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円高抵抗力増した日本株、企業収益リスク限定的か-想定レートに余裕 2023年12月15日 13:08 JSTブルームバーグ

2023-12-15 16:04:01 | 日記

円高抵抗力増した日本株、企業収益リスク限定的か-想定レートに余裕
佐野日出之、我妻綾
2023年12月15日 13:08 JSTブルームバーグ

短観の下期想定139円97銭、1-3月は130円程度でも達成可能水準
海外生産比率、26年度に37%と過去最高の見通し-国際協力銀


直近1カ月の円相場の大幅上昇を受け、一部で企業業績への悪影響を心配する声が上がる日本株市場。だが、株価の上値抑制要因にはなり得るが、相場全体を大きく押し下げる可能性は必ずしも大きくない。今年度の想定為替レートと現在の水準との間に余裕があるほか、生産拠点の海外移転などで日本企業の収益は為替変動の影響を以前より受けにくくなっているためだ。

Vehicles And Containers At Yokohama Port As Japan Releases Trade Figures
埠頭で船積みを待つ日本の自動車


  米連邦準備制度理事会(FRB)が今週、来年の利下げに向けた地ならしを開始したことを受け、円は対ドルで一時7月末以来の高値に急騰。株式市場では自動車株を中心に売り込まれる場面もあったが、この動きは長続きしない可能性がある。

  ニューバーガー・バーマンの岡村慧ポートフォリオ・マネージャーは、企業経営者と話す中で聞くのは急激な円高だと売り上げとコストのミスマッチが発生し、業績に悪影響を与えるが、「落ち着いた動きである限り、円の上昇には問題がないということだ」と語る。

  日本銀行が13日に発表した12月の企業短期経済観測調査(短観)によると、2023年度下期の想定為替レートは1ドル=139円97銭。10月以降の平均が148円台のため、1-3月期は130円程度でも十分達成可能な水準であり、今年度業績の下方修正リスクは小さいと言える。来年度の計画に影響を及ぼすリスクはあるものの、過去10年の円相場の平均である115円程度と比較しても、輸出企業の採算が一気に厳しくなる水準とは言いがたい。

  また、来年にかけて日銀が超金融緩和政策を修正するとの見方は株式・金融市場で浸透しており、その結果為替が円高方向に振れる可能性も既に多くの企業が織り込み済みだ。さらに日本企業はグローバル化や為替リスク軽減のため、徐々に海外へ製造拠点を移してきており、収益は為替変動の影響を受けにくくなっている。国際協力銀行によると、日本企業の海外生産比率は今年度の35.8%から26年度には37%に増え、過去最高を更新する見込み。

  BofA証券の圷正嗣チーフ日本株ストラテジストも「緩やかな円高であればそれほど問題はない」との見解だ。加えてドル安は、ドルの保有コストやドル建て債務の価値を下げることなどを通じ世界経済を刺激するため、「ドル安と適切で緩やかな円高であれば、悪い組み合わせではない」と言う。

昨年10月から今年1月の円高局面での日米欧アジアの株価 | ドル換算ベース



  実際、円高が日本株下落に直結するとのパターンは過去の遺産になりつつある。昨年10月20日から今年1月13日まで円が対ドルで17%以上急騰した場面を見ると、円は主要10カ国(G10)通貨の中で最大の上昇率となったのに対し、同期間の東証株価指数(TOPIX)は若干のプラス。ドル建てでは18%高と、米S&P500種株価指数の9.1%高を大きくアウトパフォームした。海外投資家から見れば、円高はむしろ日本株投資にプラスに働いた。

  トヨタ自動車やホンダなど自動車メーカーを中心に為替の影響を受けやすい企業が依然として多いことは事実だが、デフレからインフレへの転換の兆しやコーポレート・ガバナンス(企業統治)改革への期待、半導体市場の底打ち期待など現在の日本株市場には複数の買い材料があり、円高だけを理由に日本株を売るのは判断を間違える可能性がある。

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