MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『アオハライド』

2014-12-24 00:09:49 | goo映画レビュー

原題:『アオハライド』
監督:三木孝浩
脚本:吉田智子
撮影:山田康介
出演:本田翼/東出昌大/新川優愛/吉沢亮/藤本泉/千葉雄大/高畑充希
2014年/日本

「せいしゅん」と「アオハル」の間について

 『ホットロード』(2014年)と同じ監督と脚本家チームだったので心配したが『ホットロード』のようにストーリーが破綻していないことが却って不思議ではある。
 「アオハルはいつだって間違える」というラストの吉岡双葉の言葉は、『ハルフウェイ』(北川悦吏子監督 2009年)において北乃きいが演じる主人公の紺野ヒロが「halfway(ハーフウェー)」を「ハルフウェイ」と間違えて読んだことを思い出させるのであるが、その「間違い」の描かれ方には雲泥の差がある。当初、双葉は3人の友人たちと上っ面の友情を育んでいたが、馬渕洸との再会をきっかけにクラスで孤立していた槙田悠里をかばったことを期に絶交状態になってしまう。しかしそれが双葉が悠里や村尾修子と真の友情を生み出すことになる。
 一方、洸も中学生の頃から双葉が好きだったのであるが、転校先の長崎の中学校の同級生で、洸と同じように母親を亡くした成海唯のことが気にかかり素直に双葉と付き合うようにはならない。双葉の上っ面の友情を批判した手前、洸は唯のことを突き放すことができない。つまり表面上の人間関係は悪く、濃密な人間関係が良いとは必ずしも言えないことになり、それは「青春」を「せいしゅん」と正しく音読みするのか「アオハル」と敢えて訓読みして、それに上手く「乗れる(ライド)」のかどうかというセンスに関わる問題として提示されるのである。
 『ホットロード』の能年玲奈が素晴らしかったように、本作の本田翼の存在感が光る。


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