原題:『シン・ウルトラマン』
監督:樋口真嗣
脚本:庵野秀明
撮影:市川修/鈴木啓造
出演:斎藤工/長澤まさみ/有岡大貴/早見あかり/田中哲司/山本耕史/岩松了/西島秀俊
2022年/日本
「シン・ウルトラマン」の「シン」の真偽について
『シン・ゴジラ』(庵野秀明/樋口真嗣共同監督 2016年)と同じようなクオリティーを期待して観に行ってしまうのは仕方がないと思うが、『シン・ゴジラ』ほど上手くは行っていないと感じた。
例えば、演出に関して言うならば、事故で亡くなった神永新二にウルトラマンが乗り移った後、神永(つまりウルトラマン)は地球の情報を得ようと、例えばドイツの思想家のルドルフ・シュタイナーの著書やフランスの文化人類学者であるクロード・レヴィ=ストロースの『野生の思考』など大量の書籍を読み込むのである。もちろん新任の浅見弘子は神永を変わった人と見なすのだが、以前から一緒に活動している田村君男や滝明久や船縁由美が神永の変化に気がつかないことに違和感を抱いてしまうのである。
ようするに本作はテレビドラマ版の「良いとこ取り」で、浅見弘子が急に巨大化するシーンも『ウルトラマン』第33話「禁じられた言葉」のオマージュで、このエロティシズムは何も庵野秀明だけではなく、例えば、現代美術家の会田誠に『巨大フジ隊員VS.キングギドラ』(1993年)という作品を制作させるほどにインパクトを与えたのである。
だから確かに当時特撮テレビドラマを見ていた子供たちにとっては見たいものを見れたという感じで良いのだが、第三者としての目線だとストーリーが弱いと言わざる終えないのである。
gooニュース
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