その名も、まめちゃん。-虹色流星号-

日本一ダメダメ男、まめぞの日記。
...今日もトホホな一日を過ごしました。
 *旧「その名も、たぁちゃん」

病-in 奈落

2010-10-23 10:44:45 | 潰瘍性大腸炎-入院日記5-
第10話「病-in 奈落」



病院は天国だと思っている人がいる。入院すれば楽になると、助かると。医師や看護師が常に看病してくれるからと。


実際には何も変わらない。入院したところで症状が良くなるわけでもない。苦しみは一緒だ。


奈落は奈落だ。



例えるなら、病院は《現世へ戻るための訓練所》といった感じだ。

医師でも看護師でもない、自分で現世に戻る場所のだ。


余裕の遅刻で病院に行くと、病棟のナース達が「お待ちしておりました~」と笑顔で迎えてくれた。遅刻に対する皮肉も若干込められていたが…。


一昨年の、去年と毎年3ヶ月以上入院しているせいもあり、妙に親近感がわく。お互いによく知った顔だ。


去年の入院日記で何度も登場したおてんばナースや、とても感じが良いO竹さんや、妹の同級生S堂さんやら、またいろんなドラマが生まれそうだ。


まず体重を計る。



ゲゲゲッ!
ちょうど一週間前の外来で計ったよりも3キロ減った(°□°;)


一週間で3キロ減!!


食わずにひたすら血だけ出してたら、そりゃ痩せるな。ダイエットには向かないけど。

絶食で24時間点滴。計2100ml。

今まで栄養が取れなかった分、体は楽になるはずだ。でも、今まで取れなかった水分が昼も夜も止まらず大量に体に入ると言うことは、下痢が激化するのも必至だろう。



はぁ…。
入院したところで、奈落は奈落だ。

NEW-in

2010-10-18 06:12:23 | 潰瘍性大腸炎-入院日記5-
第9話「NEW-in」



カタカナの次は英語のタイトル!入院する気満々で診療予約の日を迎えた。



9/22


採血の結果に変化が現れた。先月までは体は具合悪いのにデータには反映されてなかったのだ。


炎症反応(CRP)が上がってきた。微妙な数値だが正常値を越えた。

ひととおり病状を説明したところ「プレドニンを20mgまで増やして様子見、これでダメなら入院」ということになった。

次の診療予約は4週間後。


…憂鬱だ。


今、ただでさえまともな生活ができないのに、これを更に1ヶ月続けるのか。良くなるか分からないのに…。


…憂鬱だ。


…無理だ。


仕事を1週間休むことにした。1週間ひたすら療養して症状が悪くなるなら1ヶ月待つ必要ない。


症状は更に悪くなり、食べることもまともにできなくなった。下血回数も20回を越え、寝る時間さえ奪われた。


まるでここは奈落だ。



9/28


1週間の奈落生活を経て、朝早くから予約なしの受付をする。フラフラを見かねた看護師にベッドを用意してもらい、診察を待つ。

恐ろしい時間待って診察をし、入院が決まったのは午後3時くらい。そのあと強制的に点滴をされて家に帰ったのは夜8時だ。採血の結果、貧血は進んでいなかったが、炎症反応が一気に高くなっていた。


ぐったりだ。


一日おいて明後日から入院だが準備する気力が全くでない。出るのは血ばかりだ。


それは入院当日の朝まで続いた。


そして、余裕で《遅刻》した。。。

ジ・エンド

2010-10-17 07:56:07 | 潰瘍性大腸炎-入院日記5-
第8話「ジ・エンド」



漢字ばかりの堅苦しいタイトルが続いていたが、ここで一変、カタカナのタイトル。話の内容は少し遡る。



8/25

月一の検診。すでに体調は荒波に乗っていた。トイレの回数が3~5、毎回血が混じるようになってしまった。ここまで来ると抜け出せない。日を追うごとに症状がみるみる悪化して、最後には手に負えなくなり《入院》ということになる。今までがそうだ。



副作用の上からも、くそ苦いことからも、僕が勝手に《毒薬》と称している薬がある。「プレドニン」というステロイド剤だ。

事実、この薬は飲み続けることのリスクが高いため減らさなければならない。しかしながら、強力な分ごく少量ずつ慎重に減らさなければならない。実に厄介な毒薬だ。


約1年半かけて最大量の40mgから12.5mgへ減量してきた。ここで15mgへと増量になる。


外来で出せるのは20mgまでらしい。それ以上は副作用の関係か入院でないと処方できない。少なくともここの病院ではそうしている。

逆にいうと20mgでダメなら入院ってことだ。

良くなる気が全くしないが、これで4週間様子見だ。


…憂鬱だ。


…憂鬱だ。


…憂鬱だ。



…やはり落下スピードはただただ加速するばかりだった。


トイレの回数も10回を越え、何をするにもまずはトイレという生活。

仕事帰りの便失禁も繰り返すようになった。
仕事中は自由にトイレに行けないし、気を張っているため、相当な負担がかかっているらしい。しっかりトイレに行ってから帰っているが、猛烈な痛みが突然襲いかかり、トイレまでの猶予時間は30秒もないと体が訴える。


ジ・エンドだ。



帰りは深夜1時くらい、人は多いが電車を降りて駅から歩いている最中におこるということが、せめてもの救いだ。便失禁をしたまま急いで帰る。

当たり前のことのように繰り返す。


遂に職場でもしでかした。突然襲う猶予30秒の激痛。もちろんジ・エンドだ。


●■〓



9/22がやってくる。
…入院しかない。


ジ・エンドだ。

奈落への首吊り紐

2010-10-13 19:20:28 | 潰瘍性大腸炎-入院日記5-
第7話「奈落への首吊り紐」



社長椅子にキャロルはいない。

ずっしりと重い痛みをお腹に抱えて、部屋に戻ってきた。そして、いい意味でアンティークなおんぼろのひとりがけソファに深く座る。テレビを見るときに中央までやって来るが、基本的にテレビを見ない性分、いつもこのソファは部屋の隅に追いやられている。


今は隅っこにいたい気分だ。


ここはまるで奈落だ。一日中ひたすら腹痛に苦しみトイレで出血するたけの生活。虹色流星号は奈落に堕ちた。



これはっ!?



ちょうど首を通すことができそうな輪っかが朦朧とした視界の前に見えてきた。


首吊り紐!?


実際に首吊り紐がある訳じゃない。カーテンレールにサウナスーツのズボンが掛けてあるのだが、その裾を絞る紐がその正体だ。

直径3cm位の小さな輪っか。黒目より微かに大きいというだけで、間近で見ると顔の大きさにまで見えてくるから不思議だ。



もし首吊り紐が本当にあったら、僕は首を吊るのだろうか。


「死んだ方が楽」と感じる事は確かだ。でもここが奈落なら、奈落にいる者が首を吊って奈落から脱出できるはずがない。

ここが奈落ではないにしても、やはり首を吊った者は奈落に落とされるのではないか。

首吊りなんて結局は奈落への入り口でしかないのではないか。


まぁどうであれ、残された人のことを考えたら自殺なんて到底できないのだが。


そうだな。この部屋で死ぬとしたら、地震が起きたときにずっと長いこと買い替えを宣言してるこの大きなブラウン管テレビの下敷きなるとか、ずっと不調な自作パソコンのメンテナンス中に感電するとか、まぁそのくらいしか浮かばないな。




…そろそろギブアップだな。

死ぬほどの痛み

2010-10-11 19:21:47 | 潰瘍性大腸炎-入院日記5-
第6話「死ぬほどの痛み」



実は、先ほどトイレから帰ってきたばかりなのだ。部屋に戻ると社長椅子でキャロルが待ち構えていた、ただそれだけのことだ。


そこから僕は《現実逃避》を始めた。


が、もう限界だ。痛みは激しさを増し、まっすぐ歩くことすら適わない。



死ぬほど痛い。



果たして、部屋には何分いれたのだろう。10分か20分か、文字にしたら2300文字ぐらい。その程度でまたトイレに戻るはめになった。


ツラい。



回数や出血よりなによりもこの痛みがツラい。


いわゆる下痢の痛みなんかとは格が違う。この痛みを伝えるのは難しい。



破裂しそうな痛み。



この病気になり、このくらい症状が悪化したときにしか味わえない鋭い痛みだ。痛みの槍が腰まで貫いてくる。



死ぬほど痛い。



呻き声を出さずにはいられず、トイレに入ればじっとしてはいられない。足を地面に叩きつけたり、頭をかきむしったり、ペーパーホルダーにしがみついたり、できることなら壁を思いっきりぶっ叩きたいし、正面の扉を蹴飛ばしたい。


ホント、普通に起きうる下痢の痛みなんかとは《格》が違う。



死ぬほど痛い。



このトイレに行かなきゃならない時の破裂しそうな痛みは死ぬほど痛い。きっと、荒れ果てた大腸の粘膜がガスによって膨張し、亀裂が生じて傷から血が滴り落ちているに違いない。血や粘液が通過するときにも想像を絶する痛みを発するのだろう。



死ぬほど痛い。



今僕にとって痛みが消えることはない。この死ぬほどの痛みがいわゆる下痢の苦痛まで落ち着いたらトイレから出るのだ。「腹が痛い」とお腹を押さえながら個室を出る。健康な方には到底想像できないだろう。非常にストレスがたまる。



死ぬほど痛い。
死ぬほど痛い。
死ぬほど痛い。
死ぬほど痛い。
死ぬほど痛い。



死ぬほど痛いと死ぬほど叫んでも、僕は未だに死んでない。



だから《死ぬほどの痛み》っていうのは、もっと過激なのかもしれない。


これ以上の痛みがあるとは思えないが、それは死ぬまで分からない…な。



さて、トイレでひと暴れしてきますか。流血するのはいつでも俺だが。。。

錯覚⇔現実

2010-10-11 06:23:39 | 潰瘍性大腸炎-入院日記5-
第5話「錯覚⇔現実」



椅子の上のキャロルがグテン!とひっくり返った。中途半端な仰向けだ。顔も逆さまになって、おでこの方に肌が引っ張られて目がいびつにとがってる。


キャロルのこの格好とこの間抜けな顔が僕は大好きだ。



《癒し》だ。


いや《死》だ。



どうでもなれと、腹痛を抱えたまま僕もグテン!とひっくり返った。キャロルと同じく中途半端な仰向け、頭を下にしてキャロルの顔と向きをぴったり揃えてみた。


天井に椅子がぶら下がり、そこにキャロルがくっついているような、天地がひっくり返った景色を期待したのだが、そうはならなかった。あくまでも僕ひとりが床でひっくり返っているだけだ。


角度だってぴったりに合わせているキャロルの顔でさえ、「ひっくり返っている僕がひっくり返っているキャロルを見ている」としか見ることができない。



何故《錯覚》は起きないのだろう。



《現実》からは逃げられない。



捨て身の覚悟で体の角度を変えたのことが、僕を見事に《奈落》へと突き落とした。



朦朧とした意識の中で窓に目をやると、すっかり痩せ細った枯れたサボテンが僕を見下ろしていた。。。

汚物生産機

2010-10-10 09:14:59 | 潰瘍性大腸炎-入院日記5-
第4話「汚物生産機」



キャロルは社長椅子に座っている。正確にはダラーと横になっている。両前足を椅子の前に垂らして、顎を乗っけている。


「ダリー、目を開けんのも面倒クセーぜ」と言わんばかりの、あからさまなにやる気なしの表情だ。


この猫が死ぬときも、こんな調子で穏やかに目を瞑るのだろうか。



僕は死ぬ。


いつかは死ぬ。


それが今日かもしれない。


今、こうして下腹部に強烈な痛みを覚えてキャロルの前にうずくまっている。


1日24時間昼も夜も関係なく、ひたすらこの部屋とトイレを往復している。

トイレの回数も20回になる。単純に計算しても、1時間~1時間20分毎にトイレに駆け込んでる。

トイレに行ったら行ったで、10分や15分平気でもがき苦しむ。

出るのは血だ。血の固まりみたいなカスや、大腸の砕けた粘膜、ぬめり気がある腸液など。どれも血の色に染まっていて、白の便器はまだらの緋色の彩られる。


寝る時間もないし、痛みをずっと抱えているから、まともに寝てない。

部屋に戻った短い時間に気絶するようにスッと意識が飛んで、グッと痛みで呼び戻される。


食事もしてない。食べれば苦しみが倍増することがわかっているせいか、ただ単に沸かないだけなのか、食欲がない。


脱水症状を訴えているから、ポカリスエットだけは数口ずつ体に入れている。この数口ですら強烈な痛みを訴え、即座にトイレという悪循環も引き起こす。それでも飲まなければ体が危ない。


もちろん、ヤってない。例えヤれる状況でもヤれる状態じゃない。


完全に《三大欲求》を封印された。


こうなってくると《生きる意味》というのを真剣に考えたくなってくる。



僕は何のために生きているのか。


こんなに苦しんで何になるのか。


腹痛に悶絶し、トイレでひたすら血を出すだけの毎日。



今の僕は、排泄欲に体を奪われた《汚物生産機》だ。


そして、今の僕の心は《汚物》そのものだ。


そんな事を考えていると、椅子の上のキャロルがグテン!とひっくり返った。

社長椅子

2010-10-07 09:20:54 | 潰瘍性大腸炎-入院日記5-
第3話「社長椅子」



社長椅子に座っているヤツは誰だ?


僕「そこは、俺のイスだぞ」


明かりの薄い部屋の中、ヤツはピクリとも動かない。


ひじ掛けのついた黒い椅子。リクライニングとは違うが、後ろにウリャーと背伸びができる。おまけに頭の位置にも支えがある。


僕「社長椅子など、キサマにはデカすぎるっ!!あらゆる意味でなぁ!!」


酸素も薄い部屋の中、ヤツはピクリとも動かな、いや、ピクリ動いたか。瞳がキラリと輝き僕の目を掠める。


うっ!?


その直後、下腹部に鈍い痛みが走り、僕はヤツの前で崩れ落ちた。


社長椅子といっても、僕は社長ではない。偉そうに見えるからと勝手にそう呼んでいる。

よく見ればところどころ痛んでいる。特に酷いのは、背もたれと座る部分のシートが無惨にも引き裂かれている。


これは、「キャロル」と名付けられたネコ(♀)の仕業だ。キャロルは六本木生まれのプライドだけが高い《雑種》だ。アメリカンショートヘアをちょっと茶色くした毛並みで、おでこにはしっかりと《M》の文字が刻まれ、ドSネコだ


そのキャロルが社長椅子から僕を見下している。


面倒くさい顔をして。



確かに、面倒くさい。
今の僕は。


腹が、痛いのだから。

緋き仙人掌

2010-10-06 13:33:28 | 潰瘍性大腸炎-入院日記5-
第2話『緋き仙人掌』



「何て読むんだよ、バッキャーロ!!」
きっとどこかで誰かがこう叫んでいるだろう。


「たぁ☆虹色流星号」→「たぁΨアカきサボテンΨ」


何の予告もなしに、mixiのニックネームを変えたのだ。もともと「たぁ」自体を使いたくないのだが、「たぁ」はおまけで頭につけてみた。ワンポイント?アクセサリー?まぁ、サボテンの花みたいな感じで?


そもそも「たぁ」がなくなると誰だか分からなくなってしまうし、長年続けいる本家のgooブログのタイトルが「その名も、たぁちゃん。」なのだから、たぁちゃんでなきゃいけない気がするし。


僕はサボテンが大好きだ。いつの時代も部屋にサボテンを飾っているし、自分の曲にもよく登場するし、ネーミングの際にもよく利用する。現段階の自分の作曲プロジェクト名も「Red cactuz」(サボテンの英語cactusのsをzに変えたもの)だ。
最近では、PSPのゲーム「モンハン日記ぽかぽかアイルー村」で作った自分の村の名前も「さぼてん村」だ。


サボテンは大概かわいい。



《緋色》


作曲プロジェクト名もそうだし、自作曲でもそうだが、登場するのは《情熱的》なサボテンだ。しかし、今回は違う。

 ――緋色(ヒイロ)だ。

血の色。

 …血の色に染まったサボテン。
 …返り血を浴びたサボテン。


《緋き仙人掌》
人を襲うモンスターともとれるし、殺人鬼が使う凶器にも感じられる。


サボテンは時に恐ろしい。




今部屋にあるサボテンは、今年の怪奇的な猛暑ですっかり痩せ細ってしまい、そして、枯れた。


死んだ。

虹色流星号

2010-10-05 09:19:43 | 潰瘍性大腸炎-入院日記5-
第1話『虹色流星号』



「虹色流星号」
 …あぁ、なんて素敵な言葉でしょう!!


mixi上の名前を「たぁ☆虹色流星号」に改名してから丁度一年くらいだろうか。それまでは「旧型たぁちゃん」を長年愛用してきた。

「旧型」→「虹色流星号」


持病の「潰瘍性大腸炎」での4度目の入院を終え、また輝かしい未来へ旅しようという気持ちで名付けてみた。


「虹色流星号」
 …あぁ、なんて希望に満ち溢れていますな!!



しかし《流星》とは、所詮《堕ちる運命》なのだろうか?