原題:『Fury』
監督:デヴィッド・エアー
脚本:デヴィッド・エアー
撮影:ローマン・ヴァシャノフ
出演:ブラッド・ピット/シャイア・ラブーフ/ローガン・ラーマン/ジョン・バーンサル
2014年/アメリカ
幸運だけでヒーローになれることの不思議について
物語の舞台は1944年6月の「D-デイ」であるノルマンディー上陸作戦後の1945年4月で、もはや連合国軍の勝利、ドイツ軍の敗北が決まった後の戦場である。普通の戦争映画であるならば、ノルマンディー上陸作戦のような劇的なものが取り上げられるのであるが、本作では自分たちが勝つことが分かっていながら個人的なことになるといつ殺されてもおかしくない奇妙な状況が描かれている。もちろんそれは敵に対することだけではなく、2人のドイツ人女性を巡る仲間内で起こる緊張感も含まれることになる。
ドン・"ウォーダディー"・コリアーが率いる機甲化師団には、補充兵として何故か軍のタイピストのノーマン・"マシン"・エリソンが副操縦手として配属されることになるのであるが、自身の師団の所属兵たちを鼓舞して最後まで戦い続けたドンがついに殺されてしまい、ドンのおかげで戦車の下の脱出口から逃げられて、さらに幸運にも敵の兵士に見逃してもらったノーマンが、生き残れたというだけでヒーロー扱いされるという皮肉が効いている。
『サボタージュ』(デヴィッド・エアー監督 2014年)があまりにも酷かったので、全く期待しないで観たのであるが、本作はよくできていると思う。