ヘルタースケルター
2012年/日本
‘人工美’vs.‘天然美’
総合 90点
ストーリー 0点
キャスト 0点
演出 0点
ビジュアル 0点
音楽 0点
主人公のりりこは「AERA」まで含めたあらゆるファッション雑誌の表紙を飾るトップモデルとして芸能界の頂点を極め、やりたい放題なのであるが、彼女の美貌は全身整形によって成り立っており、りりこが所属するモデル事務所の社長で、彼女の実の母親でもある多田寛子の‘老い’とりりこのマネージャーである羽田美知子の化粧っけの無い‘不美人’がりりこに‘美’を託すことで彼女の人工的な美は支えられていた。
そんなりりこの目の前に現れた人物が後輩モデルの吉川こずえである。彼女の美しさは天然であり、それ故にメンテナンスが欠かせず、絶えず顔面の崩壊を恐れるりりこには天敵となる。
りりこに命じられてこずえの顔をカッターナイフで傷つけようとする美知子に対してこずえは逃げることも顔色ひとつ変えることもなく、美知子の好きなようにさせようとする。‘人工美’のりりこに無く、‘天然美’のこずえが備えているものが、最初から自分の美しさが儚いものであることを達観している、この堅牢な自信であり、自分の過去を曝さなければならなくなったラストの記者会見の席で倒れたりりこの上に降る赤い羽根の出処はこずえが楽しく仕事をしている場所だった。
一見、2人の勝負は決したように見えたが、打ち上げの席で見かけた美知子の後をこずえが追っていくと、その狭い部屋には右目に派手な眼帯をしたりりこが座っている。そもそもフェイクなりりこの美しさは徹底的にフェイクを装うことで甦るゾンビのようなものなのであり、生きる‘世界’の大小を気にしなければ、昔の自分に戻る必要はなく美しくしていられるのである。
りりこの部屋の壁に描かれた唇は、マン・レイの「Observatory Time: The Lovers(天文台の時間:恋人たち)」というポスターからインスパイアーされたと思うが、女性の体をオブジェとして捉えるところなども、マン・レイの影響を感じる。
冒頭で渋谷の女子学生たちがりりこの美しさの噂をして、全身整形をしていたことがバレた後に、どのように整形したらりりこのように美しくなれるのかと話題が変わり、りりこが姿を消した後は、都市伝説のように語られた後に、やがてりりこの話題が出なくなるというような細かい演出が手を抜いていないことを証明しており、娯楽映画とアート系の絶妙な按排が効いている。
「死んでくれてうれしい」加害少年発言か 中2自殺(産経新聞) - goo ニュース
自殺原因?中2生の自室、前日に同級生ら荒らす(読売新聞) - goo ニュース
大津市で昨年10月、市立中学2年の男子生徒が自殺した問題で、市教委が、いじめに
関する正式な報告書を作成せず、県教委を通じて文部科学省に提出していなかったことが
明らかになり、市教委は「怠慢と言われれば、その通りだ」と不備を認めてしまっている。
ところが大津市教育委員会の澤村憲次教育長は「警察が強制捜索に来たので抗議した」
「加害生徒、暴力や成績表破り認めてるが、いじめとは認めてない」などと今更になって
ほざいている。いじめかどうかは警察が判断するのであり、会見をするたびに言い分が
変わってしまう人が判断できるものではない。「協力する」と言っていたのに、強制捜索に
なったことに不満があったようだが、残念ながら次々とアンケートの新たな内容が明らかに
なっていくなかで、最早、澤村憲次は完全に信用を失っていることに本人だけが気づいて
いないことがなおさら悲惨である。