すとう信彦 & his band

社会起業家(チェンジメーカー)首藤信彦の日常活動とその仲間たち

大島渚監督逝く

2013-01-15 23:23:19 | Weblog
監督としては「愛のコリーダ」じゃないけど、無理して前衛的な作品を作っている感じで、かならずしも好きではなかった。大島さんとは昔、テレ朝の「朝まで生討論」でよく顔を合わせた。決して保守ではなかったが、1980年代はまだ左翼もリベラルも元気で、それに石をなげる役割や世の中に対して「怒る」役割も演じていたと思う。実際話してみると、やはり深みのある考え方を述べておられた。いま、討論番組というと、ほとんど芸能プロダクションの派遣するタレントの独壇場だけど、当時は野坂昭如さんも含め、文化人が偽悪家や怒れる市民の役割を演じていて、激しい議論の中にも考えさせられる話が多かったと記憶する。第一次湾岸戦争などを経て、小生が政治活動を始めたころに再会したが、もうその時は病気の後遺症で車いすに乗っていて、主張もはっきり発することもできなかった。そうした姿であること自体、耐えがたい屈辱感があったと想像する。今のテレビのワイドショーを見ていて、大島監督のような本当に心の底から怒りをぶつけるような真剣な人がいないことに気付いた。「昔はよかった」というノスタルジーに浸るつもりはないけど、こういう人がテレビで自分の意見を言うということが大事だ。何か、止め石のないまま、日本社会がずるずると坂道を滑り落ちていくような感じがする。