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トヨタ・日産など春闘で高水準回答相次ぐ、日銀政策変更後押し 2024年3月13日 5:30 JST 更新日時 2024年3月13日 19:30 JSTブルームバーグ

2024-03-13 21:09:58 | 日記
トヨタ・日産など春闘で高水準回答相次ぐ、日銀政策変更後押し
稲島剛史
2024年3月13日 5:30 JST
更新日時 2024年3月13日 19:30 JSTブルームバーグ

トヨタは一時金、賃金とも過去最高水準に-日鉄は月例給与14.2%増
昨年上回る賃上げを、と政府-マイナス金利解除への影響で市場注視
トヨタ自動車や日産自動車は13日、今年の春季労使交渉(春闘)で、賃上げと一時金について労働組合側の要求に満額回答すると発表した。大手企業からは昨年を上回る水準の回答が相次ぎ、来週に控える日本銀行の金融政策決定会合でのマイナス金利解除を後押しする判断材料にもなりそうだ。

  春闘は同日、主要企業が労働組合からの要求に回答する集中回答日を迎えた。トヨタの一時金の回答は基準内賃金の7.6カ月分と前年を上回る。賃金・賞与ともに過去最高水準という。同社の自社メディア「トヨタイムズ」によると、佐藤恒治社長は同日開かれた労使協議会で、トヨタで働く「人の力」を高めていきたいという思いを込めて満額回答したと述べた。

  全組合員平均の賃上げ額は公表されていないが、佐藤社長は「未来を担う世代への投資」として、若手に重点的に配分するとした。新入社員の初任給についてもすべての職種で引き上げたという。

  日産も労組の要求に対して満額回答し、平均賃金改定額を1人1万8000円とすると発表した。賃上げ率では5%になるという。内田誠社長は記者団に対して、従業員が厳しい事業環境で貢献したことや物価上昇、自動車業界の代表としての責務などを踏まえて決断したと述べた。

  部品メーカーなどを含む自動車業界の労組で構成する自動車総連によると、今春闘でのベースアップ分を含めた賃上げの平均回答額は前年比47%増の1万8496円と、1993年以降で最も高い水準となった。非正規雇用の人に関しても一般の組合員と同等の回答を引き出しているという。

日鉄、三菱重も
  金属労協が13日発表した平均賃上げ回答額は、速報値で1万4877円と昨年の最終結果を上回った。日本製鉄は4月からの月例給与を組合員1人あたり3万5000円増額。定期昇給などを含めると14.2%の増加になるという。三菱重工は組合員の今年の平均年収増率は約8.3%となると発表、昨年の約7%を上回った。

  2月から始まった労使協議では一部の製造業や小売業などで早期妥結となっていたが、トヨタなど多くの大企業はこの日までに賃上げに関する回答をしておらず、13日に決着する見通しとなっていた。  

  日本では賃上げが物価上昇に追いつかず実質賃金のマイナスが続いており、所得増と成長の好循環を目指す岸田首相は経済界に対して今年の春闘では昨年を上回る賃上げをするよう要請している。賃上げ動向は日本銀行のマイナス金利解除の判断材料にもなるため、今年の春闘は関心を集めている。

  みずほ証券の小林俊介チーフエコノミストは、連合が15日に発表する第1回回答集計結果について「びっくりするくらいいい数字が出てくる可能性がある。ベースアップのみで3%台半ば、定昇も込みだと5%台の数字が出てきてもおかしくない」と予想。その上で、「仮にその数字が出たら日銀がマイナス金利を来週解除するかというと、答えはイエスだ」との見方を示した。

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組合は強気の要求
  人手不足などもあって組合側は強気な要求をしている。連合によると、今年の春闘で労組が要求した平均賃上げ率は4日時点の集計では前年を1.36ポイント上回る5.85%だった。第1回回答集計の平均賃上げ率が昨年水準(3.8%)を大きく上回るかどうかに注目が集まっている。

  集中回答日を前に既に一部企業では高水準の賃上げを回答する動きが出ている。自動車業界ではスズキが集中回答日を前に組合要求を超える10%以上の賃上げを回答。ホンダとマツダも昨年を上回る賃上げ水準で早期決着した。サントリーホールディングスは2月、平均約7%の賃上げで満額回答した。


  大企業の回答が出そろった後に焦点となるのは、雇用の約7割を占める中小企業に賃上げの流れをいかに波及させていくかだ。中小企業を含む約2000の労組が加盟するものづくり産業労働組合(JAM)は同日、12日までに妥結した60組合の平均賃上げ率が5.32%だったと公表した。安河内賢弘会長は「非常に高い水準での回答、これから続く中小の春闘に大きな勇気を与える」と話した。

政労使会議
  13日夕に官邸で行われた政府、経済界、労働団体の3者による政労使会議では、大手の賃上げの動きを中小に広げる取り組みについて意見交換した。岸田文雄首相は相次ぐ高水準回答について「30年続いたコストカット型経済から、いよいよ次のステージに移行していくために良い動きを確認できた」と指摘。こうした傾向が中小企業でも継続できるよう、あらゆる手を尽くすと語った。

  連合の芳野友子会長は昨年を上回る成果が出ているとして、「中小・小規模事業者にどれだけ波及ができるのかということがポイント」と指摘。経団連の十倉雅和会長も「賃金引き上げのモメンタムが昨年より起こっている」と述べ、中小企業にもつなげたい考えを示した。芳野、十倉両氏は会議後、記者団に語った。

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