MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『グスコーブドリの伝記』 90点

2012-07-13 23:51:28 | goo映画レビュー

グスコーブドリの伝記

2012年/日本

ネタバレ

物語を持たないヒーローについて

総合★★★★☆ 90

ストーリー ☆☆☆☆☆0点

キャスト ☆☆☆☆☆0点

演出 ☆☆☆☆☆0点

ビジュアル ☆☆☆☆☆0点

音楽 ☆☆☆☆☆0点

 主人公のグスコーブドリは、緑に覆われたイーハトーブの森の中で木樵の息子として両親と妹と共に幸せに暮らしていたのであるが、やがて森を襲った冷害のために田畑が枯れてしまい、食料に困窮しはじめる。最初に父親が家を出て行き、次に母親が出て行ってしまう。妹のネリを見失った時、ブドリは蚕の玉を放り投げて糸を作り出す作業に就くのであるが、蚕は次々と蝶になって飛んでいってしまう奇妙な夢を見る。行動の迅速さの必要性をブドリは学ぶ。
 やがて森を出たブドリは赤ひげの沼ばたけで働くことになる。赤ひげは稲の病気対策に稲のことも考えずにガソリンを撒くのであるが、赤ひげの息子が残していた本から学んだブドリはおがくずと塩を撒くことで病気を防げることを赤ひげに教える。最初は上手くいっていたのであるが、干ばつには勝てず、隙を出されたブドリは本の著者であるクーボー博士を訪ねる。
 博士の紹介で火山局に勤めるようになったブドリは地熱発電などの研究に勤しむ。そして冷害に対処するために火山噴火を利用しようと試みるラストシーンに至るのであるが、その前にブドリはコトリによって裁判にかけられている。それは妹のネリに関するもので、ブドリはネリを返すようにコトリに訴えるのであるが、コトリはネリだけにこだわることを止めるようにブドリを諭す。この伏線によってブドリはみんなのために「雨ニモマケズ」の詩の通りに‘ホメラレモセズ/クニモサレ’ない‘ヒーロー’に殉じるのである。
 本作は『新世紀エヴァンゲリオン』(庵野秀明監督)や『PERSONA4 the Animation -the Factor of Hope-』(岸誠二監督 2012年)で描かれていた仲間たちとの絆が完全に無視されている上に、徹底して科学的な情報のみが語られ、他者に対する‘情’さえもできるだけ排除されているのであるが、本物のヒーローとは物語を持たないというその潔さが物語をつまらなくしていることは間違いない。


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不治の病としての国民性

2012-07-13 00:08:50 | Weblog

英語版と日本語版の内容が違う、それこそ「島国根性」では 国会事故調報告(gooニュース・JAPANなニュース) - goo ニュース

 まさか福島第一原発事故に関する国会事故調査委員会の最終報告書の日本語版と

英語版の内容が違っているとは想像もしていなかった。この事に関して日本外国特派員協会

で行った記者会見で英紙『フィナンシャル・タイムズ』のミュア・ディッキー東京支局長の指摘

に対して国会事故調の黒川清委員長が「でも(英語版で)書いた通りの事を日本人に向けて

書いて、日本人は理解すると思いますか」とディッキー記者に逆質問している事も面白い。

私は黒川清の意見に賛同はしない。英語版で書いた通りのことを日本人は理解すると思う。

しかし理解することと改善することは違うはずで、要するに今回の国会事故調査委員会の

最終報告書が不本意にも曝してしまった「insularity」(島国根性、閉鎖性)のように、潜在的

な国民性を日本人がいまさら直しようがないのである。


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