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ガラパゴス、突き詰めてみたら

2019年04月11日 | 読書
 朝刊の「時評」(佐藤隆三ニューヨーク大名誉教授)は「平成時代の失敗から学ぶもの」と題されて、日本経済の没落とその理由が記されていた。通信技術、サービス分野に後れをとってしまったことが要因だが、その点が及ぼす影響はきっと広範囲に渡るだろうなと思いつつ、先日観たドキュメンタリーを思い出した。


 インド工科大学の就職面接会の3日間を追うという内容だった。「世界最高の頭脳」があると形容されていることは知っていたが、改めて人材を求めて世界中の一流企業が殺到する様に、いろいろなことを考えさせられた。日本企業も当然必死に参加していたが…。ITで活躍できる人材レベルや教育のあり方を想った。


 「超売り手市場」なので、面接会への企業参加はランク付けされている。初日にマイクロソフトやグーグルと並んで参加できたのは、日本ではメルカリ1社だけという現実に驚かされた。その後に有名企業が続く。そこで獲れなければ、徐々に人材ランクが下がり、最終的には国内市場へ行くのか…と思うとやや寂しい。


 さて、学生の大学に入るまでの苦労が並大抵でないことも窺い知れる内容だった。日本企業へ決まった一人が、故郷へ帰り歓待され出身校の生徒の前でスピーチする様子など、相当な昔に我が国でも「末は博士か大臣か」と言われていた時代と似ているのかもしれない。貧しく苦しい境遇からの這い上がる気力が違う。


 そこには自らの利益だけでなく、まだ発展途上の家族や地域へ尽くそうとする精神が宿っている。対象が見えやすいし、方向も明確だ。それに比して昭和後半から平成にかけての日本は、向かうべき道が枝分かれし、しかも霞んでいる有様だ。もはや「ガラパゴス」を突き詰めてみるしかないか、と居直ったらどうか。