Steve Lawrence - Our Day Will Come
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集団的自衛権」の行使が可能になった場合のメリットとデメリットについて,具体的に考えて行く前に、まず、前提として抑えておかなければならない知識があります。
それは、「集団的自衛権」というものは、日本が国連から認められた「固有の権利」(当然の権利)であるということです。
国連は、すべての国連加盟国に対して「個別的自衛権」と「集団的自衛権」という2つの自衛権を認めています。
「個別的自衛権」とは、自国が不法な攻撃を受けた際に、自衛し反撃する当然の権利のことをいい、「集団的自衛権」とは、同盟国や親密な関係にある他国がどこかの国から不法な攻撃を受けた場合に、その被害国の要請によりその国を支援し、一緒に反撃する権利をいいます。
つまり、国連は、反撃する権利を当事国だけではなく同盟国にも与えているということになります。
これは考えてみれば当然で、そもそも「同盟」とはそのように、有事の際に協力するために結ばれるものでもあるからです。
また、もし仮に、国連が集団的自衛権を認めておらず、全加盟国が自国の軍事力だけで自国を護らなければならないのだとしたら、すべての国が軍事的に孤立してしまうことになり、必然的に軍事力の強さがそのまま国際社会での発言力の強さということになってしまいます。
つまり、集団的自衛権は世界各国の団結を可能にし、各国の軍事力を結びつけることで、各国の孤立を防ぐという大きな役割を果たしているのです。
「集団的自衛権」とは、以上のように、国際秩序を維持するために国連によって認められた当然の権利なのですが、日本ではこれまで「憲法9条」との兼ね合いから、その「当然の権利を行使できない」という解釈がなされてきました。
その憲法9条の解釈を、限定的にではあるものの「集団的自衛権は行使できる」という解釈に変更したのが、平成26年7月1日の安倍内閣による閣議決定だったというわけです。
■デメリット
ではまず、デメリットから先に見て行きましょう。
デメリットはけっこう単純です。
いま現在の国際的な状況や我が国の同盟関係から考えますと、アメリカがどこかの国から攻撃を受けた際に起こる戦争に、戦地に自衛隊を派遣するというかたちで参加しなければならなくなる可能性が出てくる、ということに尽きるでしょう。
勘違いされている方がいらっしゃるかもしれませんが、アメリカが単独で勝手に始めた戦争には適用されません。
「アメリカがどこかの国から攻撃を受ける」という条件がついています。それから、集団的自衛権の行使には、アメリカが攻撃を受けた場合で、さらにアメリカからの支援の要請が必要となります。
日本は、アメリカなどの同盟国・友好国がどこかの国から不当な攻撃を受け、それらの国から支援の要請を受けることではじめて集団的自衛権を行使するかどうかという問題に直面することになります。
そして、もうひとつ勘違いしてはいけない点は、それらの攻撃を受けた国の要請により、集団的自衛権を「行使しなければならない」というわけではなく「行使しない」という選択もありうるという点です。
これは、そのときどきに国会において判断されます。
もちろん、アメリカの起こす戦争が、「無謀である」と判断した場合には、集団的自衛権の行使を見合わせることも考えられますし、そもそも、日本国民の世論が大きく反対に傾いている場合には、それを押し切るかたちで政権与党が集団的自衛権の行使を断行すれば、絶望的なまでに支持率が急落し、二度と与党に復帰できないまでに信を失うこととなるでしょう。
つまり、「アメリカの行う無謀な戦争」に加担しなければいけなくなる可能性は否定できませんが、それを国民が意志を示すことで食い止めることもできるということです。
また、国連加盟国は、どこの国も集団的自衛権を有しており、どこの国も「行使できる」という立場を採っている(「行使できない」という立場を採っているのは日本だけである)ことから、そのようなデメリット(リスク)はどこの国も負っていることだということを付け加えておきます。