米政権、プーチン氏巡る大統領発言で釈明に追われる-同盟国から異論
Tony Czuczka 2022年3月28日 7:25 JST ブルームバーグ
- プーチン氏は権力の座にとどまってはならないとワルシャワで発言
- 言葉や行動で事態をエスカレートさせるべきでない」-マクロン氏
バイデン米大統領が26日、ロシアのプーチン大統領は権力の座にとどまってはならないと発言したことを巡り、米政府高官は釈明に奔走している。訪問先ポーランドでのバイデン氏の発言に対し、欧州の同盟国は冷ややかな反応を見せ、ロシアとの緊張を一層高めたとの批判が聞かれている。
バイデン氏の驚くべき発言は、ロシアの侵略に抵抗するウクライナへの支持を訴えたワルシャワでの演説の締めくくりで出たもので、フランスのマクロン大統領や英政府はこれと距離を置く姿勢を示している。米政府当局者1人は、ウクライナの避難民から聞いた苦難の話にバイデン氏が動かされた可能性を指摘した。
プーチン氏「権力にとどまれず」とバイデン氏-米当局は体制転換否定
バイデン氏の欧州訪問前に実施された世論調査によると、ウクライナでの戦争への大統領の対応について、米国民の約70%はわずかかほとんど信頼していないことが示されていた。26日の演説で原稿になかった発言をしたのは賢明だったかどうかが問われる中、大統領の側近らは、米政府がレジームチェンジ(体制転換)を目指す政策を採用したわけではないと釈明した。
米国のスミス北大西洋条約機構(NATO)大使はCNNの番組「ステート・オブ・ザ・ユニオン」で、バイデン氏が演説前にワルシャワのスタジアムで避難民と面会したことを挙げ、「その日に聞いた話に対する信念を持つ人間の反応だったと思う」と語った。バイデン氏は26日の演説前に、プーチン氏を「虐殺者」とも呼んでいた。
ブリンケン米国務長官は27日にエルサレムで、大統領が伝えようとしたのは「ウクライナや他のどの国に対しても戦争を仕掛けたり武力で侵略したりする権限をプーチン大統領に持たせてはならない」ということだと説明した。
バイデン氏は、インフレ高進、ガソリン価格急騰、経済アジェンダの議会での行き詰まりなど、11月の中間選挙を前に国内の課題が山積している。そうした中で危険を招きかねないプーチン大統領との対立をさらにあおることはリスクを伴う。
バイデン氏の発言に対するロシア大統領府の公のコメントはほとんど出ていない。ただ、米国と同盟国はウクライナ侵攻をやめさせるだけではなく、プーチン政権の排除も目指しているとするロシア側の主張を後押ししかねないと、欧州の同盟国は警告した。
マクロン仏大統領は「言葉や行動で事態をエスカレートさせるべきではない」とフランスのテレビで発言。ザハウィ英教育相も、プーチン氏の将来は「ロシア国民が決めることだ」と述べた。
米外交問題評議会(CFR)のリチャード・ハース会長はツイッター投稿で、バイデン氏の発言が「難しい状況をさらに難しくし、危険な状況をさらに危険にした」と指摘。大統領はダメージの修復に動く必要があると述べた。
NBCニュースの世論調査によると、バイデン氏の支持率は欧州訪問前に過去最低の40%に低下。ウクライナ情勢に対するバイデン氏の対応を大いに信頼すると回答したのは12%にとどまった。80%余りはウクライナでの戦争が核兵器の使用につながるのではないかと心配しており、74%は米国がウクライナに戦闘部隊を派遣する可能性を懸念している。調査は成人1000人を対象に18-22日に行われ、誤差率はプラスマイナス3.1ポイント。
原題:
Biden Team Seeks to Temper Remark on Putin as U.S. Allies Object(抜粋)