![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/66/df/eacbd53728aa5067964e2e9b0244addf.jpg)
※ イトカワの地質図
(TOP画像提供:JAXA)
日時:平成22年7月8日(木) 午後4時~5時
場所:NEC関西支社(大阪市OBP内)
講座タイトル:NECソリューション公開講座 in 関西2010
「『はやぶさ』の帰還、そして新たな旅立ち」
話者:小笠原雅弘(日本電気航空宇宙システム株式会社
宇宙・情報システム事業部)
サブタイトル:
2010年6月13日、深夜。
ウルル・カタジュの上空を二条の流れ星が西から東へ流れた。
一個は途中で爆発を繰り返しながら砂漠の闇に消えていった。
そして小さな輝きだけが残った。
60億Kmもの旅をして「はやぶさ」が届けてくれたものは…
■イトカワの秘密
ここで。
氏の話は、はやぶさそのものから一旦離れて、彼を取り巻く状況へと
言及する。
これまでのはやぶさが打ちたてた数々の功績によって。
2006年に、National Space Society(NSS)によりSpace Pioneer
AwardをHayabusa Project Teamが受賞した。
このときの模様は、米国での授与式に参加した川口プロマネによって
JAXAのHPにコラムがUPされている。
それによると、同時期に受賞したのはNASA長官や民間宇宙機として
有名なSpace-Xの開発に携わった人等であり、更に同賞の兄弟賞として
設けられたMemorial Awardについては、世界で始めて音速の壁を突破
した実験機X-1のパイロットであるチャック・イェーガー氏といった
錚々たる顔ぶれであって。
そこに、このプロジェクトが肩を並べることが出来たことは、本当に
光栄だったと、川口プロマネは述懐している。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7d/bc/61d991fe886b1be6129e94351f76fdf6.jpg)
(写真は、その際の賞状とトロフィー)
(画像提供:JAXA)
その後。
2006年6月2日発売のSCIENCE誌において。
はやぶさの特集が組まれることとなる。
SCIENCE誌に論文が掲載されるだけでも、世界の科学者
にとって大変な栄誉なことなのに。
特集まで組んでくれたとあれば、如何にSCIENCE誌が
はやぶさの偉業を高く評価してくれていたかが分かろうという
ものである。
今回の特集号刊行に向けて、編集長であるケネディ博士が
JAXAに寄せた手紙でも、その意は窺い知ることが出来る。
特集号刊行のことを告げるJAXAのHPのコメントが、ものすごく
淡々と記述されてはいるのだけれど、その裏に喜びが満ちている
ように思えるのは、僕の気のせいに違いない(笑)。
ちなみに。
この特集号に掲載された7本の論文のうちの3本に、NECの
エンジニアの名前が共同執筆者となっていることを、誇らしげに
氏は告げていて。
その表情を見ていると、就職活動中にこの会社を知っておきたかった
と、切々と感じてしまった次第である。
だが。
そうなると、そもそも経済学部出身という純粋な文系脳の基本構成から
見直す必要があるため。
人生におけるターニングポイントの設定は、更に遡って高校2年の
コース選定時にまでいかないといけないことに気付いた次第である。
まあ、気付いたからといって、その道を選ぶことが出来る保障は無い
のだけれど。
好きと出来るは、違うものなああ。
いや、好きこそものの上手なれという言葉もある。
その時点から目覚めていれば、一念発起して理系脳へと基本的構成の
組み換えを行うこともまた、可能だったに違いない。
いや、人生において、遅すぎるということは無いはず。
今からでも頑張って勉学に取り組めば…と、思考の無駄遣いをしている
うちに、氏の説明は進んでいくので気持ちをスライドへと振り戻す。
※ 掲載された論文の概要ならびに著者は、JAXAのHPにて
確認することが出来る。
こちらでは、論文数は6本。
NECの技術者の方のお名前が確認できるものは、そのうちの
二つとなっている。
まあ、大学やJAXAへ出向されている場合もあるだろうからね。
参考までに、JAXAのHPにあった論文名を紹介しよう。
1 「はやぶさ探査機によって観測された
ラブルパイル型小惑星イトカワ」
川口プロマネをはじめ、上杉氏、吉川氏といった錚々たる
執筆陣である。
2 「はやぶさから見た小惑星25143イトカワの詳細画像」
テラキンこと寺薗氏のお名前が!
3 「小惑星イトカワの全体形状と自転軸の観測」
この論文では、NEC東芝スペースシステム㈱、
NEC航空宇宙システム㈱の二社の社名が確認できる。
4 「はやぶさ探査機によるイトカワの質量と局所地形の観測」
こちらでも、NEC航空宇宙システム㈱の社名が!
5 「はやぶさ探査機による小惑星イトカワの
近赤外線分光観測結果」
6 「はやぶさ探査機による小惑星イトカワの蛍光X線分光観測」
この二つの論文概要を読んで。
以前から疑問に思っていたイトカワがLL5-6と表記
される意味を、やっと知ることが出来た!
ケイ酸鉄やケイ酸マグネシウム等の石質(Stony)を主成分
とする小惑星がS型である(SはstonyのS)。
その中でも、コンドルールという球粒状構造を持つ隕石が
コンドライトと称せられる。
そのコンドライトの化学的組成によってアルファベットの
部分が、岩石的組成によって数字の部分が決定する。
LL5-6を紐解けば、普通コンドライトの鉄分少な目の
化学組成を持ち、コンドルールの含有が不明確な岩石組成
であるということが分かる。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/36/81/db1a19cb0b866a221eb4651589a359a1.jpg)
(グラフ提供:JAXA)
ここで、氏の説明はイトカワの組成に及ぶ。
論文1の表題にもあるような、ラブルパイル構造を持つイトカワ。
要は、中身がスカスカということである。
この構造特性を持つ小惑星の存在は。
40年ほど前に、ある科学者によって提唱されたものであり。
それを、今回の調査ではやぶさが初めて実証したということである。
ラブルパイルとは、宇宙空間において、母天体の衝突等によって誕生
した岩塊同士が、その微細な引力によって緩やかに結合して誕生した
ものであり、極低重力しか持ち得ないために圧縮が発生せず、中心部
までスカスカなままの状態を保持している天体である。
ちなみに、イトカワの場合は。
はやぶさによる重力検知と長径短径の測定から、割り出されたその
密度は、1.9g/cm3。
地球の場合は、5.5g/cm3なので、約1/3程度の密度しか
ないことが分かる。
こうした観測実績と、それに伴う海外賞の受賞に後押しされるように、
2007年には文部科学大臣表彰 科学技術賞(研究部門)を受賞。
(海外で賞をもらえると、やっと日本でも受賞できると苦笑していた
氏の述懐が、印象的だった。
もっと日本の褒賞制度も、独自にいいものを見出す目を持って
欲しいものだと、痛切に思う)
また、前後するが。
NEC社内においても、2006年度NEC/CS 社長賞を受賞。
その際のメンバーは、「はやぶさ6人のサムライ」と言われたそうな。
※ このCSが何を意味するのかが、よく分からなかった。
CS(顧客満足度)じゃないよね?
航空宇宙システムの略でも無いし。
ともあれ。
こうした、華々しい成果を挙げたはやぶさであるが。
その帰路は、大変な困難に見舞われることとなる…。
(この稿、続く)
(TOP画像提供:JAXA)
日時:平成22年7月8日(木) 午後4時~5時
場所:NEC関西支社(大阪市OBP内)
講座タイトル:NECソリューション公開講座 in 関西2010
「『はやぶさ』の帰還、そして新たな旅立ち」
話者:小笠原雅弘(日本電気航空宇宙システム株式会社
宇宙・情報システム事業部)
サブタイトル:
2010年6月13日、深夜。
ウルル・カタジュの上空を二条の流れ星が西から東へ流れた。
一個は途中で爆発を繰り返しながら砂漠の闇に消えていった。
そして小さな輝きだけが残った。
60億Kmもの旅をして「はやぶさ」が届けてくれたものは…
■イトカワの秘密
ここで。
氏の話は、はやぶさそのものから一旦離れて、彼を取り巻く状況へと
言及する。
これまでのはやぶさが打ちたてた数々の功績によって。
2006年に、National Space Society(NSS)によりSpace Pioneer
AwardをHayabusa Project Teamが受賞した。
このときの模様は、米国での授与式に参加した川口プロマネによって
JAXAのHPにコラムがUPされている。
それによると、同時期に受賞したのはNASA長官や民間宇宙機として
有名なSpace-Xの開発に携わった人等であり、更に同賞の兄弟賞として
設けられたMemorial Awardについては、世界で始めて音速の壁を突破
した実験機X-1のパイロットであるチャック・イェーガー氏といった
錚々たる顔ぶれであって。
そこに、このプロジェクトが肩を並べることが出来たことは、本当に
光栄だったと、川口プロマネは述懐している。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7d/bc/61d991fe886b1be6129e94351f76fdf6.jpg)
(写真は、その際の賞状とトロフィー)
(画像提供:JAXA)
その後。
2006年6月2日発売のSCIENCE誌において。
はやぶさの特集が組まれることとなる。
SCIENCE誌に論文が掲載されるだけでも、世界の科学者
にとって大変な栄誉なことなのに。
特集まで組んでくれたとあれば、如何にSCIENCE誌が
はやぶさの偉業を高く評価してくれていたかが分かろうという
ものである。
今回の特集号刊行に向けて、編集長であるケネディ博士が
JAXAに寄せた手紙でも、その意は窺い知ることが出来る。
特集号刊行のことを告げるJAXAのHPのコメントが、ものすごく
淡々と記述されてはいるのだけれど、その裏に喜びが満ちている
ように思えるのは、僕の気のせいに違いない(笑)。
ちなみに。
この特集号に掲載された7本の論文のうちの3本に、NECの
エンジニアの名前が共同執筆者となっていることを、誇らしげに
氏は告げていて。
その表情を見ていると、就職活動中にこの会社を知っておきたかった
と、切々と感じてしまった次第である。
だが。
そうなると、そもそも経済学部出身という純粋な文系脳の基本構成から
見直す必要があるため。
人生におけるターニングポイントの設定は、更に遡って高校2年の
コース選定時にまでいかないといけないことに気付いた次第である。
まあ、気付いたからといって、その道を選ぶことが出来る保障は無い
のだけれど。
好きと出来るは、違うものなああ。
いや、好きこそものの上手なれという言葉もある。
その時点から目覚めていれば、一念発起して理系脳へと基本的構成の
組み換えを行うこともまた、可能だったに違いない。
いや、人生において、遅すぎるということは無いはず。
今からでも頑張って勉学に取り組めば…と、思考の無駄遣いをしている
うちに、氏の説明は進んでいくので気持ちをスライドへと振り戻す。
※ 掲載された論文の概要ならびに著者は、JAXAのHPにて
確認することが出来る。
こちらでは、論文数は6本。
NECの技術者の方のお名前が確認できるものは、そのうちの
二つとなっている。
まあ、大学やJAXAへ出向されている場合もあるだろうからね。
参考までに、JAXAのHPにあった論文名を紹介しよう。
1 「はやぶさ探査機によって観測された
ラブルパイル型小惑星イトカワ」
川口プロマネをはじめ、上杉氏、吉川氏といった錚々たる
執筆陣である。
2 「はやぶさから見た小惑星25143イトカワの詳細画像」
テラキンこと寺薗氏のお名前が!
3 「小惑星イトカワの全体形状と自転軸の観測」
この論文では、NEC東芝スペースシステム㈱、
NEC航空宇宙システム㈱の二社の社名が確認できる。
4 「はやぶさ探査機によるイトカワの質量と局所地形の観測」
こちらでも、NEC航空宇宙システム㈱の社名が!
5 「はやぶさ探査機による小惑星イトカワの
近赤外線分光観測結果」
6 「はやぶさ探査機による小惑星イトカワの蛍光X線分光観測」
この二つの論文概要を読んで。
以前から疑問に思っていたイトカワがLL5-6と表記
される意味を、やっと知ることが出来た!
ケイ酸鉄やケイ酸マグネシウム等の石質(Stony)を主成分
とする小惑星がS型である(SはstonyのS)。
その中でも、コンドルールという球粒状構造を持つ隕石が
コンドライトと称せられる。
そのコンドライトの化学的組成によってアルファベットの
部分が、岩石的組成によって数字の部分が決定する。
LL5-6を紐解けば、普通コンドライトの鉄分少な目の
化学組成を持ち、コンドルールの含有が不明確な岩石組成
であるということが分かる。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/36/81/db1a19cb0b866a221eb4651589a359a1.jpg)
(グラフ提供:JAXA)
ここで、氏の説明はイトカワの組成に及ぶ。
論文1の表題にもあるような、ラブルパイル構造を持つイトカワ。
要は、中身がスカスカということである。
この構造特性を持つ小惑星の存在は。
40年ほど前に、ある科学者によって提唱されたものであり。
それを、今回の調査ではやぶさが初めて実証したということである。
ラブルパイルとは、宇宙空間において、母天体の衝突等によって誕生
した岩塊同士が、その微細な引力によって緩やかに結合して誕生した
ものであり、極低重力しか持ち得ないために圧縮が発生せず、中心部
までスカスカなままの状態を保持している天体である。
ちなみに、イトカワの場合は。
はやぶさによる重力検知と長径短径の測定から、割り出されたその
密度は、1.9g/cm3。
地球の場合は、5.5g/cm3なので、約1/3程度の密度しか
ないことが分かる。
こうした観測実績と、それに伴う海外賞の受賞に後押しされるように、
2007年には文部科学大臣表彰 科学技術賞(研究部門)を受賞。
(海外で賞をもらえると、やっと日本でも受賞できると苦笑していた
氏の述懐が、印象的だった。
もっと日本の褒賞制度も、独自にいいものを見出す目を持って
欲しいものだと、痛切に思う)
また、前後するが。
NEC社内においても、2006年度NEC/CS 社長賞を受賞。
その際のメンバーは、「はやぶさ6人のサムライ」と言われたそうな。
※ このCSが何を意味するのかが、よく分からなかった。
CS(顧客満足度)じゃないよね?
航空宇宙システムの略でも無いし。
ともあれ。
こうした、華々しい成果を挙げたはやぶさであるが。
その帰路は、大変な困難に見舞われることとなる…。
(この稿、続く)
![]() | 見えてきた 太陽系の起源と進化 (別冊日経サイエンス 167) |
日経サイエンス編集部 | |
日本経済新聞出版社 |
まさか、ご本人のお目に留まるとは!
お恥ずかしい限りです。
意図と違うとか、色々と苦笑される部分もあると思いますが、ご笑覧下さい。
あまりにも目に付くところがあれば、お教えいただければ幸いです。
励ましを得て、何とか最後まで漕ぎ着けます!
これも、MOLTAさんの活動の成果ですね。
あまりにも目に付くところね・・・なに、聞いてない?(笑)