女装の君に逢うて候

それは伊豆下田の旅先でのことである

日ごろより話題に乏しく笑いに飢えている二人のオバサンの旅はいつも人間ウオッチングから始まる。

そんな二人の前に格好の人物が現れた！

（ホテルの朝食会場）

向かいに座っている姉が目くばせした！

その視線の先には、オバサンたちの目には珍しいファッションの女性の姿

ショルダーバックを前にかけもうひとつピンクのフリフリの手提げバッグまで　

（姉と一緒にパチリ！ごめんあそばせ～）

バイキングだから何度か目の前を通った

可愛らしいお洋服着ているけれど、体はデカいしウイッグも大きい

「男の人だよ」とひそかに私がいうと姉は「エェーーーツ！」

椅子に座ってお食事しながらスマホ片手に何度も自撮りしている

そんな姿の人めったに見られないし興味津々！！

食事を終えてすれ違った三人組のおば様たちがギョッ！と目を三角にしていた！

その様子がまた可笑しくて、、、

おっかけするつもりはなかったけど庭に出たら、そのお姿が・・・

その日は三脚を立てて、両手を広げはじけていた！

そんなシーンを以前テレビのドラマで観たことがある。

父親が隠れてそんなことをしているのを娘が知りショックを受けるという内容だった。

帰り際にすれ違ってお顔を見たら、ホウレイ線がくっきりと、、、年配の方だった

「こんにちは」とは、言いだせなかったけれど

この人はきっと今、最高に幸せな気分なんだね

その後、どちらにお出かけしたかはわからないが私たちも姉と二人で妄想して楽しませてもらった♪

 

その日の夜の夕食会場

年配のご夫婦連れ、女同士、ファミリーそんな多くの客層の中、男の人のおひとりさまが私たちのすぐ近くの席に居た。

運ばれてくるお料理をその都度カメラで１品づつ撮っている。

その横顔のホウレイ線が、あの女装の方と重なった！

美形でもなく、お洒落でもなく少し猫背のごくごくフツーの中高年のオジサンだった。

 

そして翌日

閉店間際の朝食会場に、そのオジサンらしき姿は見えなく、かの女性がまた現れたのである！！

私たちは確信した！

でも、この人とあの人が同一人物だということに気付いているのは私たちとスタッフだけだよねと。

（海をバックにまた自撮り）

 

その日、私たちはお昼までホテルに滞在して帰りの電車に乗った。

「あのオジサンどうしたかな～？」と二人はもっぱらその話でもちきり。

そこに、な、なんと！

同じ車両にあの方が乗り込んできたではないか！？

少し前の席に座った

フリースのようなさえない洋服に白髪交じり

でも、その頭の形横顔はまさしく・・・

途中トイレに立ったので正面からの姿も見られた！

あの女性の姿とのギャップが信じがたい。

あのお洋服に変身した途端、きっと人格や姿勢も変わるのだろう

おもしろい世界をのぞき見させてもらった私と姉であーる。

私たちは決して、そういう人を軽蔑もしていないし好きなことを楽しめて幸せでよかったねと思っている。

「いいじゃないの～しあわせならば～～～♪」