50歳のフランス滞在記

早期退職してパリへ。さまざまなフランス、そこに写る日本・・・日々新たな出会い。

フランス式しつけ。

2007-12-11 05:09:39 | パリ
日本に戻った際に、地下鉄の中で体験したことですが・・・すぐ目の前で騒いでいた子供の兄弟、その二人に向かって母親は何て言ったと思います? 「おじさんに怒られるから、静かにしなさい」・・・!?!? 周りを見回しても、他におじさんはいない。ということは、私がそのおじさん! どうして、私が怒らないといけないのでしょう。周囲に迷惑をかけていると母親なりに気がついたなら、大勢の中で騒ぐことはいけないことだと、どうしてきちんと言えないのでしょう。どうして他人のせいにして、自らの躾の責任からさえも逃げてしまうのでしょう。これが、わが子に対する親の躾なのでしょうか。わが子に、きちんと注意さえできない親。でも、これは、今に始まったことではない。数世代、同じ傾向があって、今の現実がある・・・

こんな日本の現状を思い出してしまったのは、フランス式躾に関する記事を読んだからです。



6日のフィガロ紙です。親たちは常にお尻を叩く躾に賛成している。日本では体罰は絶対にいけないことになっていますよね。でも、文化の国フランスでは、今でも多くの親がお尻を叩いて子供を躾けているんだそうです。

87%の親が子供の尻を叩いたことがある。しかも、その割合が増える傾向にある。1999年の調査では85%だったのが今や87%に。ただし他の体罰、例えばビンタ、ムチなどは減っているそうです。ビンタは以前は54%の親がしていたそうですが、今は25%に減っている。でも、四人に一人は、今でも子供にビンタを張っているんですね。ムチは今の老齢者は28%が子供に振るったことがあると言っていますが、今の親の世代では10%。でも、十人に一人がムチのような紐で子供を打っているんです! どうです、この躾。真似できますか?


(イメージ写真です、内容とは関係ありません)

ただし、こうした体罰、親がわが子にするのは良いが、他人がわが子にするのはだめだという意見が過半数を超えています。祖父母ですら遠慮せざるをえないようで、祖父母の58%が孫の躾のためにお尻を叩こうかと思っても、24%しか実行していないそうです。子供の躾は、親がする。他人は手を出すな、ということなのでしょうね。その代わり、躾の悪い子供は、その親の責任が問われる。だから、お尻を叩くくらいの体罰が必要・・・

もちろん、こうした体罰に反対の人たちもいます。体罰は子供にとって有害だという団体もあるようですし、体罰はそれを受けた子供に心身医学上の悪影響を及ぼすと警告する専門家もいます。子供が言うことを聞かなかったり、周囲に迷惑をかけていると、親はか~っとなって、子供のお尻を叩いたりしますが、それで親は溜飲を下げることができるかもしれませんが、子供にとってはただ痛かっただけ。同じことを繰り返すとまた叩かれるからしなくなるだけで、どうしてそれをしてはいけないのかをきちんと理解できたわけではない。お尻を叩くなら、どうして叩くのか、どうしたら叩かれないで済むのかをきちんと説明することが肝心だ、という声もあります。そのとおりですね、体罰がいいかどうかはおいておいてですが。

こうした体罰、フランス以外のヨーロッパの多くの国々ではすでに法律で禁止されているそうです。でも、フランス国内では、教育・躾に国家が介入するのは良いとしても、法律で禁止したりはすべきでないという声が多いそうです。そういえば、子供は動物と同じ、「人間」に育てるためには、しっかりと躾けなければいけない、というフランス人の意見を以前聞いたことがあります。人間になるよう教化するためには体罰もいとわない。これがフランス式の躾のようです。



この記事について、ネット上でアンケートをとったようですが、その結果がこれ。お尻を叩く躾を禁止すべきかどうか・・・ノンが89%。ほとんどの人が、法律で禁止すべきではない、要は、親が必要であると判断すれば叩くべきだという意見のようです。子どもは親に従わねばいけない、だから体罰が時には必要だ、ただし、慎重に、やりすぎないようにすべきだ。子の躾はその親の責任に任せるべきだ。こうした体罰賛成の理由が挙げられていますが、一方、体罰禁止に賛成の意見は、体罰よりも、子供との対話を通して躾けていくべきだ。親が言うことを聞かない子供に我を忘れて暴力を振るうのは決して認められない。しかし、その一方で、対話や話し合いで全てが解決できるというのは幻想に過ぎない、という意見もあるようです。


(イメージ写真です、内容とは関係ありません)

躾や教育・・・親、社会、時代、文化、価値観・・・いろいろなものが絡み合っていますので、一筋縄ではいかないのでしょうが、でも、社会の最小単位である家庭でまずは始めるべきではないでしょうか。少なくとも、最初の例のように、他人のせいにしてはいけないのではないでしょうか。そんなふうに思います。皆さんは、どうお考えですか。

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9 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
おしりを叩く (Kaoru)
2007-12-11 09:38:38
数日前にL'internaute.comのニュースで見ました(URL参照)
でも私のフランス語力では半分も理解できていませんでした。takeさんのレポートでやっとわかりました!「お尻を叩いてしつけをする」という動詞があるんですね。
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しつけは親の責任 (シエナ)
2007-12-11 09:43:56
takeさま
 しつけってむずかしいですよね。私も同意見、「家でしつけの基礎はしっかりと」と思います。親だからこそできるしつけって、あると思うのです、叱る、正す以外にも。後姿でしつける、というか。たとえば、電車の中での親自身のふるまい、挨拶、お礼、お詫びや電話の受け答えなどなど。ほんのささいな言動から、ある程度、その人の子どもへのしつけがうかがい知れるように思います。
 私は他人の子どもでも、親が見ていなくて目に余ると思えば、声をかけるおせっかいオバサンです。シルバーシートで、「ちょっといいかしら?」と、女子高生とか若者をどかせ、老いた母を座らせます。あら、ちょっと違う?(^0^)
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Unknown (Bon)
2007-12-11 10:47:38
以前バスで『運転手さんに怒られるよ』と子供を怒鳴っているお母さんに運転手さんがマイクで『運転手さんは怒りませんよ。お母さんが叱って下さい。』と言った事がありました。私は心の中で運転手さんに拍手していました。
我が家も主人は言っても解らない3歳までは、危険な事とルール違反は体で教えていました。
親に手を上げられた事の無かった私は反対でした。
ひとつの家族でも意見は違うのですから、難しいですね。
よく言われている『愛情ある体罰』は子供もわかってくれるはず?
せめて体罰の後はしっかり抱きしめてあげてほしいです。
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はじめまして・・ (teapotto)
2007-12-11 11:34:40
同感です・・
日本の親だけでなく・・
祖母でさえ・・
あのおばちゃんが睨んでるからやめなさいとか
いってます
私はいつもそれを腹立たしく思っています
お尻をたたくことはいけないことではありません
私も息子が小さいときにはお尻をたたいておりました
その後は目を見てどうして叩かれたのかを
しっかりと話てきました
大人になった息子から
悪いことをしたから叩かれたのであって
な~~んも思ってないよって
言われました・・
叩かないことがいい親なんて思っているのは
大間違い・・せっかんとは違うのですから
但し・・それも5歳まででした
それ以降は話をすればわかるようになりましたから
今の日本の子育て状況・・
最悪です・・
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子供の躾 (pinky)
2007-12-11 12:42:14
私も以前同じような体験をして、腹立たしくおもったことがあります。
今でもまだ、他人の目を気にして子供を叱る親がいるんですね。
最近では、もう他人の目さえ関係ないという親が多くてなっているように思います。
うちには20代の息子が二人おります。高校生になるまでビンタしましたよ。
幼い頃はお尻を叩きました。勿論、しょっちゅう叩いていたわけではありません。
基本的には、子供は褒めて育てるものと、思っています。「やってみせ、言ってきかせて、させてみて褒めてやらねば、人は動かじ」ですね。
しかしながら、言葉だけでは伝わらないこともあります。
親が何故こんなに怒っているのか、理解させるひとつの手段だと思っています。
だた、体罰を与えるには、それまでに、自分がいかに親から愛されているかを、身を持って分からせた上での行為でなければ虐待にあたると考え
ます。
褒めることもしない、叱ることも出来ない親が増えていると思います。
フランスに住んで、子供を地元の学校に通わせている女性がこんなことを言っていました。
「私の可愛い子猫ちゃん!あなたは何ていい子なの!と人前で平然と言えてしまう。フランスはアモールの国なのよ。かなわないわ。」
こういう土台があって、初めてお尻を叩く意味があるのではないかと思います。
所謂、飴と鞭・・・
そんなうちの長男は、「僕は親に厳しく躾られましたから。」が口癖です。(内心、喧しく言い過ぎたかと
反省することもあります。)
最近では、公共の場で騒ぐ子供をみると、その親に向かって「なんて、行儀の悪い子供だ。親の躾がなっていない!」と言うのです。
隣で母は、そういうあなたもまだまだ子供なんですけど・・・と思いながら、冷や汗をかいていますが。
少なくとも、機嫌が悪くても、笑顔で挨拶できる人、人に親切にされたら素直にありがとうとお礼を言える大人になって欲しいと願っています。

Takeさんのブログは、日本にいて当たり前になってしまって気づかなくなってしまったことを、改めて気付かせてくださいます。
躾という言葉の意味をもう一度見つめ直し考えて下さる方が多数あることを願っています。

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子育て (原宿)
2007-12-11 12:57:56
 数十年前、在日仏人家庭でau pairの真似事を経験。壁には鞭が掛かり、怒った父親が床を転げ回る息子に鞭を振るのを、嫌な気持ちで見ていました。決して体に当てることはなく、威嚇だったのでしょうが。
 2人の息子を育て、孫まである今となっても、自分の子育てが正しかったのか、まだ分かりません。
 子供は絶対、力強く抱きしめること。これだけは確信を持って言えます、反省を込めて。
 
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Unknown (ちぇりぃ)
2007-12-12 01:41:30
子供を叱ることをストレス解消の手段にするのは言語道断ですが、子供のことを本当に大事に思う愛情があるならばこそ、危険なこと、善悪の判断はしっかり躾けるべきだと思います。
愛情を持って真剣に叱ってくれるているのかどうか、子供は本能的に解かりますよね。
他人のせいにする親は、叱ることで自身が子供に嫌われたくないのでしょう。「褒めて育てる」方法は、子供を真剣に向き合う自信のない親にとっては、都合の良い言い訳になる危険を伴います。自分の身が可愛いだけの身勝手な親に育てられた子供は、そんな親の姿を真似して成長することになるのでしょう。
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Unknown (Unknown)
2007-12-12 01:49:15
最近の日本の傾向なのでしょうか、親が小さな子供にまでお願いし同意を求めたり、それからあまりにも頻繁に「ごめんね」と言うのを見かけます。
親は子供に謝ってまで「お願い」する必要はあるのでしょうか?

たとえば、今日も電車の中で聞こえてきた会話では
「今日の夕ご飯は、カレーでもいいかなぁ?」
「買い物に行った後で、宿題やってくれてもいいかな?ごめんね。(*親が子供に対して宿題をやるようにお願いしているんです。逆ではありません。)」

先日はデパートのトイレの前で
「今からここのトイレに行ってくれる?ごめんね。」
と5歳くらいの子供に親がお願いし、ご丁寧に「ごめんね」とまで言っているのを聞いたときには、思わず噴出しそうになりました。

それから駅のホームで、子供がいたずらをしているのに全く叱らず、そのままエスカレートした結果案の定ぶつかって泣き出しているのに、親や周囲はその原因となったいたずらを咎めることなく、ひたすら「ごめんね~」のみ。
子供が窮地に立ったとき、ただひたすら「ごめんね」と謝るだけの大人達は、子供の目にはどのように映るのでしょうか。
このときはさすがに、背筋が寒くなりました。
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ありがとうございます。 (take)
2007-12-12 05:53:45
コメントをお寄せいただいた8名の方々

皆さんに経験に基づくご意見、本当にありがとうございました。

叱るときはしっかり叱る、ただしその理由を説明して納得させ、同じ事を繰り返さないようにする。叱ると同時に、愛情はしっかりと言葉でも、ハグでも示す・・・

親や肉親の愛情に飢えて育つと、いろいろと精神的に不安定になるとも言われているようですね。愛情は、しっかりと。しかし、ただ甘やかすのではなく、善悪はしっかり教え、間違った場合には、きちんと正す・・・

言葉で書けばこう書けてしまうのですが、それを実行するとなると、難しい。至難の業。でも、親はそれをやらねば・・・だから育児は育自とか、確かいわれるんですよね。子を育て、子に育てられる。

日本に、皆さんのような立派なお母さんが増えれば、日本の明日ももっと明るくなるような気がします。でも、現実は、皆さんお気付きのような状況です・・・

家族の数だけ、親子関係の数だけある、子育ての方法。やはり、一人ひとりがしっかりと対峙し、考えていかないといけないのかもしれませんね。

最後につけ加えさせていただければ、父親の役割はどうなったのか。「仕事が忙しい」を都合のいい言い訳に、家庭から、育児から逃げてはいまいか。フランスの写真、お尻を叩いているのは、父親。また、皆さんのご家庭でもお父さん(ご主人)が叱ってくれた。しかし、多くの家庭、またより若い世代では、どうでしょう・・・

母親、父親が共同で行なう子育てへ・・・それでも、難しい問題。しかし、難しい、難しい、と言っているうちに子は育ち、子は親の作品として生きていく・・・

これからも、いろいろご意見をお寄せいただければ幸いです。
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