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映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

「Story Seller 2」 新潮社ストーリーセラー編集部

2010年04月01日 | 本(その他)
好きなところから読もう

           * * * * * * * *

Story Seller〈2〉 (新潮文庫)

新潮社

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新潮文庫の「Story Seller」アンソロジー第二弾。
前巻に引き続き豪華メンバーで、
一番気になったのは近藤史恵さんの自転車ロードレースストーリーなのですが、
やはりつい手にとってしまいましたね。


その近藤史恵「レミング」は、
チーム・オッジの石尾・赤城がそこはかとない友情を育てていく過程のストーリー。
これまでの自転車ロードレースのストーリーファンとしては、やはりおいしいところです。
何者かが石尾を陥れ、エースの座から引きずり下ろそうとしている。
石尾はチームの皆から特に好かれたり信頼されたりというわけでもないのですが、
赤城はちょっと気になっていて、いつになく不調らしい石尾にお節介をやく。

「そんなことをするから、石尾係だって言われる」
「言いたいヤツには言わせておけ」

う~ん、いい会話ですね。
三浦しをんが喜びそう・・・。



有川浩「ヒトモドキ」は、ゴミ屋敷に住む叔母さんの話ですが・・・
前巻も彼女の作品はどうも好きにはなれなかったのですが、これもやはりだめでした。
こういう路線の話は、どうもだめみたいです・・・。
こういう題材で、何を言いたいのか、よくわからない。
これならベタ甘ストーリーのほうがいい。



伊坂幸太郎「合コンの話」
さして長いわけでもないのですが、
読み切るまでに切れ切れに妙に時間がかかってしまったので、
なんだかよくわかりませんでした・・・。
いったいどこが面白かったんだ???



米澤穂信「リカーシブル――リブート」
親同士の結婚によって姉弟となった血のつながりのない二人。
意地悪くてきつくてシニカルな姉ハルカ。
そのためなんだか物語の雰囲気が寒々しいのですが、
読んでいるうちに、ハルカは表面で装っているほど悪くはないと思えてきます。
個性的なこのストーリーは、もう少し先まで読んでみたい気にされられました。
続くのかなあ???



本田孝好「日曜日のヤドカリ」
この本では一番好きでした。
小学生の弥生という娘を持つ真澄と結婚した「俺」。
弥生さんはとても大人びていて、この父娘の会話は「ですます」体の丁寧語。
でも、それはよそよそしい訳ではなくて、なんだかとても温かい。
この言葉使いだけをみると弥生さんはいかにもおとなしげなのですが、
実はカッとくると男の子を殴ったりもしてしまう直情家。
実はこの父も同じで・・・似たもの同士だったんですねえ。
この微笑ましい父娘が、ある日曜日、
同窓会へ出かけた「おかあさん」が実は駆け落ちしてしまったのではないかと思い当たり、
さあ大変!!
いいお話でした。



全体を通しては、前巻の方がよかったかなあ・・・

満足度★★★☆☆