東京地裁成年後見訴訟控訴に対する抗議声明
特定非営利活動法人DPI(障害者インターナショナル)日本会議
議長 三澤 了
障害者の社会参加の大きな障壁の一つとして指摘されてきた成年被後見人の選挙権剥奪の問題について、2013年3月14日、東京地方裁判所は、成年被後見人は選挙権を有しないと規定する公職選挙法11条1項1号を違憲であるとの極めて妥当な判決を下しました。DPI日本会議はこの判決を全面的に支持し、同月25日、被告である国に対して、控訴を断念し、関係法令の改正等の必要な措置を取ることを緊急に要望したところです。障害者団体をはじめとするさまざまな団体や個々人から、同様のお願いが多く出されたことと承知しています。また、国会においても、控訴を断念し、公職選挙法関係条項の改正を早急に行うべき、との意見が与野党の議員から出されていました。
しかし、国は、こうした多くの声を無視し、控訴期限直前の同月27日、東京高等裁判所に対し控訴を行いました。今回の控訴は極めて不当であり、厳重に抗議します。
国は、控訴の理由として、立法に関する技術的検討に時間を要するとしていますが、法改正を待たずに成年被後見人を選挙人名簿に登録し、選挙人として選挙事務を行うことは可能なはずです。
また判決において指摘されている通り、後見人制度を借用した選挙権の停止・剥奪を行わないということは国際的潮流です。障害者権利条約批准のためにも、こうした権利侵害状況は早急に解消されなければなりません。
成年被後見人は主権者たる国民の一人です。一日も早く控訴を取り下げ、公職選挙法11条1項1号の削除などの必要な措置を取るべきです。裁判を起こした、あるいは、声をあげたくてもあげることのできない多くの成年被後見人の思いを真摯に受け止め、人権侵害状況を是正し、すべての国民に公正な選挙を実施するよう、改めて要望します。
2013年3月28日