医大生・たきいです。

医大生的独言。

元将棋少年が感動した「聖の青春」5つのポイント

2016-11-20 15:06:17 | 映画

諸事情で「聖の青春」を公開当日に見逃したことは昨日のブログの通りですが、公開2日目に朝1で観て参りましたのでそのご報告をば。元将棋少年のわたくしが感想を語ります。医大生・たきいです。


『聖の青春』公式HP







映画の原作本はこちら。

聖の青春 (角川文庫)
大崎 善生
KADOKAWA / 角川書店


村山聖を主人公にしたマンガもあって、小学生のときに読みました。
聖-天才・羽生が恐れた男- 新装版 1 (ビッグコミックススペシャル)
山本 おさむ
小学館



月刊将棋雑誌「将棋世界」の元編集長大崎善生氏の著作。かつて「東の羽生、西の村山」と称されたほどの実力を持つ伝説の棋士・村山聖さんについて書かれた本。幼少期からネフローゼ症候群を患い、膀胱癌に侵され、29年で生涯を閉じた人生。命懸けで将棋と向き合い、闘った激動の人生だったといいます。「聖の青春」を読み、その「生きる姿」に感銘を受けました。読書感想文もこれで書いた記憶が。私が将棋に出会った頃から親しみのあった作品が映画化されて、世のたくさんの方に広まると思うと嬉しく思います。



松山ケンイチと東出昌大の熱演がスゴイ!
村山聖を演じた松山ケンイチと、羽生善治を演じた東出昌大。どちらも本物そっくりです。役作りのために松山ケンイチは20kg増量させたのだとか。役者さんってすごいなぁ。「ハマリ役」という言葉を通り越して、本物そのものでした。特に若い頃の羽生さんは本当にそっくり。公式HPに先崎学さんのコメントがあって、「村山くんも松山さんのようなかっこいい方に演じてもらって天国で恥ずかしがっているのではないでしょうか。 」というのが心に沁みますね。

駒を持つ手付きが完璧!
テレビや映画で、将棋を指している人のシーンってよく映ることがありますが、手つきがイマイチなことがほとんどなんですね。将棋の駒をピシっと指すのってそれなりの修行が必要なんです。人差し指と薬指で駒を持ち上げて、人差し指と中指で駒を挟んでしなやかに打つ。ちょっと練習したくらいの並みの役者にはできない芸当ではないかなと思いますが、今回の松山ケンイチと東出昌大は完璧でした。相当練習なされたんでしょうね。棋譜を暗記して通しで撮影したという対局シーンは美しく、映画をより鮮やかにしています。

盛り上げ駒使用のタイトル戦シーン!
イイ将棋の駒は柘植<ツゲ>の木でできています。太平洋に浮かぶ東京都御蔵島が名産です。彫刻刀のような道具で文字を削り、漆で文字をなぞったものが「彫り駒」。漆で埋めて文字を平坦にさせたものが彫り駒より高級な「彫り埋め駒」。そして最高級品が「盛り上げ駒」といって、その字のごとく漆で字が盛り上がったもの。タイトル戦で一般的に使われるのがこの「盛り上げ駒」。テレビの将棋シーンなどでは下手すると安い駒が映像に使われてしまっていることも少なくありませんが、「聖の青春」ではもちろん最高級品「盛り上げ駒」が使われていました。タイトル戦を模した旅館のシーンも、将棋会館の特別対局室も臨場感があって素晴らしいシーンでした。

本物のプロ棋士も出演!
祝賀会のシーンでは田丸昇九段や中村真梨花女流三段、解説会の聞き手は山口恵梨子女流二段。将棋道場の受付は村山聖の弟弟子の山崎隆之八段。他にも大名人の大山康晴の肖像画もチラっと映ります。他にも出演していた将棋関係者いたのかもなぁ。

将棋ファンがニヤっとしてしまう細かい設定!
エンドロールには将棋関係者の名前がズラリ。たとえば「アカシヤ書店」。東京神保町の将棋専門の古本屋。私も東京に遊びに行った時にはたまに寄ります。確かメトロのA5出口が最寄り。村山聖の部屋のシーンでは「将棋は歩から」という名著が本棚にありましたが、その提供なんかしたんですかね。劇中、ひょっとしたら村山聖が好意を抱いていたのかもしれない大阪の古本屋の娘が、東京に引っ越す村山聖に対して「神保町、私は東京に行ったことがありませんけど」というシーンもありましたがなんだか感じるところがありますね。

将棋は歩から (上巻)
加藤 治郎
東京書店


谷川浩司の設定の俳優さんは佐藤康光さんにそっくりだったり、森雞二をモデルにしたであろう「井守雞二」。田中寅彦さんの名前をいじったであろう人物も出てきました。「遠藤正和」は近藤正和さんのこと、「田村壮介」は田村康介がモデルでしょうか。映画の作り手の将棋への愛情を感じました。






そういえば。劇場を出ると、小学生くらいの男の子とその母親のこんな会話が聞こえてきました。

母「“ツム”っていっぱい出てきたけどなんのことだったんだろう」
子「積み木っていうじゃん」
母「将棋で積み木なわけないでしょ、ツムツムしか分からないわ」

最近「詰んだ」という言葉もよく使われるようになって、「詰む」が普通の一般的な動詞になったのかなと思いましたがまだまだだったんですかね(笑)。「聖の青春」を通じて、将棋に興味をもっていただける方がひとりでも多く出てきていただけると嬉しいです。

『聖の青春』、是非ご覧ください。






(「牛丼は吉野家じゃないと意味がないんです」という劇中の言葉に感化されて帰り道に吉野家に寄ってしまった人(笑))
医大生的コラム。医大生・たきいです。

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