日々の戯れ

鈴柩の頼りない脳細胞に代わる記憶

ペプチド結合(分子模型)

2008-06-01 | 分子模型図鑑

Photo

このグリシンのようなアミノ酸が

生物にとって重要な役目を持っていると昨日書いた

今日はその説明をしよう

Photo_2

ここにアミノ酸(グリシン)が2分子ある

アミノ基とカルボキシル基は水分子を仲間外れにしたうえで

結合することができる

Photo_3

これを脱水縮合と呼ぶのだが

アミノ酸の脱水縮合をペプチド結合という

このペプチド結合を行ってアミノ酸は

無限に縮合していくことができる

Photo_4

アミノ酸がたくさん縮合していった巨大な分子が

タンパク質である

今日の写真はグリシンだけだが

タンパク質のアミノ酸はグリシン以外にも

20種類余が知られている

その様々な形のアミノ酸という部品によって

タンパク質は生体内で

様々な作用を行なうことができるようになったのだ

次はその20種類余のアミノ酸を紹介していく

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両性具有(分子模型)

2008-05-31 | 分子模型図鑑

前回までのアミンの話で伝え切れていないこと

それはアミンがアンモニアの親戚なので

水溶液中では

アルカリ性

を示すということ

 

そして有機化合物には反対に

酸性

を示すグループがある

それは脂肪酸(カルボン酸)である

両グループの写真を再掲しよう

 

アミンの例(エチルアミン)

Photo

脂肪酸の例(酢酸[食酢])

Photo_2

アミンと脂肪酸

アルカリ性と酸性

青グループと赤グループ

男性と女性

二つのグループの間には深くて広い川がある・・・

・・・かのように思われるワケだが

 

実は両方の官能基(アミノ基とカルボキシル基)を

あわせもつ奴らがいるのである

その名を

アミノ酸

という

アミノ酸の代表(グリシン)

Photo_3

両性あわせもつ結果

水溶液は中性

まさに有機物界の「あしゅら男爵」のような・・・

そしてアミノ酸は2つの官能基を持つおかげで

生物にとって重大な役目を負わされているわけだが・・・

次回からこのアミノ酸を紹介していこう

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クロルピクリン(分子模型)

2008-05-26 | 分子模型図鑑

「農薬を飲んだ男が嘔吐したら毒ガス発生」

というニュースがあった

メディアに浮かんでくる化合物の分子は

なるべくフォローしていこうと思っているが

その例が前回の「硫化水素」で今回は「クロルピクリン」

どちらも自殺に関わっていることが残念だ

 

クロルピクリン

Photo_2

塩化ピクリン、クロロピクリンともいう

トリ クロロ ニトロ メタンというのが本名に近い

農薬(塩素系殺菌殺虫剤)という報道をされていたが

もともとは第一次大戦の頃の化学兵器として開発されたもの

肺水腫を起こさせ窒息させることを目的とした化学兵器

元祖は単純な塩素ガスである

塩素

塩素

ホスゲン

Photo

ジホスゲン

ジホスゲン

こういう奴らがお仲間である

ホスゲンはオウム真理教が

江川紹子氏に対して使用したことでも有名だ

 

クロルピクリンによる自殺は

硫化水素のように連鎖することはないだろう

催涙作用もあるクロルピクリンをがぶがぶ飲むなんて

誰にでもできることでは無いのだから

私などは食用の酢ですら飲めない

Dsc08973

クロルピクリンは水を加えて分解することで

Dsc08974

塩化水素や窒素酸化物などの有毒ガスを発生させる

件の治療室の中は

毒ガスの展示場のようなありさまだったにちがいない

死ぬにしても

人に迷惑をかけないように逝きたいものだ

5/28 写真修正

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アミン(分子模型)

2008-05-17 | 分子模型図鑑

あみんとは岡村孝子と加藤晴子2人からなるユニット

とかいうボケを考えていたが

・・・やめた

アンモニアのお化けたち

さっさと紹介していこう

エチルアミン

Photo

この辺の分子量の小さなアミンは

ほとんどアンモニアの匂いがする

アンモニア同様に水溶液はアルカリ性

アンモニアと違うのは水にも油にも溶けるところ

 

トリメチルアミン

Photo_2

アンモニアの水素がすべてメチル基に置き換わった形の分子

アミンは大抵臭いのだがこれも悪臭防止法の対象だ

高濃度でアンモニア臭、低濃度では魚臭い

 

アニリン

Photo_3

水分子の水素がベンゼン環になるとフェノールだった

アンモニアの水素がベンゼン環になるとアニリンになる

これも匂いがあるのだが

アンモニア臭とか魚臭とは一線を画し

アニリン臭ともいうべき匂い

様々な色素の原料としてなくてはならない化合物だ

 

スペルミジン

Photo_4

スペルミン

Photo_5

アンモニアを炭化水素で繋げたような

おもしろい形をしている

生体内でDNAやRNAと作用する大事な役目をしている

・・・らしいが・・・臭い

これらはスペルマの名のとおり精液臭

 

「水のお化け」のアルコール類が比較的良い匂いなのに

アミンがことごとく不快な匂いなのは

我々が水の海に生まれた生物だからなのかも・・・

土星の衛星タイタンにあるような

アンモニアの海に生じた生物であったら

アミンを良い匂いと感じるのではないか・・・と

思考してみるがこれは化学ではなくて

SFの領域だろうなぁ

 

ニコチン

Photo_6

これもアミンの仲間に入れてやってもいいだろう

ニコチンは生活の中で名前のよく出る化合物なので

後日、項をあらためて紹介しようと思う

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アンモニアのお化け(分子模型)

2008-05-15 | 分子模型図鑑

しばらく休んでいたが

分子模型図鑑本線を再開しようと思う

今日はちょっとおさらい

 

宇宙にある原子の9割以上は水素であり

水素・酸素・炭素・窒素で大部分を占める

ということを既に述べた

Photo

即ち上の写真上から

水・アンモニア・メタンのような水素化合物が

宇宙の中で非常に基本的な分子である

地球には水の海があり水の雲が浮かんでいるし

もっと寒い惑星ではアンモニアの海があったり

メタンの雲が浮いていたりする

 

これらの基本的な物質がさらに

炭素を骨組みにして合体していった物質がある

Photo_2

メタンが長くのびていったような

これらの一連の物質をアルカンと呼んでいる

言うなれば「メタンのお化け」だ

 

そして水分子の一部が長く延びていった一連の物質

Photo_3

これらをアルコールと呼んでいる

アルコールは「水のお化け」ともいうべき存在だ

 

では「アンモニアのお化け」は存在するのだろうか

Photo_4

もちろん存在する

それらは「アミン」と呼ばれている

 

水のお化け「アルコール」が爽やかな香りだったり

花の匂いだったりするのに対して

アンモニアのお化け「アミン」はツンと来る嫌な匂いだったり

魚の匂いだったりする

 

明日はそのアミンの一部を紹介しよう

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混ぜるな危険(分子模型)

2008-04-27 | 分子模型図鑑

硫化水素による自殺という痛ましい事件が続く

事件そのものは論評しない

「怖いねえ。あれでしょ。『混ぜるな危険』っていう奴」

という知人が居たのでその誤解を訂正しておく

酸性洗剤と塩素系漂白剤で発生する有毒ガスは

塩素ガス

Dsc06813

上の写真の左側の分子は次亜塩素酸HClO

次亜塩素酸ナトリウムの様な形で漂白剤に含まれている

右側の分子は塩化水素HCl

塩酸だトイレ用洗剤などに含まれる

これらを混ぜることによって

Dsc06818

化学反応の結果、上の緑色の分子「塩素」Cl2が発生する

刺激性の気体で呼吸器系を爛れさせたりする有毒ガスだ

危険な気体ではあるが

このところ話題になっているのは

硫化水素

Dsc06822

H2S黄色は硫黄原子だ

毒性は塩素の比ではない

一酸化炭素より強く青酸ガスに匹敵するといわれる

Photo

こちらも酸性洗剤(塩酸)が関わっているのだが

もう一方の主役は硫化カルシウムなどの硫化物

温泉入浴剤などに含まれる

Photo_3

塩酸が硫化物と反応して

Photo_4

硫化水素と塩化カルシウムになる

 

この方法が安楽できれいに死ねるという噂が

ネットで広まってこんなに流行っているらしい

ネット社会の暗部である

硫化水素は一酸化炭素に似て

赤血球にくっついて離れなくなるので

呼吸ができなくなって死ぬことになる

顔色は黒くなるだろうし

きれいで安楽な死に方などではないと断言しておこう

周りを巻き込むなど言語道断であるよ

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六角形の水の結晶

2008-03-08 | 分子模型図鑑

昨日の氷の結晶が六角形になった理由を考える

分子から考えてみよう

水の分子はこんな形をしている

Photo

酸素を挟んで2つの水素原子が

104.5度の角度で結びついている

分子内の電子密度は均一ではなく

酸素にひっぱられて酸素側がマイナス

水素側がプラスにチャージしている

これはちっちゃな磁石のようなもので

磁石をいっぱい一緒にすれば

ぐちゃっと極を揃えてくっつくように

水分子も凍るときに規則正しく並んでいく

Ice

その規則正しい結晶構造は十数種類見つかっているが

オーソドックスなものは上の図のように

六角形を基本としているのだ

立体としてみれば六角柱である

この時結合の角度はおよそ109度まで広がる

Photo_2

六角柱を基本としてどんどん水分子が繋がっていき

六角柱の氷の結晶ができあがっているのだ

では雪印のような

樹枝はどうして現れるのだろうか

明日に続く

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合成色素(分子模型)

2008-03-03 | 分子模型図鑑

ひなまつりを前にして「目がテン」を見て

「ひしもち」の歴史について知った

菱餅の3色は下から白・緑・桃色

雪の季節の後、若葉が芽吹き、桃の花が咲く

Hishimochi

とこういうことらしい

そして

桃色の餅は桃の花、あるいはクチナシ

緑色の餅は母子草(ゴギョウ)、後にヨモギ

白い餅は只の餅かと思いきや

菱の実が使われていたという

なるほどそれもあっての「ひしもち」かぁ

むしょうに菱餅が食べたくなって買ってきた

Dsc05172

・・・色の順番からして違っているし・・・

色素が混じらないように白を中心にしたんだろうなあ

Dsc05171

米・もち米・砂糖・塩・着色料・・・

蓬も梔子も菱の実も入って無いんだね・・・

しょうがないので着色料の分子模型でも紹介しようか

ピンク色は赤色3号を使っている

赤色3号

赤色3号

「黄1・5青1」にはちょっと悩んだが

黄色1.5対青1の割合で混ぜた緑色ということだ

使われた黄色と青は多分これ

黄色4号

黄色4号

青色1号

青色1号

菓子類に使われる青色食用色素は1号だけだし

黄色色素は4号と5号があるが

5号の方はとてもオレンジに近い

このコンビは以前作ったような・・・と思ったら

かき氷のメロンシロップと一緒だった

 

ひしもちはおいしく頂いたけど

菱の実の入った菱餅は

どこへいけば売っているんだろう・・・

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ホレート・パラチオン(分子模型)

2008-02-22 | 分子模型図鑑

またしても食品に有機リン系殺虫剤が・・・・

有機リン系殺虫剤は無数にあるので

(おにゃんこクラブかAKB48かっていうくらい)

その中からどれが有名になるのやら

さっぱり分からんご時世だ

「今週のスポッッッッットライト」

ホレート

ホレート

O,O-ジエチル-S-エチルチオメチル-ジチオフォスフォネート

他の子とちょっと異質な黄色い衣装

そのうえ出身が「トンカツ」だそうだ

ギョーザなんていうありきたりの出身地じゃないところがすごい

「トンカツに農薬?」ってどういうことかと思ったら

アスパラ入りトンカツだそうだから

アスパラに農薬が付いていたのかな?

 

お次は双子のユニットだ(マナカナではない)

パラチオン

パラチオン

O,O-ジエチル O-(4-ニトロフェニル)ホスホロチオアート

パラチオンメチル

パラチオンメチル

O,O-ジメチル O-(4-ニトロフェニル)ホスホロチオアート

ほくろの大きさ(メチル基エチル基)で区別しよう

この二人、出身は例によって「冷凍ギョーザ」 

ジクロルボスのバックコーラスでデビューだ

歌唱力(毒性)はジクロルボス以上といわれている

有機リン系殺虫剤も増えてきたので

前回のも一緒に並べて記念撮影してみた

 

有機リン系 (勇気リンリン48?)

有機リン系殺虫剤

明るくなっているところが有機リンのアイデンティティね

・・・本当に48人とかになったら嫌だな

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帯電列

2008-02-18 | 分子模型図鑑

昨日の話の続き・・・

ゴム風船を羊毛のセーターでこすると静電気が起きた

テフロンでこするとうまく静電気が起きなかった

なぜかというと帯電列という考えを持ち込むと説明できる

帯電列は異なる材質の物を擦ったときに

正に帯電しやすい物から負に帯電しやすい物へと

順に並べた表である

こことかこことかここをみればどんなものかおわかりだろう

ところが困ったことにどの表も微妙に異なる

なんと帯電列を理論的に説明する法則はまだ無いのだ

実験で経験的に並べていくしかないのだそうだ

 

さて本ブログでも帯電列を作ってみよう

有機物のみを分子模型をつけて並べてみた

Photo

法則性が見えなくもない

窒素原子(アミノ基)を含む分子は正に帯電しやすく

ハロゲン原子を含む分子は負に帯電しやすいように見える

 

この表で離れた場所にある物質をこすると

静電気は起きやすい

ポリエステルのシャツにウールのセーターを

重ね着したりすると

「パチパチくん」に悩まされることになるというわけである

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