原題:『Dhoom: 3』 英題:『Blast 3』
監督:ヴィジャイ・クリシュナ・アーチャールヤ
脚本:ヴィジャイ・クリシュナ・アーチャールヤ
撮影:スーディープ・シャッターリー
出演:アーミル・カーン/カトリーナ・カイフ/アビシェーク・バッチャン
2013年/インド
象徴を巡るファンタジー作品について
作品の冒頭は1990年で、シカゴを拠点としている「グレート・インディアン・サーカス(The Great Indian Circus)」というサーカス団に融資してもらおうとして、経営者である父親のハローン・カーンが「ウエスト・バンク・オブ・シカゴ」のCEOたちに芸を披露するのであるが、断られてしまったために父親は自ら拳銃で頭部を撃ち自殺してしまう。
それから2013年になり息子のサーヒルが父親の後を継いで「グレート・インディアン・サーカス」のトップスターとして活躍しているのであるが、この時点で既におかしな話で、「グレート・インディアン・サーカス」は経営破綻して建物がなくなっていてもおかしくないのであるが、何故か立派な建物は健在なのである。しかしサーヒルの「ウエスト・バンク・オブ・シカゴ」に対する最終的な復讐が同じく立派な建物である「ウエスト・バンク・オブ・シカゴ」の本店の看板の焼却にあったのだとするならば、本作はあくまでも象徴を巡る物語と捉えるべきなのであろう。
よって物語はファンタジー的に展開し、いかにもインド映画らしい本作のノリについていけなければ呆れてしまうのかもしれないが、もしもシリアスに撮ったならば『飢餓海峡』(内田吐夢監督 1965年)のようになったであろう要素が多々見られる。