海底の密室。緊迫感が続く。

* * * * * * * * * *
本作、さほど話題には上がっていなくて、
私もジュード・ロウ主演でなければ見なかっただろうと思えるのですが、
それがあなた、意外と面白かったのです。
潜水艦を舞台とするサスペンス・アクションです。
海洋サルベージの専門家として潜水艦で長年働いてきたロビンソン(ジュード・ロウ)は、
突然会社から解雇を言い渡されます。
失業し途方に暮れているロビンソンに、ある情報が舞い込みます。
第二次世界大戦中、莫大な金塊を積んだドイツのUボートが
グルジア沖で沈没し、未だに深海に眠っているというのです。

ロビンソンはディーゼルエンジンのおんぼろロシア製潜水艦を使い、
ロシア人・イギリス人の荒くれ男12人で急ごしらえのチームを結成し、
金塊獲得に挑むことに。

しかしいずれも食い詰めた一癖も二癖もあるメンバーたち。
儲けは平等に山分けとの話に、
人数が減れば一人分の分前が増えるなどと考えるものが出始める・・・。
そしてまた、ようやく金塊を見つけはしたものの、
艦の運航が危機的状況に・・・。

何しろ、異様な緊張状態がずっと続きます。
潜水艦というのはもう、逃げ場のない密室なので、ただでさえ怖いですよね。
しかもものすごい年代物なんでいつ故障しもおかしくない。
その上、人物関係がまた異常な緊張感をはらんでコワイ、コワイ・・・。
しかし、金塊と命を秤にかければ、やっぱり命のほうが大事。

通常、主役で艦長という役割が振られていれば、
真っ先に金塊を捨て、生命維持を優先するのではないでしょうか。
ところがこのロビンソン、
別れた妻が連れて行った息子を取り戻すために何としてもお金が欲しかったのです。
だから、かなり無理をしてしまった・・・。
幾つか、生還のための選択肢があるのですが、
その都度彼は金塊の方を優先してしまうのです。

でもそんな彼にも歯止めがあります。
それは18歳のトビン(ボビー・スコフィールド)という唯一若いメンバーがいること。
彼は潜水艦乗りとしては全くのド素人だったのですが、
とにかく急場で人員が必要だったため、
つい思いつきのように仲間に加えてしまったのです。
18歳というのが保護意欲を持つのにぎりぎりくらいの年齢ですよね。
それより年下ならばそもそも潜水艦のメンバーは無理。
それ以上なら一人の大人として自分の身は自分でなんとかしろ、ということになる。
自分とほかの奴らはともかく、トビンだけはなんとか無事に返したい、
ロビンソンにはそんな思いもあるわけです。

そしてまた実際むくつけきオジサンたちばかりなので、
私たちは若いトビンについ感情移入してしまう。
そういうところで本作は人員配置が非常にうまくできているのです。
そしてまたラストがいい。
ハッピーエンドではないのですよ。
でも、このラストこそにジュード・ロウを充てた意味があるような・・・。
エンディングロールも余韻をかみしめ、立ち上がる気には全然なりません。

さて、それにしても、ジュード・ロウのこういう役は珍しい。
薄くなった頭髪を惜しげもなくさらし、
肉体労働者らしく体重もかなり増やしたそうですが、
確かにがっしりしている。
タフなジュード・ロウ。
全然イメージダウンではありません。
これもまた悪くないなあ・・・。
ブラック・シーはその名の通り「黒海」のことですが、いかにも不吉な感じ。
まさにぴったりでした。
「ブラック・シー」
2014年/イギリス・ロシア/115分
監督:ケビン・マクドナルド
出演:ジュード・ロウ、スクート・マクネイリー、ベン・メンデルソーン、デビッド・スレルフォール、ボビー・スコフィールド
緊迫度★★★★★
ジュード・ロウの魅力度★★★★☆
満足度★★★★☆

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本作、さほど話題には上がっていなくて、
私もジュード・ロウ主演でなければ見なかっただろうと思えるのですが、
それがあなた、意外と面白かったのです。
潜水艦を舞台とするサスペンス・アクションです。
海洋サルベージの専門家として潜水艦で長年働いてきたロビンソン(ジュード・ロウ)は、
突然会社から解雇を言い渡されます。
失業し途方に暮れているロビンソンに、ある情報が舞い込みます。
第二次世界大戦中、莫大な金塊を積んだドイツのUボートが
グルジア沖で沈没し、未だに深海に眠っているというのです。

ロビンソンはディーゼルエンジンのおんぼろロシア製潜水艦を使い、
ロシア人・イギリス人の荒くれ男12人で急ごしらえのチームを結成し、
金塊獲得に挑むことに。

しかしいずれも食い詰めた一癖も二癖もあるメンバーたち。
儲けは平等に山分けとの話に、
人数が減れば一人分の分前が増えるなどと考えるものが出始める・・・。
そしてまた、ようやく金塊を見つけはしたものの、
艦の運航が危機的状況に・・・。

何しろ、異様な緊張状態がずっと続きます。
潜水艦というのはもう、逃げ場のない密室なので、ただでさえ怖いですよね。
しかもものすごい年代物なんでいつ故障しもおかしくない。
その上、人物関係がまた異常な緊張感をはらんでコワイ、コワイ・・・。
しかし、金塊と命を秤にかければ、やっぱり命のほうが大事。

通常、主役で艦長という役割が振られていれば、
真っ先に金塊を捨て、生命維持を優先するのではないでしょうか。
ところがこのロビンソン、
別れた妻が連れて行った息子を取り戻すために何としてもお金が欲しかったのです。
だから、かなり無理をしてしまった・・・。
幾つか、生還のための選択肢があるのですが、
その都度彼は金塊の方を優先してしまうのです。

でもそんな彼にも歯止めがあります。
それは18歳のトビン(ボビー・スコフィールド)という唯一若いメンバーがいること。
彼は潜水艦乗りとしては全くのド素人だったのですが、
とにかく急場で人員が必要だったため、
つい思いつきのように仲間に加えてしまったのです。
18歳というのが保護意欲を持つのにぎりぎりくらいの年齢ですよね。
それより年下ならばそもそも潜水艦のメンバーは無理。
それ以上なら一人の大人として自分の身は自分でなんとかしろ、ということになる。
自分とほかの奴らはともかく、トビンだけはなんとか無事に返したい、
ロビンソンにはそんな思いもあるわけです。

そしてまた実際むくつけきオジサンたちばかりなので、
私たちは若いトビンについ感情移入してしまう。
そういうところで本作は人員配置が非常にうまくできているのです。
そしてまたラストがいい。
ハッピーエンドではないのですよ。
でも、このラストこそにジュード・ロウを充てた意味があるような・・・。
エンディングロールも余韻をかみしめ、立ち上がる気には全然なりません。

さて、それにしても、ジュード・ロウのこういう役は珍しい。
薄くなった頭髪を惜しげもなくさらし、
肉体労働者らしく体重もかなり増やしたそうですが、
確かにがっしりしている。
タフなジュード・ロウ。
全然イメージダウンではありません。
これもまた悪くないなあ・・・。
ブラック・シーはその名の通り「黒海」のことですが、いかにも不吉な感じ。
まさにぴったりでした。
「ブラック・シー」
2014年/イギリス・ロシア/115分
監督:ケビン・マクドナルド
出演:ジュード・ロウ、スクート・マクネイリー、ベン・メンデルソーン、デビッド・スレルフォール、ボビー・スコフィールド
緊迫度★★★★★
ジュード・ロウの魅力度★★★★☆
満足度★★★★☆