フクロウの食物の識別の試みとその教材利用の可能性
高槻成紀
日本野鳥の会神奈川支部研究年報 BINOS 第 30 集 (2023) : 23-28
フクロウのペリットあるいは分析が困難と思い敬遠 されがちである。そこで検出される骨の識別法を試み た。特に重要なのはアカネズミ類とハタネズミ類の識別で、これは下顎骨により確実に可能である。またこ の材料は骨の学習にも適している。代表的な骨の特徴を以下に示した。
図 1 アカネズミ(A)とハタネズミ(B)の下顎骨と臼歯
図 2 アカネズミの骨格と主要な骨
図 3 モグラの骨格と主要な骨
図 4 ドバトの骨格と主要な骨
図 5a 主要な骨の一覧図
図 5b 主要な骨の一覧写真
図 6 アカネズミの切歯(上)下顎骨(下)
図 7 モグラの鎌状骨
図 8 モグラの下顎骨
そしてフクロウの食物を調べることの教 材としての可能性を、
1)フクロウのネズミ捕食の特 徴を学ぶ、
2)食物連鎖と頂点捕食者の意義を学ぶ、
3) 齧歯類、食虫類、鳥類の骨を学ぶ、
4)リンゴ園の被 害対策におけるフクロウの活用成功例を通じて保全生 態学を学ぶ、
などの利点があることを指摘した。