会津八一&団塊のつぶやき

会津八一の歌の解説と団塊のつぶやき!

道風記念館と会津八一5(完) 八一と道風    素空

2012-06-16 00:31:29 | Weblog
 友人Nと書道が「蘭亭序」(王義之)に大きく影響されていることなどを話し、書の良し悪しについて語った。オーソドックスな書を信奉する彼は「(八一が言うような)オリジナルな書は良いか悪いかの判断が難しい」と言う。たしかに芸能人などの独特の字などの判定は難しい。
 會津八一は小野道風の書を評価した。厳しく排したのは道風などの字を無批判的にただ真似ること。八一は言う「字の趣味といふものは自分が相当の域に達した時に自ら湧いて流れでるところのものである。謂はばその人の体臭の如きものである・・・」「(だから)王義之の趣味、顔眞卿の趣味、小野道風の趣味といっていくらその人の字を真似てみたところで、生れつき違ふものが何になるか、そんなことは声色の稽古と同じことである」「自分で気がつかないうちに自ら湧き出て来るのが、その人の持味であると私は考へた・・・」そして独自の書のための基礎訓練を経て高いレベルでのオリジナルな八一の書を確立した。
 書の良し悪しは難しいが、それを芸術として見る限りは「美」を中心に据えて鑑賞するのみだと思う。鑑賞眼の良し悪しも問われるが、俗っぽく言えば一軸何十万円もする八一の書は評価されているのだろう。