50歳のフランス滞在記

早期退職してパリへ。さまざまなフランス、そこに写る日本・・・日々新たな出会い。

フランスにがっかりの日本人。

2007-04-04 01:03:12 | 学校
先日ご紹介した、ボランティアのフランス語会話サークル。初めて会ったフランス人の高齢者から、突然こんな質問を受けました。

「あなた、日本人? そう、それじゃフランスに来てガッカリしているでしょう!?」

そんなことないですよ、どこの国にも良いところと嫌なところはありますから、と正直に答えたところ、

「ここで会う日本人、若い女性が多いのだけれど、みんなフランスにきて失望したって言うのよ。こんな筈じゃなかったって。どうも、みんなフランスは理想郷だという幻想を抱いて来るようで、現実との差にショックを受けてしまうみたいよ。」

なるほど、そういう事はあるのかもしれないですね。フランスで何かをやるために来たのではなく、フランスにいることが目的、フランスに暮らす自分に満足するために来たとすれば、ガッカリしてしまうのかもしれないですね。何しろ、この国で暮らすのも楽ではない。住まいを探すのも一苦労、見つかったと思っても不満がいっぱい、ビザの取得も大変、人種差別される側であることを思い知らされることもある。これが私の憧れたフランスなのかしら・・・ギャップが大きいのでしょうね。


日本では、フランスのいいところだけを取り上げた情報が氾濫(写真はあくまでイメージ、特に内容とは関係ありません)。いつの間にか理想の国として思い描くようになってしまうのでしょうね。パリへ行けばシンデレラになれる。王子様も現れるかもしれない。今までとはまったく違った人生が待っている。夢の国、フランス・・・ところが、現実は・・・。

そういえば、このボランティア団体に登録した外国人、最も多いのはなぜかブラジル人で、次いで中国人。そして3番目に多いのが日本人なのですが、日本人と同じテーブルを囲んだことは今までの2ヶ月半で1回しかない。どうしてか。登録したものの、1~2回で来なくなってしまう日本人が多いそうです。なぜか。まず、自分から積極的に話さないと、話すチャンスが少ない。黙っていると、そのままで終わってしまう。手取り足取り、話すチャンスを与えてはくれない。だから話すチャンスが少ない。行っても仕方がない。また、話題が、映画や美術、文学あるいは国際情勢になったりする事がよくあるのですが、それらに詳しくない、あるいは興味がない。だからつまらない。

もちろん全員が全員こうだという訳ではないのですが、こうした理由で来なくなってしまう日本人が多いそうです。

フランスへお客さん気分で来ると、厳しい現実の前にがっかりすることが多いのではないでしょうか。ひどい場合は、「パリ症候群」になってしまう。気の毒としかいいようがありません。フランスで何をやりたいのか、目的をはっきりさせることが、まずは大切なようです。これは、フランスに限らず、どこででも言えることだとは思いますが・・・ただ、マスコミを通してのイメージがフランスはあまりに美しすぎるため、大きな誤解が生じやすいのだと思います。フランスへの留学や長期滞在をお考えの方、お気をつけください、老婆心ながら・・・。

↓「励みの一票」をお願いします!

人気blogランキングへ

最新の画像もっと見る

20 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (パリ非症候群)
2007-04-04 01:16:16
パリ(フランス)に失望した非フランス人をたくさん知っています。また、フランスから他の国に行って失望した非フランス人もたくさん知っています。日本人に特異な問題ではないようですよ。
返信する
外国不適応 (take)
2007-04-04 01:38:26
パリ非症候群さん
どこの国の人にも、外国不適応はいるでしょうね。日本人だけだなどとは言うつもりは全くありません。ただ、ボランティア団体のフランス人の経験によれば、日本人に多い、ということです。もちろん他の国から来てフランスが嫌いになる人もいるでしょうし、外国に行ってその国が嫌いになるフランス人もいるでしょう。ただ、『パリ症候群』という精神科医の出した本が話題になることでもわかるように、日本人にはその傾向が若干強いということなのだと思います。要は、程度問題。そして、その日本人に強い傾向の背景は・・・それを考えて見るのも、日本人の精神構造、あるいは日本の社会の一端を知ることにもなるのでは、と思っています。
返信する
Unknown (中年パンクロッカー)
2007-04-04 07:55:52
takeさん
パリ症候群の話ですが、まさに日本人の精神構造に深く関係していると思います。日本人はどちらかというよブランド崇拝が強くカルチェやシャネルの商品を手に入れたということに満足するのと一緒でフランスに滞在するという事だけに夢を膨らませるのではないでしょうか。フランス人の場合、カルチェやシャネルを身につけるライフスタイルが自分のライフスタイルに合うのかをまず考えると思います。また、目的意識や政治的な意識をしっかり持っていてビックリさせられることがあり感動したりします。先日もボルドーのレストランで食事をしていたら、隣の20歳くらいのお姉さん達がサルコジとロワイヤルの話で激論していました。選挙も近いということもあるのですが、パリのカフェでも同じ光景を目にしました。すばらしいですね。
返信する
パリへの憧れ (vague)
2007-04-04 15:24:54
娘が学生の時、パリに連れて行ったことがありますが(彼女にとっては初めての海外旅行)その時のことを思いだしました。娘も初めはパリが思ったより汚かったとか、客がいても店員同士が話していて待たなければならなかったとか、夜は店が遅くまで開いていないので不便だったとか.....。その反面、あまり考えなくても暮らせている事、昼夜もなくなってしまっている生活に違和感を感じたみたいでした。その後、友人と2人で計画して旅行しているのを見ると満更でもなかったのかなと。.情報に流されずに自分の目でみることの大切さをちょっと学習したと思いました。
返信する
政治への関心&教育 (take)
2007-04-04 16:53:07
中年パンクロッカーさん
20歳くらいの女性が政治論議に熱くなっていた・・・そうですね、こちらの人は政治にもしっかり関心を持っています。政治はいわゆるエリート層に任せる、しかしきちんとやっているかはそれこそしっかりと国民がチェックし、満足行かなければ選挙でしっかりと主張する。そのために政治といえども常に関心を持ち続ける。
一方日本では、政治は今でもお上のもの。無条件の一任。従って無関心層が非常に多い。すべてあなた任せ。こうした差は大きいですね。
でも、日本もこれでうまくいっている内は、別に変える必要もないのではないかと思います。これが日本ですし、うまく行ったのですから。問題は、ほころびが出てきた際(出始めていると思うのですが)、どうするかですね。そのとき、国民がどう対応できるのか・・・
もう一つは、教育。何事にも主体的に考えるような教育は行なわれているのでしょうか。創造性を開発するためのゆとり教育。でも実態は知識の量を減らし、怠け癖をつけただけ? 今や日本の高卒はフランスではバカロレア相当とは認められていません。ソルボンヌの文明講座でも基本的には最低、大学入学証明書が必要になっています。以前は高卒=バカロレアだったのですが・・・それだけ日本人のいわゆる教養のレベルが下がっているということだと思います。
返信する
現状認識 (take)
2007-04-04 17:05:13
vagueさん
お嬢さんの話、さすがvagueさんの教育あってこそと思います。vagueさんの海外経験などを通していろいろな情報がお嬢さんに入っていたのではないでしょうか。そのため、客観的にフランスも見れたのでは、と拝察します。
そうした事前情報が少なく、マスコミなどの流す間接的な情報だけで、夢を膨らませるだけ膨らませてから来てしまうと、その落差にショックを受けてしまうことも多いのではないでしょうか。真実を伝えるのではなく、読者・視聴者が喜ぶようなことを、喜ぶように伝える日本のマスコミの犠牲者とも言えるかもしれないですね。それと、ものごとの裏側を疑ってみるということの少ない、いわゆる“人の好さ”(先日ご紹介した桑名さんの本にも出ていますね)がマスコミ情報を真に受けてしまう傾向に拍車をかけているのかもしれないですね。
憧れと現実。これにもバランス感が必要なのかもしれないと思います。
返信する
デイトレーダー型の新人!? (pinky)
2007-04-04 23:33:58
最近の新入社員やアルバイトが、「思ってたのと違うんで~」とか「自分には合わないことが分かったんで~」とか言って、たった一日で来なくなってしまうという事が多々あります。
自分の想像していてのと違うといわれても、こちらにとっては全く迷惑極まりない事です。
フランスにがっかりの日本人も同じような種類の人間のような気がします。海外での滞在は、改めて日本の良さを知ることにもあると思います。ブランド物のバッグを持つのと同じように、「こ~んな素敵なフランスに私は行ってたのよ」と言いたいが為に行くべきではないと思います。どの国にも良いところもあれば悪いところもある、在りのままを受け止めてこそ心から楽しめると思うのですが。

返信する
違いを楽しむ。 (take)
2007-04-05 04:51:39
pinkyさん
おっしゃること、よく分かります。それぞれの国に、それぞれの社会。伝統も、歴史も、風土も、いろいろなことが異なります。その中には、自分に合うものも、合わないものもあります。すべてが合うところなどないのではないでしょうか。そして、その違いを楽しめると、どこに滞在しても、それなりにいい思い出がもてるのではないでしょうか。でも、言うは易しで、嫌になったり、不満だらけになったりすることはありますが・・・。
ところで、『パリ症候群』、初版が出たのが1991年。また、金子光春氏の著書などによると戦前でもいろいろつらい思いをした巴里の日本人はいたようです。あってほしくないトラブルですが、どうも長い伝統があるようです。因みに、『パリ症候群』によると、1989年の西欧における日本人の精神的トラブル発生件数は、フランス=12、ドイツ=3、イタリア=2、そして1件が4カ国だったそうです。やはりというか、パリへの憧れは特別で、それだけ裏切られたと悩む人が多いようです。
返信する
初めてコメントします ()
2007-04-05 05:41:19
初めまして。時々お邪魔させていただいています。

私は日本に広がるフランスのイメージにすっかり洗脳されていた一人で15の時に両親と旅行でパリに来た時に「ここに戻ってくる」と根拠もなく思い、その後1ヶ月、そして1年の語学留学をしました。それから数年後の現在はフランスの某地方都市で暮らしています。

フランス、というかパリへの憧れは私も持っていて「住んで何をするか」より住むことが大事だった時期が私も長かったのでパリに憧れる人の気持ちはとても分かるし、来てから目標を見つけるのもいいという考えです。
ただもともとブランド品に興味がなかったのと愚痴を言いつつも自分の目で見るフランスがイメージと違っていて失望というより面白いと感じました。私は行く前より1年語学留学した後のこの頃が一番フランスを美化していたと思います。

時間と共に何でも「フランス人は」「日本人は」とくくって物事をみないこと、好きという気持ちもいいけれど角度を変えて冷静に見る目、批判の視点も持たなきゃいけないなと思うようになりました。
自分を幸せにするのは住む場所ではなくて自分の気持ちと行動だと思います。
何が言いたいのかよく分からなくなってきてしまいましたが今回の記事も興味深く読ませていただきました。
またお邪魔させてください。
返信する
個性 (take)
2007-04-05 16:02:13
ぶ・さん
おっしゃるとおりで、個性を認め合うことが大切ですね。国と国、国民と国民もそうですが、そこで暮らす一人ひとりの個性も認め合う必要があると思います。金太郎飴で、全員が同じ方向を向いていなくてはいけなかったり、同じ行動パターン、同じ思考方法をとらなくてはいけないような社会は、息苦しいだけだと思います。
そして、その個性の違いを見つけることが楽しくさえ感じられるようになるとさらにいいのだと思います。でも、なかなかそうは思えず、苛立ったり、不満を感じたりしてしまいますが、違いをきちんと話し合い、最終的には違いを認め合うことが出来れば、もっと暮らしやすくなるのでは、と思ってはいます。難しいですけれど・・・。
今後とも、訪問・コメント、よろしくお願いします。
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。