【ネタバレあり】
話題のヴァンパイア映画を観た。
めずらしいスウェーデンの映画。切なくて甘酸っぱいなんとも言えない余韻を残してくれた。
初恋の物語でもあり、少年の成長譚でもあり、結構激しめなホラー描写もある。それらがしんしんと降り積もる雪の静寂さを媒介にして淡々と溶けあっている様が美しい。
エリは200年もの間12歳の体で生き続けている。人の生き血を喰らい、壁や木を登るような特別な身体能力もある彼女、しかしその姿は「弱き者」として描かれる。体が子供であるために捕食には危険が伴い、光にあたれば燃え尽きてしまう。そのため人間の庇護者が必要となる。
少年オスカーとの交流は純粋な恋心ではなく、エリの生存本能からの選択だったのかもしれない。硫酸をかぶった彼に同じくただの何十、何百人目かのボディガードなのかもしれない。また一方オスカーから見れば都合よく心の欠乏感を埋めてくれるただの隣人だっただけかもしれない。
英語原題は『 LET THE RIGHT ONE IN 』。直訳すると「正しき者を中に入れよ」といったところか。一人ぼっちだった少年と一人で生き続けなければいけない少女が、お互いを受け入れることで迎えるラスト。甘いモールス信号で語り合い、幸福感で満たされるその一刻。まるでハッピーエンドのようにも見えるその先には新しい二人による無間地獄が待っている。あまりの切なさにエンドロール中、呆然とした。
リメイクがクロエ・"ヒットガール"・モレッツというのは嬉しいのだが、これは北欧の土着臭の漂う映画、結果やいかに。
■『ぼくのエリ』予告編(Youtube)
評価:★★★★☆
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