コレージュ・ド・フランス、フランス語ではCollege de France。コレージュは、英語のカレッジです。フランス最高の研究機関といわれています。写真は、その正門です。
その歴史は、1530年、時のフランソワ1世が創設した王立コレージュ(College Royal)に遡ります。ヘブライ語・古代ギリシャ語・数学を自由に研究し、啓蒙的な役割を担いました。6人の教授たちは、王立教授団(Lecteurs royaux)と呼ばれ、当代随一の人材から選ばれたそうです。
その後、名前を変えながらも、つねにフランスの知的エリートの地位を占めてきましたが、1870年にコレージュ・ド・フランスとなり、教授も今では52人に増えました。コレージュ・ド・フランスの教授になるということは、その研究領域におけるフランス最高の権威であるということを意味するそうです。
このコレージュ・ド・フランスが、一般を対象とした講義・ゼミを行っています。写真はその2006~07のプログラムです。「数学・物理・自然科学」、「哲学・社会学」、「歴史・文献学・考古学」の3つの分野で、それぞれ多くの講義やゼミが公開講座として行われます。事前の登録等は一切必要なく、誰でもが受講できます。
10月9日、歴史関係の今年度最初の講義“La Gaul au lendemain de la victoire cesarienne”(シーザーによる支配直後のガリア)を聞いてきました。
これが、講義室です。いわゆる階段教室で、24x15列の360人が定員。講義開始20分前から入場できますが、10分でほぼ満席。座れなかった人は、左右・後ろで立ち見ならぬ立ち聴きになりました。聴きに来ているのは、平日の午後ということもあるのでしょう、ほとんどが退職後らしき年配の人たちばかり。どうも、日本の「市民講座」とか「区民講座」に近いノリがありますが、でも、教授よりも早く話の流れから固有名詞を口ずさむ人もいたりして、レベルの高い受講者もいるようです。
講義は、まず1時間で100枚ほどのスライドを見せながら、フランスに現存する、あるいは修復された古代ローマ時代の要塞・防御壁・物見の塔を紹介。休憩を挟んでそれらの役割等の説明がありました。
上の写真は、休憩用のロビーです。明るく、モダンな印象で、講義室ともどもコレージュ・ド・フランスに対する、なんとなく古くさい先入観を一気に払拭されてしまいました。
コレージュ・ド・フランスの外観は次のようです。
場所は、サン・ジェルマン大通りとサン・ジャック通りの角。ソルボンヌの向かい側です。歴史を感じさせる建物です。
入り口から中を見るとこのような重厚な雰囲気です。この右手の建物の地下に講義室があります。外壁や地上階はそのままで、内部や地下をリノベーションしている建物は多いのですが、この建物は見事です。外と中、地上と地下が、過去と今に見事に対比されています。さすが、知の巨人たちの生きる場所です。
因みに、ここの教授になった中には、
文学:ポール・ヴァレリー、ロラン・バルト
哲学:メルロ=ポンティ、ミシェル・フーコー
音楽:ピエール・ブーレーズ
歴史:ジュール・ミシュレ
人類学:レヴィ=ストロース
などがいて、またフランス学士院とコレージュ・ド・フランスの教授たちの推薦で任命される招聘教授にもそうそうたる顔ぶれが並んでいます。日本からは、文学の加藤周一氏、美学・美術史の高階秀爾氏が演壇に立っています。
研究活動はともかく、一般対象の講義では受講者に合わせているのでしょう、ソルボンヌ文明講座のコンファレンスを聴いているような感じでした。ゼミは言葉の問題もあり内容ともども難しいでしょうが、講義だけでしたら勉強の動機付けにはもってこいなので、また時々受講してみようかと思います。
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僕はワイン好きなので、すごくヨーロッパに興味がありますが、
まだ実際に訪れたことはありません。いつか行けるその日までこちらで頑張ります。またお邪魔させて頂きます♪
コメントありがとうございます。
プログラム内容は、ネットで調べられます。
www.college-de-france.fr
でご覧ください。ただ、ブログにも書きましたが、一般公開ですので、聴講する人たちに合わせたレベルになっています。
コメントありがとうございます。
貴ブログ拝見しました。ワイン、本当に詳しいんですね。私は残念ながら、ワインについては素人なのですが、ワインもフランス文化の一部。このブログで少しはフランス文化らしきご紹介ができればと思っていますので、引き続きご訪問、よろしくお願いします。