浮き上がってくる巨悪
* * * * * * * *
検屍官シリーズの新刊です。
いつものように多忙を極めるスカーペッタの元に送られてきた遺体。
それはセントラルパークで発見された若い女性。
ジョギング途中で襲われたらしいというのですが・・・。
目撃者などの証言から得た犯行時間と
スカーペッタの検死結果による推定死亡時刻が一致しない。
この事件の真相は・・・?
ところがこの事件は、このストーリーのほんの導入部に過ぎません。
一方、スカーペッタの夫、法精神医学者ベントンは、やっかいな患者を退院させたところ。
そんな時、スカーペッタ宛てにある荷物が届けられた。
それを持ってエレベーターに乗った彼女は、
その荷物が異様な匂いを放っていることに気がつき、愕然とする。
これは何か危険物なのではないか・・・!
いろいろな不明な出来事が、ある一つの巨悪の存在をあぶり出して行きます。
それはかつてベントンを非常に苦しめた、あの・・・。
いつものようにスリルたっぷりの展開と、
お馴染みの登場人物たちの人間模様に魅了される作品でした。
前作でもそうでしたが、近年はICTが犯罪者側にも警察側にも
非常に大きな位置を占めています。
私には理解不能な言葉も多々。
これを描く著者も大変だろうなあ・・・などと、余計な心配をしたりします。
ルーシーのこうした技術はすばらしくて実に便りになるのですが、
犯罪者側にこういう人物がいないとは限らない。
最先端のICTも両刃の刃なんですね。
作品中、スカーペッタがスマートフォンを紛失するのです。
これはルーシーにほとんど無理矢理持たされたモノなのですが、
いちいちパスワードを入れるのがあまりにも煩わしいので、
スカーペッタは暗証番号を解除してしまっていたのです。
このスマートフォンが悪意ある人物の手に入ったとしたら・・・。
非常に恐ろしいですね。
彼女のケータイに入っているその情報の量も、質も、並大抵の人の比ではない。
現代を生きる私たちは、
嫌でもこのような情報の氾濫に対処する責任と覚悟が必要なんだろうなあ。
一昔前にはそんな心配をしたこともなかったのに・・・。
ベントンとマリーノが、いつまでも反目し合っているのがちょっとおかしい。
当のスカーペッタは、そんな二人を半ばあきれて見守っています。
でも、この辺がこのシリーズの楽しいところなので、
そう簡単に和解してもらっても困ります・・・。
そしてこの作品で、過去からの因縁に一応ケリがつくのですね。
そういう意味では記念的な作品になると思います。
「核心」パトリシア・コーンウェル 講談社文庫
満足度★★★★★
スカーペッタ 核心(上) (講談社文庫) | |
池田 真紀子 | |
講談社 |
スカーペッタ 核心(下) (講談社文庫) | |
池田 真紀子 | |
講談社 |
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検屍官シリーズの新刊です。
いつものように多忙を極めるスカーペッタの元に送られてきた遺体。
それはセントラルパークで発見された若い女性。
ジョギング途中で襲われたらしいというのですが・・・。
目撃者などの証言から得た犯行時間と
スカーペッタの検死結果による推定死亡時刻が一致しない。
この事件の真相は・・・?
ところがこの事件は、このストーリーのほんの導入部に過ぎません。
一方、スカーペッタの夫、法精神医学者ベントンは、やっかいな患者を退院させたところ。
そんな時、スカーペッタ宛てにある荷物が届けられた。
それを持ってエレベーターに乗った彼女は、
その荷物が異様な匂いを放っていることに気がつき、愕然とする。
これは何か危険物なのではないか・・・!
いろいろな不明な出来事が、ある一つの巨悪の存在をあぶり出して行きます。
それはかつてベントンを非常に苦しめた、あの・・・。
いつものようにスリルたっぷりの展開と、
お馴染みの登場人物たちの人間模様に魅了される作品でした。
前作でもそうでしたが、近年はICTが犯罪者側にも警察側にも
非常に大きな位置を占めています。
私には理解不能な言葉も多々。
これを描く著者も大変だろうなあ・・・などと、余計な心配をしたりします。
ルーシーのこうした技術はすばらしくて実に便りになるのですが、
犯罪者側にこういう人物がいないとは限らない。
最先端のICTも両刃の刃なんですね。
作品中、スカーペッタがスマートフォンを紛失するのです。
これはルーシーにほとんど無理矢理持たされたモノなのですが、
いちいちパスワードを入れるのがあまりにも煩わしいので、
スカーペッタは暗証番号を解除してしまっていたのです。
このスマートフォンが悪意ある人物の手に入ったとしたら・・・。
非常に恐ろしいですね。
彼女のケータイに入っているその情報の量も、質も、並大抵の人の比ではない。
現代を生きる私たちは、
嫌でもこのような情報の氾濫に対処する責任と覚悟が必要なんだろうなあ。
一昔前にはそんな心配をしたこともなかったのに・・・。
ベントンとマリーノが、いつまでも反目し合っているのがちょっとおかしい。
当のスカーペッタは、そんな二人を半ばあきれて見守っています。
でも、この辺がこのシリーズの楽しいところなので、
そう簡単に和解してもらっても困ります・・・。
そしてこの作品で、過去からの因縁に一応ケリがつくのですね。
そういう意味では記念的な作品になると思います。
「核心」パトリシア・コーンウェル 講談社文庫
満足度★★★★★