すとう信彦 & his band

社会起業家(チェンジメーカー)首藤信彦の日常活動とその仲間たち

北カレリアから南オセチア問題を考える

2008-08-15 05:47:34 | Weblog

 フィンランドの独立と抵抗の歴史を代表する北カレリアからヘルシンキに入った。修道院に泊まった先日はそれこそテレビなどない部屋で浮世と切り離されていたが、ヨエンスーでもヘルシンキでもホテルのCNNでは朝から晩まで南オセチア問題をやっている。顔をゆがめたライス国務長官の長時間記者会見にアメリカとブッシュ政権がおかれた苦境を理解することができる。7度におよぶ国境線の変更、ソ連・ナチス両勢力による蹂躙などを経験し、南カレリアを失ったフィンランドいると紛争と縁のない平和な福祉国家にいても一層の臨場感を覚える。
 今日はツルネンマルティ議員、峰崎議員とともにフィンランド国会訪問。百聞は一見にしかずというが、北欧民主主義を表現する国会というものを見てつくづく考えさせられた。当然のことながら投票はすでに電子化されていたが、議長推挙などは議長席の前のバケツに投票用紙を投げ入れるようになっていたり、新旧システムの並存が面白い。議席は最前列がベテラン議員で、年功順に後ろに展開し、最終ラインは若い新人というのが、日本とまったく逆の順序で興味深い。

 フィンランドの外交委員会委員に南オセチアの問題に対するフィンランドの見解を聞く。その答えは驚くべきものだった。以下はその抄訳。

「南オセチア情勢はフィンランドにとってきわめて厳しいものだ。ロシアは20世紀末には平和をもとめ周辺国とも協力しようという姿勢が見られた。しかし、プーチン政権の二期目に入って、その方針は急変し、もとの大国に戻ろうとしているように思える。その方針の下で、ロシアは意識的にヨーロッパのどこかの地域で、その力を見せつけようとひそかに計画していた。それが表面化したのが今回の事件だ。
最大の問題はウクライナの完全独立だ。ウクライナの独立をフィンランドは支持している。モルドヴァも二つに分かれていて、ロシア駐留軍がいる。
 南オセチアとアブハジアはすでにロシア軍に占領された。ロシアはまず、一年前にグルジアの指導者をやめさせようと画策したが、失敗した。そこで今回の実力行使になる。ロシアの目的はグルジアをつぶすことにある。
今は、ロシアは西側の反応を注意深く観察している。西側の対応が統一性を欠いていればロシアのやりたい放題になる。
 もし、ロシアがこのような形で肥大化していけば、フィンランドへの影響も大きくなるのを避けられない。軍事力による実力行使に関しては否定的だが、ロシアのフィンランドへの政治的介入は十分ありうる。フィンランドはロシアと1100kmの国境を接しており、南オセチアでの展開を注意深く見つめている。」