goo blog サービス終了のお知らせ 

映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

シャッターアイランド

2010年04月18日 | 映画(さ行)
嵐の孤島に封じ込められた秘密



              * * * * * * * *

舞台はちょっと古い1954年。
濃い霧の中に浮かび上がるフェリーの映像から物語は始まります。
米連邦保安官のテディ・ダニエルズとその相棒チャックが、ある島に向かうところ。

その島には、犯罪者用の精神病院があり、
そこに収監されたレイチェルという女性が忽然と姿を消してしまったという。
その謎を探るべくやってきた2人なのですが、
テディには別の目的があったのです。
それは、自分の妻子が亡くなった火事に関わりのある
アンドルー・レディスという男を捜すこと。
何もかも怪しい島の様子、職員たち。
おりしも島には大嵐が迫っていて・・・・




ラストの衝撃的事実という売り。
マーティン・スコセッシ監督とレオナルド・ディカプリオの名コンビネーション。
ミステリアスな冒頭シーンに、
仰々しすぎるほどに盛り上げる音楽。
嫌が応にも期待は高まってしまうのですが・・・、
結局、ちょっと肩すかしを食らった感じです。
確かに、ムードはよかったのですが。
映画好きを自称する方なら、この結末は予想できると思います。
細部までは考えは及びませんが、何となく構図は想像がつく・・・。
というか、それしかないでしょう。
これは「衝撃的結末」とか、「脳にだまされるな」とか・・・、
そういう方面のPRが行きすぎたと思います。
もっと普通のミステリを装ってくれた方が、
ラストで、「え?これってこういう映画だったのか・・・!」と驚くことが出来たのに。




赤狩りやロボトミー手術とか、
二次大戦後の記憶もまだ生々しいところで、ナチスのユダヤ人収容所のこととか
・・・こういう時代背景がとてもよく生きていましたね。
そしてまた嵐の孤島は、ミステリには定番のシチュエーションなので、
実によくできた作品ではあると思うのですが、
返す返すも宣伝の仕方が失敗でした。


私たちは自分で理解しがたい物が“怖い”のですよね。
だから幽霊も怖いけれど、狂気も怖いのです。
通常の理性でははかりしれないから・・・
エイリアンもこわいけれども、
人間と同じ思考の仕組みや感情があるとわかれば、さほど怖くはない。
・・・・というところで、「第9地区」に行ってみよう!

2010年/アメリカ/138分

監督:マーティン・スコセッシ
出演:レオナルド・ディカプリオ、マーク・ラファロ、ベン・キングスレー、ミシェル・ウィリアムズ、エミリー・モーティマー