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毎週が、運命の週。

2006-04-03 00:48:22 | マスコミ報道
今、フランスの話題は、CPE(初期雇用契約)一色。CPEの文字がメディアに登場しない日はありません。特に先週は大きな動きがありました。振り返ってみましょう。


3月27日付のLe Figaro(フィガロ紙)。「CPE、運命の週」という見出しです。
月曜、サルコジ内相はCPEに相変わらず一線を画す。
火曜、暗黒の一日になる危険も。
水曜、対話復活は難しいか。
木曜、憲法評議会の決定やいかに。
金曜、シラク大統領はCPEを発布するのか。

まず、火曜のデモを受けて。

29日付のLiberation(リベラシオン紙)です。「一切耳を貸さない」という見出し。200万人以上がデモに参加したというのに、ド・ヴィルパン首相は一向にCPEを引っ込めようとしない、と批判しています。左派系の新聞らしいですね。一方、Le Figaroは右よりです。因みに、Le Monde(ル・モンド紙)は体制派と言われています。


そして、憲法評議会の判断は、合憲。これを受けてシラク大統領は、CPEを含む雇用均等法を発布するだろうと、マスコミは報じました。


実際、31日夜8時からの国民向け演説で、シラク大統領は雇用均等法の発布を発表。ただし、試用期間2年を1年に、また解雇する場合には説明義務を、という修正を至急行うよう内閣に指示。


この発表を、Liberationは“Je promulgue, je suspends”(発布する、保留する)の羅列で、迷える心中と、玉虫色の声明を揶揄しています。単なる先延ばし、との意見も多く出されています。


もちろん、CPEの撤回を求める学生・労組側は、引き続き各地でデモを行っています。

さて、4月3日からの週も「運命の週」になりそうです。4日(火)に再び大規模な抗議行動が予定されており、社会党のオランド第一書記が「4日のストを全面支持する、党員はデモにぜひ参加するように」、と今回は党としての指示を出しています。大きな混乱が予想されます。

こうしたCPEをめぐる混乱について、何人かのフランス人に聞いたところ、面白いのは、みんな来年の大統領選挙をにらんだ動きだ、と言っていることです。与党のド・ヴィルパン首相とサルコジ内相、そして社会党。

まず、そもそもCPE自体、ド・ヴィルパン首相が旗振り役で始めたのではなく、サルコジ内相の周辺から煽られて腰を上げたもの。それが、いつの間にかサルコジ内相は若者の味方みたいな言動を。ド・ヴィルパン首相にしてみれば、見事に梯子を外されてしまったようなもの。

しかし、撤回すれば、与党内の支持も失ってしまう。首相としてはCPEを成立させるしかない。サルコジ内相としても、あまり反首相の言動が過ぎると与党の分裂になってしまうので、首相の後ろ盾・シラク大統領の発表を良識ある判断と評価する声明を発表。

一方、党内分裂で、なかなか強い大統領候補を擁立できないでいる社会党も、ついにスト支持を党指示として発表し、この機会により多くの国民の支持を集めようとしています。

ということで、暫く、CPEと来年の大統領選挙の候補者たちの動きから目が離せません。
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