(TOP画像は、(C)JAXA,大阪市立科学館。飯山学芸員撮影)
タイトル:帰ってきた「はやぶさ」
上映場所:大阪市立科学館
上映日時:平成22年6月27日(日) 午後4時~(45分間)
解説者:飯山青海学芸員(JAXAによるはやぶさ回収部隊光学撮影班員)
■静かなる序章
場内には。
「HAYABUSA Back to the EARTH」のBGMが
静かに流れている。
購入後は、勿論のこと。
彼の帰還から2週間の間。
もう。
何度再生したか分からない、この音楽を聴くだけで。
もう、さすがに。
目頭こそ熱くはならないものの。
ゆったりとしたシートに身を沈めて、薄暮の中でこの音楽に浸りながら
彼の生涯を思い起こす僕の胸中には、彼の旅路がリフレインされてくる。
程なくして。
入場の波が落ち着いた頃を見計らって、照明が落ちる。
モニター正面には、上映中の注意事項が表示されている。
この後に
「当館のプラネタリウムの解説は、学芸員による生放送です。
なので、ときどちとちります。」
と表示されたときには、思わずくすりとさせられてしまった。
※ メモを取れていないため、表現は微妙に違うと思います。
が、「ときどきとちります」は、正にそう表示されていました(笑)。
なお、上映中は等級の低い星もしっかりと見ることが出来るように、
非常口の表示さえも消してしまう。
そこまでして、瞬きまでも含めた自然の星空の再現性を追及して
いるのだが、その際の大敵となるのが携帯電話の画面だそうだ。
そのモニターの輝度は、周囲の人にとって相当に邪魔となるらしい。
そのために。
携帯電話も、マナーモードではなく電源OFFに。
との指示に従って、ここで撮影は終了。
そして…。
場内の非常口の説明が終わったところで、照明が全て落とされ。
いよいよ、特別プラネタリウム「帰ってきた『はやぶさ』」の
始まりである。
■「はやぶさ」までは、何マイル?
概ねのプラネタリウムの例に漏れず。
このプラネタリウムも、ご当地大阪の昼の空から始まる。
やがて日が南港に沈んでいき、今の季節の星空が現出する。
その様子を解説していただいているのが、飯山学芸員。
今回のはやぶさ帰還に伴う光学撮影班の一員として、現地で
彼の最後を看取った方である。
飯山氏の語り口は。
やや早口ながらも、明瞭に聞こえる口調であり、耳ざわりも
ソフトで心地よい。
#Mixiコミュでは、「JRの車掌さんのようだ」と形容
されていた。
勿論、好意を持って、である。
西の空からは、金星、火星をはじめとした一連の等級の明るい
星々達が、列を成して天頂を目指している。
その美しい情景に、心を惹かれながらも。
はやぶさ帰還レポートは何時始まるのだろう?と、心が逸る。
飯山氏の穏やかな声を聞いているうちに。
眠気がぷかりと浮かんでくる。
いかんいかんと、脳内で首を振る…。
そうこうするうちに。
「では、はやぶさが還ってきたオーストラリアの空へと移動
しましょう。」
の言葉とともに。
天空が、するすると音もなくスライドし、オーストラリア上空
へと移り変わっていく。
この。
自分はじっとしているにも関わらず、自身が移動しているような
錯覚の感覚を。
どこかで体験したと、記憶の襞を探ってみると行き着いたのが。
ディズニーランドのホーンテッドマンションだった(笑)。
南十字星が輝く空。
僕の。
まだ見たことのない空である。
(画像提供:ぐんま天文台)
この、白鳥座を為す南十字星のクロスの中には。
暗黒星雲があることも、今回初めて教えていただいた。
そして…。
いよいよ、はやぶさの帰還についての報告である。
(この稿、続く)
宇宙開発の50年 スプートニクからはやぶさまで (朝日選書 828) | |
武部 俊一 | |
朝日新聞社 |