和名:ムクロジノキ(ムクロジ科ムクロジ属) 学名:Sapindus mukurossi
無患子・無患樹・木患子、子が患うことの無い樹の意味です。15m~20m になる落葉高木。
偶数羽状複葉の葉は長く5~15cmで互生し、4~8 対ある小葉には鋸歯はなく、雌雄同株で、6月に黄緑色の小花が円錐形に集まって枝先に咲きます。秋の黄葉が美しく、果実は直径2cmの黒い球状で、厚い外皮があって秋には半透明の黄褐色になり晩秋の落果時に中でコロコロと音を立て、数珠や羽根つきの玉に使われます。
お正月にカーンカーンと羽つきを子供がすることは、「今年も病気をしないで子供が元気に育ってほしい」という願いが込められていたんですね。
学名のSapindus:ムクロジ科は「インドの石鹸」の意味で、ムクロジの果皮に約10%の化学物質サポニンが含まれ水に溶けると泡立ちがよい。昔は洗剤にして利用したとこの木の主がおっしゃっています。
平安の昔は当時としては灯明の煤でも汚れもよく洗い落とすところから、石鹸として洗濯や洗髪に用いられて、平安時代の公家屋敷には多く植えられていたようです。
消毒の力も高いということで、病院の庭にも植えていたそうです。実にはサポニンがあり、エゴノキ(別名ジシャの木と言ってお手玉の心にするとよい音がした)と同じく昔は川魚をとるときに用いたといわれます。
水につけてもむと泡が出ました。なかなか消えない細かい泡で、この性質を美容・健康で活用しています。ロウ質の殻の輝きと名前の由来など何ともエキゾチックな不思議な樹木です。冬の川西の旧家の庭に凛として立っています。大事にしていきたい樹です。