【日本市況】株4日続伸、円38年ぶり安値を連日更新-超長期債が下落
横山桃花、船曳三郎、日高正裕
2024年7月3日 14:15 JST
更新日時 2024年7月3日 15:41 JST
3日の日本市場では株式相場が4日続伸。投資家心理の改善を受けたリスクオンの流れから円の対ドル相場は約38年ぶりの安値を連日で更新した。債券相場は超長期債が下落(金利は上昇)した。
米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長が前日、米国のインフレが再び鈍化傾向に戻りつつあるとの見方を示した。当局者らは利下げに動く前にさらに多くのデータを目にしたい考えだとも付け加えたが、市場では年内利下げの可能性が改めて意識された。
前日に節目の4万円を回復した日経平均株価は3月以来の4日続伸。三井住友アセットマネジメントの市川雅浩チーフマーケットストラテジストは、先物主導の場合は一時的にとどまりやすいとし、持続的な上昇には「企業業績、企業改革、賃金についてのさらなる進展が条件になる」と3日付リポートで指摘した。
国内株式・為替・債券相場
東証株価指数(TOPIX)の終値は前日比0.5%高の2872.18
1989年12月の過去最高値(終値2884.80)に接近
日経平均は1.3%高の4万0580円76銭
3月22日の過去最高値(終値4万0888円43銭)に接近
円相場は対ドルで一時0.3%安の161円94銭と、86年12月以来の安値を更新
対豪ドルで一時108円07銭と、91年5月以来の安値
対ユーロで一時173円92銭と最安値を更新
新発10年債(375回債)利回りは0.5bp低い1.095%
長期国債先物9月物の終値は7銭高の142円49銭
株式
東京株式相場は4日続伸。日経平均が心理的節目の4万円を2日に回復し、先高観が強まった。パウエルFRB議長の発言で米国の利下げ期待が再燃したこともリスク資産の株式に追い風だった。
前日のフィラデルフィア半導体株指数(SOX)上昇を受け、機械や電機など半導体関連株が上昇した。三菱重工業が6.5%値上がりし、TOPIX上昇に最も寄与。指数を構成する2137銘柄のうち、1170が上昇し、859が下落した。
個別では、ゴールドマン・サックス証券が目標株価を引き上げた村田製作所や太陽誘電、MARUWAなど電子部品株が軒並み急伸。ソフトバンクグループ株は終値ベースの最高値で取引を終えた。
ソフトバンクG株が終値ベースの最高値を上回る
三菱UFJアセットマネジメントの石金淳チーフファンドマネジャーは、日経平均とTOPIXの動きが必ずしも一致しなくなっていると指摘。日経平均は米国のハイテク株の動きをかなり反映していると述べた。
いちよしアセットマネジメントの秋野充成社長は、日経平均が4万円を超えたのは想定外だったとし、弱気派の様子見姿勢が高まることで相場は強くなりそうだとみていた。
日経平均の日中チャート
為替
東京外国為替市場の円相場は1ドル=161円台後半に下落。前日のパウエルFRB議長の発言を受けて米利下げ期待が高まり、日米株高によるリスク選好の流れから低金利の円を売ってドルを買う需要が強かった。円は対ドルで約38年ぶりの安値を3日連続で更新し、対豪ドルでは91年以来の安値を付けた。
りそなホールディングス市場企画部の井口慶一シニアストラテジストは「株高を受けた円売りの流れになっており、円キャリー取引が入りやすい環境だ」と指摘。パウエル議長発言はハト派的と受け止められたが、米大統領選討論会を受けた長期金利の上昇を打ち消すまでには至っておらず、「ドルは底堅い」と述べた。
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前日からのドル・円の推移
債券
債券相場は超長期債が下落。日本銀行が国債買い入れを大幅に減額することや早期の追加利上げに踏み切ることへの警戒感が根強かった。米長期金利の低下を受け、中長期債と先物は堅調。
三井住友トラスト・アセットマネジメントの稲留克俊シニアストラテジストは、日銀の政策修正の可能性に加え、特に超長期債は4日の30年債入札への警戒感もあって買いにくいと指摘していた。
超長期債は主な買い手である生命保険会社が様子見姿勢を続けており、需給不安につながっている面もある。
住友生命、30年債金利は最大2.5%まで上昇も-超長期債は控え目
新発国債利回り(午後3時時点)
2年債 5年債 10年債 20年債 30年債 40年債
0.345% 0.590% 1.095% 1.935% 2.270% 2.400%
前日比 -1.5bp -1.5bp -0.5bp +1.5bp +1.5bp +1.5bp
先物中心限月の推移
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