原題:『Don't Look Now』
監督:ニコラス・ローグ
脚本:アラン・スコット/クリス・ブライアント
撮影:グレイム・クリフォード
出演:ジュリー・クリスティ/ドナルド・サザーランド/ヒラリー・メイソン/クレリア・マターニア/マッシモ・セラート
1973年/イギリス・イタリア
「今は見てはいけない」理由について
簡潔にストーリーをなぞるならば、主人公のジョンとローラのバクスター夫妻は愛娘のクリスティンを自宅の庭にある池で水死で亡くしてしまうのだが、嫌な予感がしたジョンは真っ先に池に向かって行き溺れている娘を助けたものの間に合わなかったのである。
その後二人はイタリアのヴェニスに教会の修復工事で訪れる。レストランで二人はウェンディとヘザーの年老いた姉妹と遭遇する。ヘザーは盲目なので、ローラは化粧室へ向かう二人を手伝いに行ったのだが、その際に、霊感を持つヘザーは二人と一緒に笑顔のクリスティンが見えるとローラに告げる。
ローラは気を良くしているのだが、ジョンは老姉妹を信じていない。そんな時に息子が寄宿舎で病気になったという知らせを聞いた夫妻はたまたま空いた飛行機の一席にローラが乗って帰国し、ジョンは船でホテルに戻る途中でローラと老姉妹が一緒にすれ違う船に乗っているところを目撃し、ジョンは被害届を出したことで老姉妹は警察に連行されるのだが、その後、ローラから電話を受けて息子が無事であることを知るのである。
ジョンは老姉妹をホテルに送り届けた後に、ヘザーがジョンの身を案じて探してくるようにウェンディに頼むのだが、ウェンディはジョンを見失い、代わりにローラが彼女たちのもとを訪れる。その頃、ジョンは赤いレインコートを着た子供の後を追いかけていた。赤いレインコートはクリスティンが溺れていた時に着ていたもので、ジョンには執着があったのであるが、赤いレインコートを着た人物はシリアルキラーでジョンは殺されてしまうのである。実は、精神的におかしかったのはローラではなくジョンの方で、そのことをヘザーは「ベニスを去らなければ、ジョンの身に危険が降りかかる」と忠告していたのである。
娘の赤いレインコートと、教会内を写した写真に写っている服の赤さが滲みだす模様を重ねながらモンタージュを駆使する演出が秀逸だと思うが、現実と幻想の区別をつけていないところがニコラス・ローグ的といったところだろうか。
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