会津八一&団塊のつぶやき

会津八一の歌の解説と団塊のつぶやき!

高村光太郎13(完)   素空

2012-03-28 23:44:29 | Weblog
 高村光太郎について書き出したのは、彼の詩集を読み終えたのが端緒である。だが、詩集を読みだしたのは吉本隆明の「高村光太郎」による。3月16日吉本は亡くなり、その存在が大きくマスコミで取り上げられていることは何かの因縁があるかもしれない。団塊の世代の多くは吉本に大きな影響を受けたと言えるが、各種報道の底の浅さを見ていると現在の少し若いと思われる報道関係者にはもう彼の思想を捉える力は無さそうだ。
 そのことはさておいて、高村と吉本の終戦時における挫折とその後の姿勢を今回は明らかにしたかった。戦後、崩壊した自らの立脚点(思想)を借り物の思想で置き変えることなく、考え抜くことによって新たな思想や道筋を作りだしたことを評価する。
 そうしたことを知り得たからこそ、若い時に接した高村の「道程」や「智恵子抄」が新たな視点から内容豊かに迫って来るのである。
 また、彼らの生き様は素空自らにも跳ね返ってくる。遠い昔の挫折を「借り物の思想」で置き換えはしなかったが、残念ながら自らが自前の思想を紡ぐほどの能力も努力もなかったことを悔いている。