MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『ハルフウェイ』

2014-12-22 00:31:10 | goo映画レビュー

原題:『HALFWAY』
監督:北川悦吏子
脚本:北川悦吏子
撮影:角田真一
出演:北乃きい/岡田将生/溝端淳平/仲里依紗/成宮寛貴/白石美帆/大沢たかお
2009年/日本

アドリブを許す脚本家の存在意義について

 タイトルの由来は、主人公の紺野ヒロが「halfway(ハーフウェー)」を「ハルフウェイ」と読み間違えたことによるもので、それは恋人の篠崎修が早稲田大学受験のために東京に行ってしまうことに対して、ヒロが「いけ(行け)」と「いくな(行くな)」の間をとって「いけな」と習字で書いたようにヒロの「中途半端(halfway)」な心情を表現することになる。
 さらに手ぶれのハンディーカメラでこの青春の不安定さを捉えようとした試みが上手くいっているようには見えない。高校卒業後、地元の札幌福祉大学へ進学する予定のヒロは、既に早稲田大学に進学するつもりだったシュウが自分に告白したことが許せない。シュウの代わりに平林先生が釈明をしているからいいのであるが、何故遠距離恋愛などの可能性など考えないのかヒロのわがままだけが目立つ。
 そのシュウなのであるが、ヒロに叱責されたことに対してすっかり怯えてしまい、高梨先生に早稲田大学を受験しないと言い出すのであるが、それならばどこを受験するのかと問われて答えに詰まってしまう。これほど大事なことなのに、例えば、早稲田大学の代わりに北海道大学を受験するというような代案もなく決めてしまうことがありえない。しかし最も深刻な問題は、ヒロがシュウを連れて職員室に行き、高梨先生に直談判するところである。ヒロの熱意に押されてシュウも高梨先生も早稲田受験に同意するのであるが、こういう時はシュウの親を含めて話し合うべきなのである。
 残念ながらストーリーに全くリアリティーを感じない。「役者自身の言葉によるアドリブで撮影された」ようだが、プロの脚本家である監督が、このようなストーリー展開に違和感を感じなかったところが不思議で、この違和感は『新しい靴を買わなくちゃ』(北川悦吏子監督 2012年)にも感じることは既に書いた通りである。


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