MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『PLAN 75』

2022-07-10 00:57:10 | goo映画レビュー

原題:『PLAN 75』
監督:早川千絵
脚本:早川千絵
撮影:浦田秀穂
出演:倍賞千恵子/磯村勇斗/たかお鷹/河合優実/ステファニー・アリアン/大方斐紗子/串田和美
2022年/日本・フランス・フィリピン・カタール

国策としての「プラン」の脆弱性について

 日本政府の基本方針はいつの頃からか「自助・共助・公助」の順番が定着しており、深沢七郎の短編小説『楢山節考』は「自助・共助」だったと思うが、本作はその「姥捨て」がついに「公助」になったという作品である。しかし現実には絶対にあり得ない。何故ならば75歳設定だと、自民党の現副総裁が含まれてしまうからである。だから最初はSF作品かと思って観に行ったのだが、メインの設定以外は普通のドラマだったことに驚かされた。
 これは『N号棟』(後藤庸介監督 2021年)にも感じたことなのだが、最後の方になってストーリーが荒くなっている。本作においても例えば、主人公の角谷ミチがコールセンターで働いている瑤子と死別した夫との想い出の場所であるボウリング場に行って当時も頼んだクリームソーダを飲むのだが、何故かミチはボウリングの仕方を知らずに瑤子に教えてもらっている有様なのである。
 あるいは「PLAN 75」を実行に移すために施設に収容されたミチは何故か死ぬことはなく、それどころか施設から無断で脱走できてしまうというユルさは、国の政策としてあり得ないと思う。最もラストシーンがジョージ・ルーカス監督のデビュー作である『THX 1138』のラストシーンのオマージュであるのならば納得もできるのだが。


gooニュース
https://news.goo.ne.jp/article/eiga_log/entertainment/eiga_log-137583


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