G線上のアリア (レイモン・ルフェーブル)
http://www.prideandhistory.jp/topics/000759.html
誰が日本の農業を潰したのか
農業の行く末
農家の人たちから厳しいお叱りを受けるかもしれないが、客観的に見ると、日本の農業はもう終わった。農業を守り、競争力をつけ強くしてゆくはずの農林水産省に、時間をかけて潰されたのだ。
稲作は日本文化の土台であるが、自民党政府の「減反政策」で、田植えをしなければ生活保護のような「補助金」が貰えるという、甘い自滅的な罠にはめられてしまった。世界の模範にされていた日本式稲作は、変わりゆく世界市場の競争にも参加せず、才能を出す機会もなく、意欲を失い、衰えてゆき、農業崩壊の象徴的な遺物になった。
社会福祉に甘んじた日本農業の生産効率は地に落ち、自活できる生命力は皆無である。それ故、さらなる「補助金」がつぎ込まれる。
農林族
これ全て、自民党主催の「農民票」を目当てにした政策だ。日本の人口は戦後60年間、都市に集中しているのにもかかわらず、各県ごとの議員定数は昔のままなので、非民主主義的な現象が起こった。都市と地方(農村)の1票の格差は5倍近く開いている。地方の1票は、東京の5票分の価値があるという信じられない選挙のカラクリである。
農林族と呼ばれる議員たちは、農民票の減少をくい止めるため、種々の「保障」を与え、コメを作らせ、そのコメを高い値(税金)で買い取り、余剰米という異常な現象を創り出した。古米、古々米と言われる余剰米は、現在300万トンから400万トンあり、倉庫に保管されている。倉庫保管料は1兆円近い。もちろん、国民の税金が使われる。
日本人は古いコメを食べないので、高く買われた余剰米はたたき売りの値段で家畜飼料に回される。このような信じがたい暴策がすでに何十年行われてきたのか。
北朝鮮への援助米
1994年と98年に「米朝会議」が開かれ、北朝鮮を支援するため援助米を送ることが決まり、日本も「コメを出せ」とクリントン大統領に言われ、北朝鮮に出したのはこの余剰米であった。これまでに、100万トンもタダで上げた。
これは、農林族にとって空から降ってきたような絶好の機会である。面大な量の古米・古々米を減らし、保管料を減らし、稲作を続行させれば「農民票」の確保に繫がるので、北朝鮮への「人道的なコメ支援」は大歓迎であろう。
派閥の利益と日本の国益を錯覚しているのか。派閥の利権を得ることが日本の外交だと思い違いをしているのか。北朝鮮の脅しを都合よく使い、崩壊している農業政策を続行させるためには、国民の誇りや生命までも利用するつもりなのか。
自民党政府が北朝鮮の「日本人拉致」を20年間も無視したのは、「農民票」と「余剰米減らし」のためなのか。近くて遠い国へ拉致された若い日本人たちは、権力維持への人身御供だったのだろうか。
西鋭夫著『日米魂力戦』
第4章「国の意識」の違い -16
フーテン老人世直し録(365)
卯月某日
日米首脳会談から帰国した安倍総理は翌21日に東京・新宿御苑で総理主催の「桜を見る会」を開いたが、桜は既に散り尽くしてなく、出席者にとっては「新緑を見る会」に変わっていた。この見通しの悪さは現在の安倍総理の政権運営を象徴するようだ。安倍総理はやることなすことすべてが裏目に出るように駒を進めている。
フーテンは「森友疑惑」の発覚後に「安倍政権の打つ手はことごとく裏目に出た」というブログを書き、原因は政権の司令塔でシナリオライターの今井尚哉首席秘書官が自らも「疑惑」に深く関与してしまったため、第三者の目で状況を見通すことが出来ず、それが判断の狂いを招いているのではないかとの考えを示した。
その狂いが「森友・加計」だけでなくその他の問題にも波及し、しかもますますひどくなったというのが現在のフーテンの見方である。まず北朝鮮問題だが、フーテンは長年米国議会を取材した経験から、米国には南北朝鮮統一を主導する用意はあるが、その前に冷戦体制を利用して金満国家になった日本からカネを吸い上げる口実に北朝鮮を使うとみてきた。
そのため「北朝鮮危機」を継続させるのが米国の国益である。日本に危機を煽り米国製兵器を買わせて自衛隊を完全に米軍の管理下に置く。日本の安全保障が米国頼みになれば、カネを吸い上げる口実はいくらでも作れる。従って日本人に憲法9条2項を守らせることも米国の国益になる。
自民党政権は長らく米国製のイージス艦やミサイル防衛(MD)の購入を拒んできた。ところが北朝鮮のミサイルが日本上空を飛んだ途端、国民に北朝鮮に対する恐怖心が生まれ、日本は巨額の兵器を進んで買うようになった。北朝鮮は米国にとって都合が良い。
一方、日本が自力で「北朝鮮危機」を終わらせる方法もあった。2002年に小泉総理は金正日国防委員長との間で日朝平壌宣言を調印し、北朝鮮と平和条約を結び、経済援助を行うことで、拉致問題を解決しようとした。
ところが米国のブッシュ(子)政権が不快感を示し、国際社会が強硬姿勢に出たことで日朝平壌宣言は有名無実化する。ブッシュ大統領は、その年の一般教書演説で北朝鮮を「悪の枢軸」と呼び、しかも核保有していないイラクを先制攻撃してサダム・フセインを殺した。北朝鮮が本気で核開発を始めたのはそれからである。
金正日から権力を継承した金正恩は米本土に到達する核を持たない限り米国は対話に応じないと考え、目標を平昌オリンピックの開かれる今年に設定、ミサイルと核実験を昨年はそれまでの3倍のスピードで行い、年末に完成させてから一転して対話路線に舵を切った。
朝鮮半島の統一を主導することに反対でない米国は新たな枠組みの中での国益を追求する思考を併せ持つことになる。クリントン政権の計画では、東西ドイツの統一を下敷きに統一にかかる経済負担を日本に負わせる案がまとめられた。
今回の日米首脳会談で安倍総理は拉致問題の解決をトランプ大統領に「お願い」することを重要な柱とした。そしてそれがかなえられたと満足しているようだ。「そんな馬鹿な外交があるか」とフーテンは呆れる。自国の拉致被害者を取り戻すのは自国政府の責任である。何で他国に頼むの? 他国に頼んだら何が起きるの?
2002年の日朝交渉は米国が反対しなければ日本が主体的に北朝鮮に経済支援を行うことで拉致問題は解決するはずだった。しかし米国の強硬姿勢で実現は見送られた。ところが現在は米朝が急接近している。米朝が手を握ればトランプ大統領に頼まなくとも日本は自力で解決できるはずだ。
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