雑誌『エスクァイア』誌の主催する「
デジタル写真賞」では、今回からの新しい試みとして、応募者の誰もが100MBまでのデジタルデータをギャラリーサイトに直接アップロード公開することのできる「オンライン応募システム」を採用している。応募資格は「年齢や国籍を問わずにグループでの参加も可」となっている。もし、その「国籍を問わないグループ」が、たとえば「アンサール・アルスンナ・アーミー」や「タウヒード・ワ・ジハード」といったイスラム過激派組織だったらどうするのだろうか。アップロードされてくる作品がいきなり「ジハード・ファイル」だったらどうするのだろうか。もちろん公序良俗に反する行為として無効になるに決まっている。実際、応募規約の第2条に「禁止行為」としてはっきり記されている。...というのもよく知られているように、イスラム系のテロリスト達は、作成した「ジハード・ファイル」をまず最初に日本の「うぷろだ」サービスにアップロードしてきているという話がある。実際、これまでにも多くのテロリストのファイルが日本から世界に配信されていたことが確認されてる(
資料)。してみると、このインターネットというデジタルネットワークを十分に活用するテロリスト達のその「デジタル・ジハード」な活動に比べ、このデジタル写真コンテストの掲げる「Art of Living―自分らしくありたい」というコンセプトは、いかにもナイーブに響いてくる。まさしく「禁止行為」が蔓延するこのデジタルネットワークの現実を前に、いまさら「名作」や「自分らしさ」など求めても無意味なんじゃないだろうか。それでも「現実世界の中心で愛をさけぶ」ことこそデジタルアートなんだろうか。