じがします。

本作では、甲子園に来た彼らに、
一人の新聞記者が心ない言葉を投げつけるシーンがあるだけで、
特別差別的なことは描かれていません。
だからこそ本作、3民族の融和などというテーマ性は殆ど無くて、
単純に野球に青春をかけた熱き若者たちの物語に仕上がっているところが、
素直に心に響いてきます。

作中、農業の教師が「大きくて立派なパパイヤの実らせ方」を
子供たちに説くところがあります。
根もとに釘を打つと大きく立派な実をつけるという。
そうすると近くに植えた釘を打たない木も大きく立派な実をつける・・・。
なにそれ?!
若干微妙な挿話に思えたのですが、
その意味が最後の決勝戦でよーくわかりました!
185分という大作。
でも全然長く感じなかった、感動の物語。
松坂桃李さん似のツァオ・ヨウニンくんもカッコ良かった。

![]() | KANO~1931 海の向こうの甲子園~ [DVD] |
ウェイ・ダーション,チェン・チャウェイ | |
アニプレックス |
「KANO 1931海の向こうの甲子園」
2014年/台湾/185分
監督:マー・ジーシアン
出演:永瀬正敏、坂井真紀、大沢たかお、伊川藤東吾、ツァオ・ヨウニン
熱血度★★★★★
歴史発掘度★★★★☆
満足度★★★★★