私の職業は「殺人」・・・こう言ったウィージー。彼を知っていますか。今日の話題は、ミステリー・・・かどうかは、読んでのお楽しみ!
ウィージー、もちろんWiFiではありません。しかも、これはコード・ネーム。これでは、ますますミステリー・・・彼が出没したのは、マンハッタン。特に、ローワー・イースト・サイド、ハーレム、ブロードウェイ、コニー・アイランド・・・ますます、ですね。彼の行くところ、必ずといっていいほど、死体あり・・・さて、ウィージーの正体は?
ウィージー、アルファベットではWeegee。アメリカ人。1899-1968。本名、ウジェル・H・フェリグ(Usher Fellig)。さて、その正体は・・・フォトジャーナリスト、つまり報道カメラマン! どうして「殺人」が職業かというと、彼が扱ったのは主に殺人、火事など、血がついてまわる事件だったから。殊に、彼の写真2点を買い取った雑誌“Time”の支払い明細に、「二つの殺人=35ドル」(two murders 35$)と書かれていたので、それ以降、俺の職業は殺人、などと言っていたそうです。
そのウィージーの写真展が、マイヨール美術館(Musee Maillol)で開催されています。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/67/da/68dee141bf314b10ab37d9f0ff87d389.jpg)
ウィージーは、愛車シボレーにカメラ機材はもちろん、着替えや食料まで積み込んで、いつでも現場に行けるようにしていたそうです。しかも、警察無線まで積んでいたので、傍受しては現場へ一目散。時には警察よりも早いくらいで、警察から事件現場を言い当てる占い板でも持っているのか、とからかわれたそうですが、当時、占い板が“ouija board”といわれ、そのouija(ウィージャ)からWeegee(ウィージー)というコードネームならぬニックネームになったそうです。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/43/d9/57c2cbe88f58ef3cfab403f962b1e7b2.jpg)
会場に展示されているのは、殺人現場のモノクロ写真。ギャングの抗争などが多いのですが、きちんとした身なりの人たちが頭から、あるいは腹から、また全身から血を流して倒れています。仰向けに、うつぶせに・・・発見者がわきに佇んでいる写真、死亡を確認するためにライトを目に当てている写真、鑑識が指紋を採取している写真・・・
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0b/27/005ba5bd359c04385538b4d4dc61975e.jpg)
また、火事現場の写真。火に包まれた高層ビル、自分は逃げ出せたが、娘と孫が火に巻かれるのをどうすることもできずに見上げている老婦人。幾多の修羅場を潜り抜けたウィージーも思わずもらい泣き・・・涙に曇る目で、それでもシャッターは切り続けた・・・
はたまた、着飾って出かけた二人の麗婦人。その二人をすごい形相で睨みつける、酔った貧しい老婦人。富める者と貧しき者・・・
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/21/96/14071ad7871a36357e1c10646ef4301a.jpg)
週末のコニー・アイランド。当時のニューヨーク近郊の海辺のリゾート。家族と、恋人と、楽しい休日。しかし、ここにしか行けない人が多かったのか、まさに芋の子を洗うような混みよう。でも、まだ休日が取れるだけよかったのかもしれない・・・
ハローウィンを楽しむ、ハーレムの黒人たち。しかし、その笑顔のすぐ近くで、殺人事件。あるいは、ギャング同士の抗争・・・
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/44/a6/3811d2ffa766db5345e364f6d3c2bde0.jpg)
被写体のいる前景と暗い背景とのコントラストが極端で、事件性、物語性をいやがうえにも掻きたてます。ウィージーの写真が、「人生と死亡とヒューマン・ドラマ」といわれる所以かもしれません。ウォーホールやキューブリックに影響を与えたというのも肯けますね。たんに殺人現場を写真に収めただけではなく、その背後にあるその人物の人生を見る者に思い描かせるような写真。もはや口を開くことのない、死体。どのような人生だったのか・・・それは、まさに、ミステリー。
ミステリーに戻ったところで、お後がよろしいようで。
“Weegee”(「ウィージー展」)
10月15日までの開催(火曜・祝日休館)
ウィージーの写真をアップでご覧になりたい方は・・・
http://museum.icp.org/museum/collections/special/weegee/
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ウィージー、もちろんWiFiではありません。しかも、これはコード・ネーム。これでは、ますますミステリー・・・彼が出没したのは、マンハッタン。特に、ローワー・イースト・サイド、ハーレム、ブロードウェイ、コニー・アイランド・・・ますます、ですね。彼の行くところ、必ずといっていいほど、死体あり・・・さて、ウィージーの正体は?
ウィージー、アルファベットではWeegee。アメリカ人。1899-1968。本名、ウジェル・H・フェリグ(Usher Fellig)。さて、その正体は・・・フォトジャーナリスト、つまり報道カメラマン! どうして「殺人」が職業かというと、彼が扱ったのは主に殺人、火事など、血がついてまわる事件だったから。殊に、彼の写真2点を買い取った雑誌“Time”の支払い明細に、「二つの殺人=35ドル」(two murders 35$)と書かれていたので、それ以降、俺の職業は殺人、などと言っていたそうです。
そのウィージーの写真展が、マイヨール美術館(Musee Maillol)で開催されています。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/67/da/68dee141bf314b10ab37d9f0ff87d389.jpg)
ウィージーは、愛車シボレーにカメラ機材はもちろん、着替えや食料まで積み込んで、いつでも現場に行けるようにしていたそうです。しかも、警察無線まで積んでいたので、傍受しては現場へ一目散。時には警察よりも早いくらいで、警察から事件現場を言い当てる占い板でも持っているのか、とからかわれたそうですが、当時、占い板が“ouija board”といわれ、そのouija(ウィージャ)からWeegee(ウィージー)というコードネームならぬニックネームになったそうです。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/43/d9/57c2cbe88f58ef3cfab403f962b1e7b2.jpg)
会場に展示されているのは、殺人現場のモノクロ写真。ギャングの抗争などが多いのですが、きちんとした身なりの人たちが頭から、あるいは腹から、また全身から血を流して倒れています。仰向けに、うつぶせに・・・発見者がわきに佇んでいる写真、死亡を確認するためにライトを目に当てている写真、鑑識が指紋を採取している写真・・・
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0b/27/005ba5bd359c04385538b4d4dc61975e.jpg)
また、火事現場の写真。火に包まれた高層ビル、自分は逃げ出せたが、娘と孫が火に巻かれるのをどうすることもできずに見上げている老婦人。幾多の修羅場を潜り抜けたウィージーも思わずもらい泣き・・・涙に曇る目で、それでもシャッターは切り続けた・・・
はたまた、着飾って出かけた二人の麗婦人。その二人をすごい形相で睨みつける、酔った貧しい老婦人。富める者と貧しき者・・・
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週末のコニー・アイランド。当時のニューヨーク近郊の海辺のリゾート。家族と、恋人と、楽しい休日。しかし、ここにしか行けない人が多かったのか、まさに芋の子を洗うような混みよう。でも、まだ休日が取れるだけよかったのかもしれない・・・
ハローウィンを楽しむ、ハーレムの黒人たち。しかし、その笑顔のすぐ近くで、殺人事件。あるいは、ギャング同士の抗争・・・
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被写体のいる前景と暗い背景とのコントラストが極端で、事件性、物語性をいやがうえにも掻きたてます。ウィージーの写真が、「人生と死亡とヒューマン・ドラマ」といわれる所以かもしれません。ウォーホールやキューブリックに影響を与えたというのも肯けますね。たんに殺人現場を写真に収めただけではなく、その背後にあるその人物の人生を見る者に思い描かせるような写真。もはや口を開くことのない、死体。どのような人生だったのか・・・それは、まさに、ミステリー。
ミステリーに戻ったところで、お後がよろしいようで。
“Weegee”(「ウィージー展」)
10月15日までの開催(火曜・祝日休館)
ウィージーの写真をアップでご覧になりたい方は・・・
http://museum.icp.org/museum/collections/special/weegee/
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ブログにご紹介くださったので、早速見ました、ウィージーの写真のアップ。すごいですね、「その瞬間」を捉える感性と技術、そしてその場に居合わせる嗅覚。報道カメラマン・報道写真と聞くと、「起こった事件・真実をただ忠実に撮る」という範疇を思いますが、そんな固定観念を軽々と乗り越えて、「人間」を雄弁に語りだす写真たち。フランスに飛んで行って写真展を見たいところですが、それはかなわず。ネットで思いをふくらませます。でも、これもtakeさんのおかげ、いつものことながら、感謝しております。
フランスの人は、本当に美術が好きですね。Weegeeなどという、私にとっては初めてのフォトジャーナリストの写真展にも、平日にもかかわらず多くの人が訪れていました。
そして、ぐらっぱ亭さんのブログ。拝見しましたが、文化への深い造詣、感心しました。それに、日本の文化が今どうなっているのかもよく分かります。これからも訪問させていただきます。
おっしゃるとおりで、同じものを撮っても、そこに撮る人間の思い・視点などが反映されると、見る人間にもそれが伝わってきますね。だから、見ていても面白いのだと思います。そんな写真を撮りたいと思うのですが、現実は甘くない・・・