コズモと読んでください COSUMO

株式、債券、為替、投資信託を主に

バフェット氏の商社株投資、成功の秘訣 脱炭素は冷静に 日経QUICKニュース(NQN) 編集委員 永井洋一 NQNスペシャル 2021年10月27日 12:51

2021-10-27 21:08:17 | 日記
バフェット氏の商社株投資、成功の秘訣 脱炭素は冷静に
日経QUICKニュース(NQN) 編集委員 永井洋一
NQNスペシャル
2021年10月27日 12:51

バフェット氏率いるバークシャー・ハザウェイは日本の5大商社株を20年8月にかけて大量取得した=AP
資源価格の上昇で、著名投資家のウォーレン・バフェット氏率いる米バークシャー・ハザウェイが保有する日本の5大商社株の含み益が膨らんでいる可能性がある。急進的な脱炭素運動が社会経済に及ぼす影響を冷静に分析し、投資アイデアに生かすバフェット氏ならではのバリュー(割安)株投資の真骨頂がうかがえる。

5大商社株の含み益、2500億円以上か
バークシャーは三菱商事、伊藤忠商事、三井物産、住友商事、丸紅の5社をおおむね2019年8月から20年8月にかけて定期的に取得した。5社の有価証券報告書に記載されている「ビーエヌワイエム アズ エージーテイ クライアンツ ノン トリーテイー ジヤスデツク」という米国のカストディ(資産管理)銀行名がバークシャーの「代理口座」とみられ、各社21年3月末時点の上位2位、ないし3位の大株主として登場している。
21年2月公開のバフェット氏による「株主への手紙」によれば、バークシャーは伊藤忠を8130万4200株、総額18億6200万ドル(約2120億円)で取得した。平均して1株当たり約23ドルで取得したことになる。計算の基準日である20年12月末の円相場で換算すると2370円程度だ。
この数字は取得期間(19年8月~20年8月)の伊藤忠の平均株価2340円(25日時点の時価は3202円)とおおむね合致する。したがって、残り4社についても取得期間の平均株価を1株当たりの取得コストとみなすことは可能だ。三菱商は2570円(同3564円)、三井物は1740円(2594円)、住友商は1470円(1615円)、丸紅は650円(956円50銭)となる。
1株当たりのコストに21年3月末時点で保有する株数を乗じるとバークシャーの「想定投資元本」が分かる。5社合計では約7300億円だ。バークシャーが日本株投資のために19年9月と20年4月に発行した円建て社債の総額(約6300億円)を上回るが、極端な開きはない。
バークシャーによる5社の保有株数が21年3月末時点から変化がないという前提で21年9月末時点の保有時価総額を割り出すと合計約9800億円となり、半年で200億円強増加した。「想定含み益」は2500億円を超え、想定投資元本に対する比率は35%以上に達した可能性が高い。
一部で保有株数減少の商社も
「座礁資産」と呼ばれる化石燃料に権益を抱える商社にあえて投資し、そこから成功を導いた秘訣は、バフェット氏の多数派に流されない冷徹な選別眼にあるのだろう。英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)によれば、化石燃料の是非に関する極端な意見に対し、バフェット氏はバークシャーの今年の年次総会で「少々頭がおかしい」と批判したという。
資源高と金利上昇をきっかけに、「米国ではこのところ、石油株を中心にPBR(株価純資産倍率)が1倍を大きく下回るようなバリュー株の上昇が目立つ」(三菱UFJモルガン・スタンレー証券の古川真氏)という。市場がバフェット氏に追いついてきたという印象だ。
だが、バフェット氏はそんな市場参加者の動きも冷静に投資の判断材料にしているはずだ。化石燃料からの脱却は人類にとっての重要な課題。資源権益ビジネス頼みだった商社は長期的なビジネスモデルの転換が求められている。バフェット氏は長期投資家だが、見込み違いの場合や情勢の変化に応じて手を引く決断も早い。
5社の中には20年9月末から21年3月末までの半年間で、バークシャーの保有株数がわずかながら、唯一減少した企業がある。石炭火力発電事業に代わる柱の不足が指摘される住友商だ。資源高という追い風が吹くなかで、バフェット氏は選別を進めている可能性もある。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿