昨年末に、人事院が「国家公務員採用総合職試験における英語試験の活用について」と題する報道資料を公開しました。平成27年度の総合職試験から活用され、TOEFL iBT、TOEIC、IELTS、英検の4種類が対象です。TOEFLの場合、65以上のスコアを取得すると15点加算、80以上のスコアでは25点加算されます。IELTSでは、5.5以上が15点加算、6.5以上が25点加算です。「平成25年度総合職試験における総得点は、区分により異なるが、最高点は672~838点、合格最低点は492~566点となっており25点の加算は合否ライン付近の者にとって総得点の概ね5%程度となる」そうです。ちなみに、最新の日本人の平均点はTOEFLが70、IELTSが5.8ですから、求められるスコアはそれほど高くはないことになります。また「試験実施年度の4月1日から遡って5年前の日以後に受験したスコア等を有効とする」とのこと。留学する際にTOEFLやIELTSのスコアを提出する際の有効期間は2年〔英検を認める海外の大学も少しずつ増えており、留学の目的で使用する場合の有効期間は2年〕ですから、有効期間も厳しくはありません。
総得点に占める英語試験の割合の低さ、求められるスコアの程度、有効期間の長さから考えると、「高度な英語力がないと国家公務員になれなくなる」ということではなさそうです。ただし、「導入から3年後を目途に、英語試験導入後の実施状況や大学等における英語教育の推進状況等も考慮した上で、必要な見直しを行うものとする」とも明記されており、徐々にハードルが高くなることも考えられます。
1/7(火)の日経新聞は、昨年10月29日から11月11日にかけてインターネットで実施した、資格に関するアンケート結果を掲載しています。20~40代のビジネスパーソン男性949人・女性406人の計1355人が回答したものです。「仕事に役立っている資格ランキング」は1位が中小企業診断士、2位にプロジェクト・マネジメント・プロフェッショナル(PMP)、3位TOEFLテスト、4位TOEICテスト(Aレベル、860点以上)と、ここでも英語試験が注目される結果となっています。
また、日経Bizアカデミーのサイトでもこのアンケートの詳細が紹介されています。「満足度ランキング」では、英検1級が1位、以下、個人情報保護士、漢語水平考試(HSK)と続きます。漢語水平考試(HSK)は中国語を母国語としない人を対象とする中国政府公認の資格です。国際的な認知度が高く、留学やビジネスの用途で、中国語力を証明する基準となっています。「将来性」の高さが上位にランクされた要因となったようです。
「お役立ち資格ランキング」では、1位が公認会計士と米国公認会計士(USCPA)、3位が中小企業診断士、TOEFLは8位、TOEIC(Aレベル、860点以上)は10位です。「今後取得したい資格ランキング」 を見ると、1位がTOEICテスト(Aレベル、860点以上)、2位もTOEICテスト(Bレベル、730~860点未満)、4位もTOEICテスト(Cレベル、470~730点未満)とTOEICが大人気です。3位は中小企業診断士、5位は日商簿記検定2級でした。TOEFLは10位にランクインです。
検定試験・資格試験の分野でも英語の存在感が増していることが裏付けられ、英語力があると将来の選択肢が多くなり、可能性が広がるという動きは今年も加速します。
(maw)