その名も、まめちゃん。-虹色流星号-

日本一ダメダメ男、まめぞの日記。
...今日もトホホな一日を過ごしました。
 *旧「その名も、たぁちゃん」

便所 de 尊厳死

2011-01-20 14:22:40 | 潰瘍性大腸炎-入院日記5-
入院日記17話「便所 de 尊厳死」


**************

恐怖の看護師シリーズ第4話(終)
入院日記16話「妊娠→[地球外生命体]→出産…!?」のつづき。

【あらすじ】

検査室で仕事をして患者を診るのは初めてという看護師のOさんが異動でやってきた。

Oさんが点滴をつなぐのにもたついていると、エイリアンが飛び出すような痛みがおなかに襲いかかってきた。

最低限の調節をしてもらって僕はトイレに駆け込み、1.1秒で個室に入る。間に合った~(´▽`)

 …ん!?、んん!?

 …こ、今度はなんだ('〇';)


**************


やたら体がゾクゾクするぞ。


 なんだ? なんだ?


ゾクゾクっというより、体中がシュワシュワってする。なんていうか、血管の中を大量のメダカが泳いでいるような…。


ハッΣ(゜ロ゜〃)


 …この感じ、知ってる!


 …間違いない!!


 …点滴のせいだ!!!


いちにのさん!で顔を上げると…


 ほら…(´△`)


抗生剤の点滴が空っぽ、全部落ちてる…。

ひたすら腹を抱えてうずくまっていたから気づくのが遅れた。30分かけて体に入れる薬が、一気に体内に流れ込んだってことだ。


 …っていうか、ま、まさか


速さを調節する所(ポタポタっと雫が落ちるところ)を確認すると


 …全開になってる( ̄Д ̄;)



ていうかOさんめっ!! トイレに行こうとするのを制止してまで点滴を調節していたのに…(ー'`ー;)


心臓もバクバクしだしたし、変な汗が出始めた…。


これ、ヤバくね? ヤバくね? ヤバくね?

 
 …このまま僕は、便器に座ったまま死んでしまうのか?

 …カギをかけたままで見つけてもらえるかな?

 …発見されたとき下半身が露わなのは、死んでいても死ぬほど恥ずかしいな。

 …かといって、ズボンを履いたまま便器に座って死んでいてもおかしいしな。


 …な~んてバカなことを考えているような体調ではなかったのだけれど、「Oさんの待つ病室に戻りたくない」と思ったことだけははっきり覚えている。


 願わくばこのままトイレで尊厳死を~


しぶしぶ病室に戻ると、他の患者のもとへ行っていたベテラン看護師Kさんも戻ってきた。

K「…!? あ、抗生剤…、ちっちゃいから、早く終わっちゃった…ね(汗)」

Oさんの「主査」という立場を考慮した言葉、若干震えてたし、ホントに語尾に(汗)がついてた。


僕はといえば、ただでさえ高熱と腹痛で苦しんでいた上に、心臓バクバクが半日も続いた。


 …マジ、殺されかけたぞ(ー'`ー;)


【終】

**************

この翌日、僕は夢でもOさんに殺されかける…

 →第18話「Rusty nail」


さらにその後も、僕はOさんによって次から次へと苦しめられることになる…


・・・〓■●

妊娠→[地球外生命体]→出産…!?

2011-01-20 07:05:50 | 潰瘍性大腸炎-入院日記5-
入院日記16話「妊娠→[地球外生命体]→出産…!?」


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入院日記15話「SAY NO ~断って、今は、頼むから…」のつづき。


【あらすじ】

主査という役職のついたOという看護師が異動でやってきた。

「こうして患者さんを診るの初めてなんですよ」
「大丈夫かしら…」

なぜか僕が実験台になり、抗生剤の点滴をつなぐ方法をベテラン看護師Kさんが教えている。

そこにナースコールが鳴り、Kさんは他の患者のもとへ向かった。

Oさんをひとり残して…。


**************


 …ダメだ、絶対に。

 …イヤな予感がする。


Oさんと僕、ふたりきりになってしまった(鬱)


と、その時である。


エイリアンが飛び出すほどの強烈な痛みが、突然おなかに襲い掛かってきた。


もともと一日中腹痛でうずくまっているのだけれど、これは一体…!?

やはり、潰瘍性大腸炎はストレスが関係するのか…?それともホントにエイリアンを身ごもってしまったのか…?


僕「ト、トイ、レ、に…」

看「待って、今繋げるからそれから…」


 (/||| ̄▽)/マジかよ...。

 …なぜだ、トイレから帰って来てからつなげばいいだろうに。

 …早く、早く、

 …っていうかもたつきすぎだろ、そろそろ、限界、待てん!


僕「い、いや…ム、リ…」


 …爆発カウントダウン始まってる。


僕「ムリムリムリ!!トイレ、トイレ、トイレ~~!」

看「分かった、いいよ、あ、コレだけ、はい、行ってらっしゃい」


 …お、鬼かっ!!点滴なんてとりあえず止めておけばいいものを、落とす速度の微調整とは…オレの病気分かってんのか?(`□´)


ヤバい。こっちは微調整なんてきかないぞ~(-゛-;)~

トイレに向かうのに、少しでも時間ロスを省くために点滴棒を持ちあげて走った。でも、全力疾走はできない。お尻に力を集中しているからだ。


@@@@...(((/ToT)/...∥WC∥


**************

→トイレ→個室


手前に開く個室のドアを右手で開ける。便座カバーが空いていることを確認し、まず体を先に入れ180度ターンを鮮やかに決める。それから左手の点滴棒を個室に入れる。ドアはバタンと勝手に閉まってくるので、そのまま左手でカギをかけ同時に右手でズボンを下ろす。以下、省略。


 …間に合った~(´▽`)


トイレに間に合っても、個室でもたつくと大惨事になるのだ。ここをいかにスムーズに決めるかを常に追求し続けて、個室のドアを開けてから1.1秒ぐらいで便座に座ることができるようになった。ん~、あと0.1秒がなかなか…。

…くだらない話はおいておいて、エイリアンが生まれてこなくてホントに良かった(´▽`)←十分くだらない…


痛みは多少ひいたが、ホッとできるほど楽にならない。まだ個室にこもっていたいところだが、看護師が待っているので一度帰ろう。それからもう一度…ん!?、んん!?


 …こ、今度はなんだ('〇';)

【つづく】

**************

エイリアンが腹から飛び出す画像を探していたら、気分が悪くなってしまったので、サミーのキャラクター「エイリやん」をペタリ。

コイツはパチンコやスロットの演出に出てくるプレミアキャラで、エイリやんが出たら大当たり確定!!


「おめでとう!」ヾ(〃^∇^)ノ

SAY NO ~断って、今は、頼むから…

2011-01-19 17:14:03 | 潰瘍性大腸炎-入院日記5-
入院日記15話「SAY NO ~断って、今は、頼むから…」


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恐怖の看護師シリーズ第2話
入院日記14話「虚弱体質不完全体OGW」のつづき。

【あらすじ】

主査という役職のついたOという看護師が異動でやってきた。

「こうして患者さんを診るの初めてなんですよ」
「大丈夫かしら…」

 (/||| ̄▽)/マジかよ...。

Kというベテラン看護師が点滴のつなぎ方を手取り足取り教えている。

 なぜだ、なぜに僕が実験台なんだヽ(__ __|||)…


**************


と、その時である。

他の病室でナースコールが鳴った。


K「あとは大丈夫ですよね? 私、コールの方見てきますね」

O「…はぃ」


 (/||| ̄▽)/マ、マ、マ、マジかよ...。


なぜだ、なぜ「はい」なんて答えたんだ、しかも自信なさげに…。


 …ダメだ、絶対に。

 …イヤな予感がする。


具合が悪くて朦朧とする頭の中では、あの歌の、あのフレーズがエンドレスリピートしていた。


**************

 SAY NO 断って
 今は SAY NO 頼むから
 (Please say no)

 (♪「SAY NO」ゴールデンボンバーより)

**************


これ、これ、これ!
CHAGE and ASKAの「SAY YES」のパロディなんだけど、歌い方までASKAそっくりで、2回目のSAY NOの部分が一度聴いたら頭から離れないんだよね。

この2回目のSAY NOを感情たっぷりに心で叫んでたね。


そして、

Oさんひとり残して、Kさんは出て行った┌|゜□゜;|┐


と、その時である。


【つづく】

**************

一番だけだけどyoutubeにあったのでペタリ。



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「SAY NO」
 歌:ゴールデンボンバー
 作詞:鬼龍院翔


眠りから覚めて
砂とホコリまみれの僕の夢
君だけはどうか
他の誰のものにならないで

SAY NO 断って
今は SAY NO 頼むから
(Please say no)
どんなに想っても君は彼の家へ向かう

届かぬこの気持ち
今はただなだめよう
どこにも行けない
君を待つよこの家で


これからの僕ら
もう今までのように会えないね
「いつかまた...」なんて
君の気持ちは既に聞いたのに

SAY NO 言わないで
今は SAY NO 頼むから
(Please say no)
どんなに見つめても君は遠く離れて行く

届かぬこの気持ち
今夜どこか捨てよう
どうにも出来ない
君の心までは

言わないでお願い
傷付いてしまうから
捕まえていたい
君を作るもの全て


SAY NO 断って
今は SAY NO 頼むから
(Please say no)
どんなに想っても君は彼の家へ向かう

届かぬこの気持ち
今夜どこか捨てよう
どうにも出来ない
君の心までは

言わないでお願い
傷付いてしまうから
捕まえていたい
君を作るもの全て

**************

虚弱体質不完全体OGW

2011-01-19 02:24:43 | 潰瘍性大腸炎-入院日記5-
入院日記14話「虚弱体質不完全体OGW」


これは、入院一週間目ぐらい10月初旬の話である。


先日、錆びた釘を飲み込むという苦しい夢の話をしたが、そこに登場してきた看護師の話。

マジ殺されかけたから…(-o-;)


**************


10月は異動の時期であるが、看護師の世界も同じらしい。ひとりの看護師がやってきた。Oさんだ。「主査」とかいう役職が付いている。

名前は、今風の略し方でいうと「OGWさん」ということになるが、面倒なので「Oさん」とする。

よくわからない役職名だけれど、「看護師歴長い=若くない」ということは言えるだろう。


残念である( ̄∧ ̄)


入院して7日目ぐらいだろうか、まだまともに眠ることができず、入院中で最も体調が悪い日だったと思う。熱も38度近くあった。

Oさんは他の看護師(Kさん)とともに挨拶にやってきた。


Σ(・ω・;|||

うわっ!虚弱体質不完全体!!


Oさんは明らかに不健康な体格に弱々しい声、頼りない…。


体拭きがどうたらこうたら言っているのだけれど、自分の体調がどうにもこうにも悪く、ひたすらベッドの柵に持たれてうわごとのような言葉しか出なかった。

「もう、それどころじゃないって感じね」というKさんの言葉で体拭きはなしになった。

Kさんはサバサバしていて、ハッキリとものを言う。Oさんとは正反対の看護師だ。


ふたりは一度退散したが再びやってきた。今度は抗生剤の点滴を繋げに来たのだ。栄養を送るメインの点滴に50mlの小さい薬を繋げるのだ。


話によると、今まで内視鏡室での仕事をしていたとのことだ。僕の検査の時にも立ち会ったことがあるとかないとか、どうにもうさん臭い話をされた。

「こうして患者さんを診るの初めてなんですよ」と自信なさげな声で言いだして「大丈夫かしら…」みたいなことまで言い出す始末。


 (/||| ̄▽)/マジかよ...。


 …ダメだ、絶対に。

 …イヤな予感がする。


Oさんは点滴のつなぎ方や、調節の仕方をKさんにひとつひとつ教わっている。


 しかも、なぜに僕が実験台なんだヽ(__ __|||)…


と、その時である。


【つづく】

急下降↓逃避行→

2011-01-09 16:46:12 | 潰瘍性大腸炎-入院日記5-
第13話「急下降↓逃避行→」


第12話「夢飛行↑急下降↓」のつづき。



このスイッチを入れると、時速400キロまで出る改造がなされているのだ。もちろん違法である。

(傾斜80度の坂道を登るときに使えばよかったのに…)



高速道路はあきらめて、一般道でかっ飛ばしてやる!!




スイッチオン _ρ゛(・・ )


バタンッ!


運転席のシートが倒れた。180度。地面と平行だ。完全な仰向けだから、フロントガラスからは前方が見えない。前が見えると、ぶつかる怖さから時速400キロまで出せないためにこんな無茶な仕様になっているのだ。それでも、車にはぶつからないような設計がなされている点が特許に値する。


(傾斜80度の坂道を落ちるときに使えばよかったのに…)


パトカーが帰っていった方向と逆に進路をとれば安全だ。


しゅっぱーつ(/*⌒-⌒)o


キーーーーン!


( ̄ω ̄;)!!


マジかよ…。


なぜだ、なぜパトカーがいるんだヽ(__ __|||)…


発車して早々パトカーを抜いたせいで追われるハメになったε=ε=ヘ(;゜∇゜)ノ


んもう、爽快なドライブを楽しむはずだったのに、悪夢でも見ているようだ。


捕まるわけにはいかない。こうなったら最後の手段だ。


 →脱出する。


こんな時のために非常用のスイッチがある。こっちの赤いボタンだ。



スイッチオン _ρ゛(・・ )


**************

お話の途中ではございますが、【非常口のマーク】の逃げる人物について考えてみたいと思います。

アレって、どんな格好なんでしょうか。

…どっちの腕が前で、どっちの足が前なのか。

前に出ている腕は左腕のような感じがするし、前に出ている足も左足のような気がする。でも、左腕と左足が前に出ていたら、走り方として成立しないし、ヘンテコリンすぎてとても非常事態に感じない。

前に出ている腕は右手なのか。するとこっちを振り返っているのか。非常事態のくせに余裕をかましているのか。振り返りながら逃げている姿はまるで泥棒のようだ。

非常口のマークについて討論しているところ見つけたのでペタっと
http://omegavip.blog31.fc2.com/blog-entry-134.html

**************

非常事態にこんなこと書いている場合ではなくて、脱出だ。


スイッチオン _ρ゛(・・ )


バコーン!!


180度に倒れているシートが、車体の下に落ちた。ようするに、車本体を捨てて自分だけが脱出するのだ。完全にアクション映画の世界。

僕はツタンカーメンのように仰向けに寝たまま400km/hで走り抜ける。都合がいいことに、この運転シートにエンジンや、車をよけるシステムが搭載されているのだ。

残された車体の方は、勢いそのままで赤の交差点に突っ込み、大事故を引き起こした。さらに突進してビルに突撃して大破した。

追跡してきたパトカーもその事故に巻き込まれて大破。



ふっ、助かったぜ(*б0б)v


**************

ん?


目を覚ますと、僕は病院のベッドに横たわっていた。


そりゃそうだ、入院中だからな。それにしても、ものすごく疲れる夢だった。夢に逃避行をしたつもりが、夢でも逃避行とは…。


え?彼女?


う~ん。車に残したままだから、ビルに突撃して大破したことになるね(笑)

**************


この夢を見てまもなく、実際に警察のお世話にもなるし、彼女とも別れることにもなるのだが…。


【完】

夢飛行↑急下降↓

2011-01-09 05:38:22 | 潰瘍性大腸炎-入院日記5-
第12話「夢飛行↑急下降↓」


第11話「逃避行→夢飛行↑」のつづきです。



…終わったな。


傾斜80度の壁のような坂道を僕らの車が後退していく。もはや落下だ。脱線するジェットコースターのようなものだ。

スピードメーターも200km/hを超えている。

このまま僕らは3車線の交差点に突入する。最悪なことに信号は赤になったばかりだ。


「これは夢だ、夢に違いない」願ってみたがどうやら夢ではないらしい。神様も完全にシカトをかましている。しかし、このまま簡単に死ぬわけにもいかないので、やれるだけのことはやってみよう。


車をうまくよけて3車線を横断するしかない。


もはや運任せだ。運にすべてをかけるべく目をつむった。自殺行為だと思うなかれ、こんな状況なら目を開けていたところで事故る時は事故るし、助かるときは助かる。

僕らは時速200キロオーバーで交差点に突入。勘に任せてハンドルを右や左にふる。


ゴゴゴゴゴ…


ザザザザザ…


うゎ、なんだなんだなんだ!?


ぉお!!


横断成功したっぽい!オレって天才だ!まるで夢のようだ!なんてことを思いながら状況を把握する。

横断には成功したがそのまま縁石を乗り越えて道なき道をすすみ、公園の周りの垣根に擦って止まったらしい。


車も無事だし、奇跡としか思えない。


=( ̄□ ̄;)⇒


喜びも束の間、パトカーが3台やってきた。

ふざけたことに「バックのスピード違反」がどうのこうの言ってやがる。


警「この車、違法な改造してませんよね?」

僕「えっ!?…してません」

警「ちょっと車調べさせていただきますね」

僕「…はい」


まずいなぁ…。しかも彼女にも聞くのかよ…。あいつはKYだから、何もためらわず口を割りそうだ(-o-;)


警「彼女さん、この車、改造とかしてないよね?そういうの見たことない?」

♀「車洗ったことならあります」

…会話不成立、終了。


車の故障ということで「バックのスピード違反」を免れることができ、ついでに業者を呼んで壊れたブレーキなども直してもらった。業者が来るタイミングが遅かったらバレていただろう。


「…危なかった。よくこのボタンに気付かなかったな。こうなったら気分転換にコレ使っちゃうか」

パトカーも帰ったばかりだし大丈夫だろう。一連のことで気分を害したので、使っちゃうことにした。



スイッチオン _ρ゛(・・ )


【つづく】

逃避行→夢飛行↑

2011-01-08 02:39:45 | 潰瘍性大腸炎-入院日記5-
入院日記未公開ネタ放出キャンペーン第一段
「奈落の夢」シリーズ

第11話「逃避行→夢飛行」


これは10月初旬の話である。


入院して1週間。相変わらず激しい腹痛と下痢下血と熱にうなされている。ベッドに横になることもできず、ベッドの横にさしてある策に持たれてうずくまる毎日。病院に入ってからも、まともに眠ったことがない。気絶するように眠りについて、腹痛で目が覚める。僕の体には昼と夜の境界線がない。


現実が地獄なら、夢に助けを求めたくなるのは当然である。


さぁ、僕と夢の世界へ逃避行の旅に出発しよう(/*⌒-⌒)o



**************


天気もいいし、こんな時は助手席に彼女を乗せて、どこか遠くにドライブがいい。


ところで、僕は高速道路が苦手だ。これは正確な表現ではないな。苦手なのは高速道路に乗るまでだ。

特に、これから向かうインターチェンジは苦手だ。僕の乗っているのは軽自動車(Carol)だからいつも馬力不足で失敗する。


 …今日はうまくいくだろうか


本線への合流を苦手とする方も多いと思うが、僕が苦手なのはこれではない。


では、何が苦手かって?


高速道路までの坂が苦手なのだ。ここのICは傾斜が激しくほぼ垂直。道のわきには【傾斜80度】の標識が立っている。


この壁みたいな坂を登るのが心身ともにツライ。車のパワー不足でよく落下しそうになるのだ。ほかの車はどうしてこんなに簡単に登って行くのだろうか。


助走ポイントの信号が青に変わった。僕もアクセルを思いっきり踏んで突っ走る。傾斜80度の坂に入るととスピードが徐々に落ちてくる。


 …おっ、いつもよりもスピードが落ちない、今回はいい感じだぞ。


僕の車の左右をカッチョいい車が抜いていく。でもそんなことはどうでもいい。今日は難なく高速道路に乗れそうだ。


頂上まであと少し。


ぐぉぉーん!!


 …イケる(゜∇^d)


ぐぉぉ…。スー。


ん?


音が消えた。


エンジンが、止まった。


このままでは、落ちるΣ(・ω・;|||


「えっと、えっと…」


落ちつけ、まだ車は前進してる。サッとエンジンをかけるんだ。アレ?あ、そっか、ギアをパーキングにしないと。むっ、そのためにはブレーキを踏まなければならないか、リスクがでかいな。ギャギャギャっと。よし、これで、カギを、アレ?もう一回、アレ?アレ?アレ?


 …そして車は止まり、落下を始めた。


ウザいことに隣の彼女が騒ぎ出した。もともと絶叫系が苦手だから、無理もない。


「大丈夫、大丈夫、大丈夫だって。こういう落下系の夢は良く見ているからな。何とかなるよ。」


まったくもって説得力のないんだけど、これで彼女はおとなしくなった。よし、落ちつけ、まずこの落下を止めるにはサイドブレーキだ。せめて落下スピードを抑えることができる。


バキッ!!


オーマイガッ( ̄Д ̄;)


なぜだ…、夢ではいつもうまくいくのに…。


ウザいことに隣の彼女が再び騒ぎ出した。


「大丈夫、大丈夫、大丈夫だって。えっと…。」


 …そして車はものすごいスピードで後退を始める。


「やっぱダメかもっ!!」


まずいな。ブレーキもいかれたし、このままだと思いっきり交差点にバックで突っ込むことになる。


しかも赤だな。


相手は3車線だし…。


終わったな。


…終わらず、続く。


【つづく】



入院日記 第49話「退院」

2011-01-07 02:49:05 | 潰瘍性大腸炎-入院日記5-
第49話「退院」



第1話「虹色流星号」で始まった入院日記も、ついに記念すべき第49話目を迎えることになりました。

そして、ついに退院です、よっ!!


思い起こせば、あんなことこんなこといろいろありました、ねっ!!


【完】

**************

【質疑応答コーナー】


Q.1 第11話~第48話が公開されていないがどうなってんだ? 本当は書いていないんだろ? んぁ? (20代♂)

A.1 残酷な沈黙をしてしまって申し訳なく思っています。「本当に書いてあるんだけど…」と易しい嘘(漢字違い)をついてみる。


Q.2 第10話のコメントに、ちぃこさん(リアル妹)から「しかしながらこれから驚愕の奈落がまってるけどそれももちろん書くよな(Θ_Θ)」と書かれていますが、驚愕の奈落って? (30代♂)

A.2 ちょうどあのころだから、アレのことかなと思うけれど、正確には分かりません。そもそも「驚愕の奈落」という言葉自体、日本語としておかしくね?


Q.3 入院するまでの話を散々書いておいて、いきなり退院の話って…、これで入院日記と言えるんですか? あんが入っていないパンをあんぱんと呼べますか? (40代♀)
 
A.3 たしかに。…でも、あんぱんの場合、パンを最後まで食べてみないと、本当にあんが入っていないか分からない。ところが全部食べてしまってからでは、本当にあんが入っていなかったのかを証明できない。どうしたらいいんですかね?話が全く違うわけですが。


Q.4 そもそも、なんで途中で投げ出したんですか?(10代♂)

A.4 投げ出した…(汗) 実際には第15話くらいまでの仮タイトルや構想ができていたけれど、「奈落の夢」という仮タイトルがついた第11話が非常に難産で、3日間くらい携帯の画面と睨めっこしていたけれどうまくまとまらずに投げ出し…いや、お蔵入りとさせていただきました。


Q.5 あんなことやこんなことのお話はそのままお蔵入りなんですか?是非読んでみたいです(20代♀)他、同様の意見が世界各国から送られています。

A.5 なるほど、なるほど。…わかりました。書きましょう。


Q.6 そういえば、不思議の国の住人である彼女さんは?mixiのフォトアルバムもなくなっているし。(30代♂♀)

A.6 それは非常にプライベートな話。公共性はない…と再び山路氏に登場してもらって…(笑)


さて、会議がありますでこの辺で…。


さいなら、さいなら、さいなら。


~~~~~(ノ≧ロ)ノ


**************

病-in 奈落

2010-10-23 10:44:45 | 潰瘍性大腸炎-入院日記5-
第10話「病-in 奈落」



病院は天国だと思っている人がいる。入院すれば楽になると、助かると。医師や看護師が常に看病してくれるからと。


実際には何も変わらない。入院したところで症状が良くなるわけでもない。苦しみは一緒だ。


奈落は奈落だ。



例えるなら、病院は《現世へ戻るための訓練所》といった感じだ。

医師でも看護師でもない、自分で現世に戻る場所のだ。


余裕の遅刻で病院に行くと、病棟のナース達が「お待ちしておりました~」と笑顔で迎えてくれた。遅刻に対する皮肉も若干込められていたが…。


一昨年の、去年と毎年3ヶ月以上入院しているせいもあり、妙に親近感がわく。お互いによく知った顔だ。


去年の入院日記で何度も登場したおてんばナースや、とても感じが良いO竹さんや、妹の同級生S堂さんやら、またいろんなドラマが生まれそうだ。


まず体重を計る。



ゲゲゲッ!
ちょうど一週間前の外来で計ったよりも3キロ減った(°□°;)


一週間で3キロ減!!


食わずにひたすら血だけ出してたら、そりゃ痩せるな。ダイエットには向かないけど。

絶食で24時間点滴。計2100ml。

今まで栄養が取れなかった分、体は楽になるはずだ。でも、今まで取れなかった水分が昼も夜も止まらず大量に体に入ると言うことは、下痢が激化するのも必至だろう。



はぁ…。
入院したところで、奈落は奈落だ。

NEW-in

2010-10-18 06:12:23 | 潰瘍性大腸炎-入院日記5-
第9話「NEW-in」



カタカナの次は英語のタイトル!入院する気満々で診療予約の日を迎えた。



9/22


採血の結果に変化が現れた。先月までは体は具合悪いのにデータには反映されてなかったのだ。


炎症反応(CRP)が上がってきた。微妙な数値だが正常値を越えた。

ひととおり病状を説明したところ「プレドニンを20mgまで増やして様子見、これでダメなら入院」ということになった。

次の診療予約は4週間後。


…憂鬱だ。


今、ただでさえまともな生活ができないのに、これを更に1ヶ月続けるのか。良くなるか分からないのに…。


…憂鬱だ。


…無理だ。


仕事を1週間休むことにした。1週間ひたすら療養して症状が悪くなるなら1ヶ月待つ必要ない。


症状は更に悪くなり、食べることもまともにできなくなった。下血回数も20回を越え、寝る時間さえ奪われた。


まるでここは奈落だ。



9/28


1週間の奈落生活を経て、朝早くから予約なしの受付をする。フラフラを見かねた看護師にベッドを用意してもらい、診察を待つ。

恐ろしい時間待って診察をし、入院が決まったのは午後3時くらい。そのあと強制的に点滴をされて家に帰ったのは夜8時だ。採血の結果、貧血は進んでいなかったが、炎症反応が一気に高くなっていた。


ぐったりだ。


一日おいて明後日から入院だが準備する気力が全くでない。出るのは血ばかりだ。


それは入院当日の朝まで続いた。


そして、余裕で《遅刻》した。。。

ジ・エンド

2010-10-17 07:56:07 | 潰瘍性大腸炎-入院日記5-
第8話「ジ・エンド」



漢字ばかりの堅苦しいタイトルが続いていたが、ここで一変、カタカナのタイトル。話の内容は少し遡る。



8/25

月一の検診。すでに体調は荒波に乗っていた。トイレの回数が3~5、毎回血が混じるようになってしまった。ここまで来ると抜け出せない。日を追うごとに症状がみるみる悪化して、最後には手に負えなくなり《入院》ということになる。今までがそうだ。



副作用の上からも、くそ苦いことからも、僕が勝手に《毒薬》と称している薬がある。「プレドニン」というステロイド剤だ。

事実、この薬は飲み続けることのリスクが高いため減らさなければならない。しかしながら、強力な分ごく少量ずつ慎重に減らさなければならない。実に厄介な毒薬だ。


約1年半かけて最大量の40mgから12.5mgへ減量してきた。ここで15mgへと増量になる。


外来で出せるのは20mgまでらしい。それ以上は副作用の関係か入院でないと処方できない。少なくともここの病院ではそうしている。

逆にいうと20mgでダメなら入院ってことだ。

良くなる気が全くしないが、これで4週間様子見だ。


…憂鬱だ。


…憂鬱だ。


…憂鬱だ。



…やはり落下スピードはただただ加速するばかりだった。


トイレの回数も10回を越え、何をするにもまずはトイレという生活。

仕事帰りの便失禁も繰り返すようになった。
仕事中は自由にトイレに行けないし、気を張っているため、相当な負担がかかっているらしい。しっかりトイレに行ってから帰っているが、猛烈な痛みが突然襲いかかり、トイレまでの猶予時間は30秒もないと体が訴える。


ジ・エンドだ。



帰りは深夜1時くらい、人は多いが電車を降りて駅から歩いている最中におこるということが、せめてもの救いだ。便失禁をしたまま急いで帰る。

当たり前のことのように繰り返す。


遂に職場でもしでかした。突然襲う猶予30秒の激痛。もちろんジ・エンドだ。


●■〓



9/22がやってくる。
…入院しかない。


ジ・エンドだ。

奈落への首吊り紐

2010-10-13 19:20:28 | 潰瘍性大腸炎-入院日記5-
第7話「奈落への首吊り紐」



社長椅子にキャロルはいない。

ずっしりと重い痛みをお腹に抱えて、部屋に戻ってきた。そして、いい意味でアンティークなおんぼろのひとりがけソファに深く座る。テレビを見るときに中央までやって来るが、基本的にテレビを見ない性分、いつもこのソファは部屋の隅に追いやられている。


今は隅っこにいたい気分だ。


ここはまるで奈落だ。一日中ひたすら腹痛に苦しみトイレで出血するたけの生活。虹色流星号は奈落に堕ちた。



これはっ!?



ちょうど首を通すことができそうな輪っかが朦朧とした視界の前に見えてきた。


首吊り紐!?


実際に首吊り紐がある訳じゃない。カーテンレールにサウナスーツのズボンが掛けてあるのだが、その裾を絞る紐がその正体だ。

直径3cm位の小さな輪っか。黒目より微かに大きいというだけで、間近で見ると顔の大きさにまで見えてくるから不思議だ。



もし首吊り紐が本当にあったら、僕は首を吊るのだろうか。


「死んだ方が楽」と感じる事は確かだ。でもここが奈落なら、奈落にいる者が首を吊って奈落から脱出できるはずがない。

ここが奈落ではないにしても、やはり首を吊った者は奈落に落とされるのではないか。

首吊りなんて結局は奈落への入り口でしかないのではないか。


まぁどうであれ、残された人のことを考えたら自殺なんて到底できないのだが。


そうだな。この部屋で死ぬとしたら、地震が起きたときにずっと長いこと買い替えを宣言してるこの大きなブラウン管テレビの下敷きなるとか、ずっと不調な自作パソコンのメンテナンス中に感電するとか、まぁそのくらいしか浮かばないな。




…そろそろギブアップだな。

死ぬほどの痛み

2010-10-11 19:21:47 | 潰瘍性大腸炎-入院日記5-
第6話「死ぬほどの痛み」



実は、先ほどトイレから帰ってきたばかりなのだ。部屋に戻ると社長椅子でキャロルが待ち構えていた、ただそれだけのことだ。


そこから僕は《現実逃避》を始めた。


が、もう限界だ。痛みは激しさを増し、まっすぐ歩くことすら適わない。



死ぬほど痛い。



果たして、部屋には何分いれたのだろう。10分か20分か、文字にしたら2300文字ぐらい。その程度でまたトイレに戻るはめになった。


ツラい。



回数や出血よりなによりもこの痛みがツラい。


いわゆる下痢の痛みなんかとは格が違う。この痛みを伝えるのは難しい。



破裂しそうな痛み。



この病気になり、このくらい症状が悪化したときにしか味わえない鋭い痛みだ。痛みの槍が腰まで貫いてくる。



死ぬほど痛い。



呻き声を出さずにはいられず、トイレに入ればじっとしてはいられない。足を地面に叩きつけたり、頭をかきむしったり、ペーパーホルダーにしがみついたり、できることなら壁を思いっきりぶっ叩きたいし、正面の扉を蹴飛ばしたい。


ホント、普通に起きうる下痢の痛みなんかとは《格》が違う。



死ぬほど痛い。



このトイレに行かなきゃならない時の破裂しそうな痛みは死ぬほど痛い。きっと、荒れ果てた大腸の粘膜がガスによって膨張し、亀裂が生じて傷から血が滴り落ちているに違いない。血や粘液が通過するときにも想像を絶する痛みを発するのだろう。



死ぬほど痛い。



今僕にとって痛みが消えることはない。この死ぬほどの痛みがいわゆる下痢の苦痛まで落ち着いたらトイレから出るのだ。「腹が痛い」とお腹を押さえながら個室を出る。健康な方には到底想像できないだろう。非常にストレスがたまる。



死ぬほど痛い。
死ぬほど痛い。
死ぬほど痛い。
死ぬほど痛い。
死ぬほど痛い。



死ぬほど痛いと死ぬほど叫んでも、僕は未だに死んでない。



だから《死ぬほどの痛み》っていうのは、もっと過激なのかもしれない。


これ以上の痛みがあるとは思えないが、それは死ぬまで分からない…な。



さて、トイレでひと暴れしてきますか。流血するのはいつでも俺だが。。。

錯覚⇔現実

2010-10-11 06:23:39 | 潰瘍性大腸炎-入院日記5-
第5話「錯覚⇔現実」



椅子の上のキャロルがグテン!とひっくり返った。中途半端な仰向けだ。顔も逆さまになって、おでこの方に肌が引っ張られて目がいびつにとがってる。


キャロルのこの格好とこの間抜けな顔が僕は大好きだ。



《癒し》だ。


いや《死》だ。



どうでもなれと、腹痛を抱えたまま僕もグテン!とひっくり返った。キャロルと同じく中途半端な仰向け、頭を下にしてキャロルの顔と向きをぴったり揃えてみた。


天井に椅子がぶら下がり、そこにキャロルがくっついているような、天地がひっくり返った景色を期待したのだが、そうはならなかった。あくまでも僕ひとりが床でひっくり返っているだけだ。


角度だってぴったりに合わせているキャロルの顔でさえ、「ひっくり返っている僕がひっくり返っているキャロルを見ている」としか見ることができない。



何故《錯覚》は起きないのだろう。



《現実》からは逃げられない。



捨て身の覚悟で体の角度を変えたのことが、僕を見事に《奈落》へと突き落とした。



朦朧とした意識の中で窓に目をやると、すっかり痩せ細った枯れたサボテンが僕を見下ろしていた。。。

汚物生産機

2010-10-10 09:14:59 | 潰瘍性大腸炎-入院日記5-
第4話「汚物生産機」



キャロルは社長椅子に座っている。正確にはダラーと横になっている。両前足を椅子の前に垂らして、顎を乗っけている。


「ダリー、目を開けんのも面倒クセーぜ」と言わんばかりの、あからさまなにやる気なしの表情だ。


この猫が死ぬときも、こんな調子で穏やかに目を瞑るのだろうか。



僕は死ぬ。


いつかは死ぬ。


それが今日かもしれない。


今、こうして下腹部に強烈な痛みを覚えてキャロルの前にうずくまっている。


1日24時間昼も夜も関係なく、ひたすらこの部屋とトイレを往復している。

トイレの回数も20回になる。単純に計算しても、1時間~1時間20分毎にトイレに駆け込んでる。

トイレに行ったら行ったで、10分や15分平気でもがき苦しむ。

出るのは血だ。血の固まりみたいなカスや、大腸の砕けた粘膜、ぬめり気がある腸液など。どれも血の色に染まっていて、白の便器はまだらの緋色の彩られる。


寝る時間もないし、痛みをずっと抱えているから、まともに寝てない。

部屋に戻った短い時間に気絶するようにスッと意識が飛んで、グッと痛みで呼び戻される。


食事もしてない。食べれば苦しみが倍増することがわかっているせいか、ただ単に沸かないだけなのか、食欲がない。


脱水症状を訴えているから、ポカリスエットだけは数口ずつ体に入れている。この数口ですら強烈な痛みを訴え、即座にトイレという悪循環も引き起こす。それでも飲まなければ体が危ない。


もちろん、ヤってない。例えヤれる状況でもヤれる状態じゃない。


完全に《三大欲求》を封印された。


こうなってくると《生きる意味》というのを真剣に考えたくなってくる。



僕は何のために生きているのか。


こんなに苦しんで何になるのか。


腹痛に悶絶し、トイレでひたすら血を出すだけの毎日。



今の僕は、排泄欲に体を奪われた《汚物生産機》だ。


そして、今の僕の心は《汚物》そのものだ。


そんな事を考えていると、椅子の上のキャロルがグテン!とひっくり返った。