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酔いどれの誇りと踊る熊へ

ドゥニ・ヴィルヌーヴ「メッセージ」の感想(長文ネタバレ)

2017-06-03 16:36:16 | 映画感想
原題:ARRIVAL


そう、原題は「到着ゥ~!」ということ。

自分にとって信用できる監督の一人。

そして一番言いにくい名前の監督の一人。

エイミーアダムス演じる言語学者ルイーズ。

ジェレミーレナー演じる物理学者イアン。

不治の病で死んでしまう娘ハンナ。

フォレスト・ウィテカー演じるウェバー大佐。

ウィテカーが出ると場面が引き締まるんだよな…安心できる俳優だ。

宇宙人は大ダイオウイカ星人!やっぱり墨も噴き出す!

言葉は武田双雲ばりの?絵みたいな筆字!

それを定規で測りながら解明していく言語学者ルイーズが可愛い。

現在過去未来の観念のない生物たち。

「外国語を修得するとその影響で思考に変化が出る」という学説があるらしい。

宇宙人の言語を解明していくうちに過去と未来のフラッシュバックに悩まされていく。

ガラス越しに手から手へ伝わった特殊能力も相まってますます死んだ娘の思い出の場面に悩まされていく。

実は未来の娘の姿。

そう未来の場面がフラッシュバックされていたということ。

12か所に巨大宇宙船がアライバルしているのだがパニックを起こした国は暴動化する。

ロシアと中国とアメリカの緊張が高まる。お互いに情報を遮断する。

これがきっかけで大戦争になる可能性も浮上。

回避することができるのか?

キイワードは「ゼロサムゲーム」というゲーム理論の経済用語。

なんで来たの?

アメリカ軍の問いかけはこれにつきる。

ダイオウイカたちの目的は3000年後に人類に救ってもらうために地球に来たの!

だから核戦争とかで全滅してもらっては困るのでやってきた!

それもひとつの「メッセージ」

日本にもアライバルするが北海道だ!なぜ?

なんだか雷が落ちにくい地域を選んだとか映画内で誰か言ってたけど本当か?

物理学者イアンと結婚して娘もできるが離婚もする娘も死ぬ原作では家も失う。

時間の観念が無くなったルイーズは先の見える未来を受け入れることが出来るのか?

ここがミソ。

旦那とも離婚する可愛い娘とも死別する!そんな未来が待っていると分かってもあなたは受け入れられるか?

この物語のテーマ。

でもダイオウイカ星人だって自分達が絶滅しないように3000年後の地球人に救ってもらうためのアクションを

起こしているのだ。

未来は見える。受け入れる。でも最善の行動をとる。

未来が変えられるかどうかは分からない、それを見据えて出来る限りのことをする。

そんなメッセージが見えてきたような気がする。

ルイーズはフラッシュバックで見た未来の娘との場面から、もっと話を聞いてやりたかった優しい言葉をかけてあげたかった。

そんな「考え方に変わっていく」

未来の亭主イアンにも婉曲に聞く、あなたならどうする?

死ぬことも変えられない、別れも変えられない。

そうなんだよ。それが分かっていたら、もっと感謝すればよかった、気持ちを素直に伝えておけばよかったと思うことになるよ。

独り言をするオレ。

親孝行したいときには親はいない。こんな諺がこの作品によく合っている。

そうなんだよね。

離婚すると分かっていたらもっと楽しい会話と食事をいっぱいすればよかったなと。

離婚するんだと分かってればもっと沢山旅行に連れてってあげればよかったなと。

結果は変わらなくとも、変わらないからこそ、愛情を出し惜しみしたらもったいないと思うもの。

だから科学的な矛盾点とか物語上のアラとかはどうでもいい。

テーマ。

そこに刺さるものがあったのかどうか。

自分のイタイ過去の経験から、う~ん分かるなァ分かるよルイーズと言わずにはいられなかった。


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