MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『花ひらく娘たち』

2014-12-21 00:52:12 | goo映画レビュー

原題:『花ひらく娘たち』
監督:斎藤武市
脚本:三木克巳/鎌田敏夫
撮影:山崎善弘
出演:吉永小百合/和泉雅子/浜田光夫/杉良太郎/渡哲也/清水将夫/沖雅也/宇野重吉
1969年/日本

吉永小百合と渡哲也の「その後」について

 既に『青春の海』(西村昭五郎監督 三木克巳脚本 1967年)を観ている者としては、本作は吉永小百合が演じる主人公の柿崎民子と浜田光夫が演じる坂本一雄の「婚前交渉」の問題よりも、渡哲也が演じる信次と民子の関係が気になってしまう。
 そして予想通りというべきか、父親の死後の母親の男性関係に悩んだ一雄が
民子との婚約を一方的に解消してしまい飲んだくれていた時に、姉のバーを手伝っていた信次が「ココアの甘さ」を知ってしまった自分の民子に対する想いを押し殺して、気をきかせて一雄が酔いつぶれている自分のバーに迎えに来るように民子に電話をするのである。
 「通俗小説作家として人気があった石坂洋次郎の作品では、明朗な恋愛が描かれ、脇役がセックスしたりすることはあっても、主役はしなかった。大学生とセックスというのは、石坂の小説ではしばしば議論され、むしろその議論が主役になるようなところがあるが、主人公が女中を強姦してしまうとか、オナニーをヒロインに目撃されるとか、果ては二人で全裸になって海岸の岩の上に座るとかはあるが、主人公カップルがセックスにいたることはない。」(『病む女はなぜ村上春樹を読むか』小谷野敦著 ベスト新書 2014.5.20 p.124)。本作も石坂洋次郎の小説を原作としているが、ラストで民子は一雄と性的関係を持ったことを妹の加奈子にほのめかしている。『青春の海』よりも本作の方がウィットに富んでいたりするとするならば、若き鎌田敏夫の才気によるものであることは間違いない。


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