銭湯の散歩道

神奈川、東京を中心とした銭湯めぐりについて、あれこれ書いていきます。

知られざる下水道の世界―東京都虹の下水道館(水の科学館③)

2021-07-08 07:45:00 | 博物館





基本データ
名称
東京都虹の下水道館

所在地
〒135-0063
東京都江東区有明二丁目3番5号 有明水再生センター5階

電話番号
03-5564-2458

開館時間
午前9時30分~午後4時30分(入館は4時まで)
*当面の間、開館時間は午前10時~午後4時となります休館日月曜日、年末年始
※月曜日が休日の場合は開館し、その翌日が休館となります。
※夏休み期間については、無休となります。
※下水道の日(9月10日)、都民の日(10月1日)は開館します。

入館料
無料


普段は、日常生活の中で多くの水を使い、排水を流しています。トイレ、シャワー、食器洗い等々。
その量は、1人あたりの一日平均が186リットルだそうです。
その排水はいったいどのようにして流され、処理されているのでしょうか。
日々お世話になりながら、一切見ることのない下水道という地下世界を今回は探検してみたいと思います



今回訪れたのは、江東区のお台場近くにある東京都虹の下水道館という場所です



立派な建物にビックリしました。こちらは有明水再生センターの建物になります。虹の下水道館は、その中の一部(広報機関)のようです



右の建物も水再生センターです



入り口では案内の女性が立っていて、虹の下水道館は5階にあると教えてくれました。ちょうど7階が新型コロナのワクチン接種会場になっていたので、それで立っていたのだと思われます



案内板もあります



5階に到着して、中から入り口方面を撮った写真になります。
エレベーターであがると、すぐ目の前にリケジョ(理系女子)っぽい若い女性スタッフが立っていて、挨拶のあとに検温、アルコール消毒をお願いされます。このへんは昨今のお約束ですね

入り口正面にあるのが、巨大な下水道管を模した投影機です。前に立つと自分の姿が水道管の中に映し出されます。バーチャル下水道管といったところでしょうか



奥に進むと、下水道のアルゴリズムを分かりやすく展示した模型がバリケードに囲まれてあります



関心を引いたのはこちら。
マンホール用仮設トイレです。
震災や天災などで自宅が住めなくなると避難所に身を寄せますが、その時に問題になるのがトイレです。
衛生面や数が足りないなど、多くの問題が発生します。それを包括的に解決できるのが、このマンホールトイレなのです。
なぜなら、マンホールから下水道へダイレクトに排泄できるからです。排水管も流す水もいりません。トイレットペーパーもOK。後処理の労力を最小限にとどめたシンプルなトイレなのです。
これが多く設置できるようになれば、災害時のトイレ問題は大きく前進します



排泄ぶつが堆積せず、救急経路を邪魔しない場所にあるなど、いくつかの条件がクリアされたところはマンホールに目印がつけられます



仮設トイレもシンプルな作りになってます



こちらは、下水道管の種類
下水道管と一口に言っても色々あり、見慣れたビニール管もあれば、頑丈そうな鉄製もあります



ドラえもんの世界では空き地の原っぱに下水道管が並んでいますが、ドラえもんが描かれて当時はまだ下水道管の普及率が低かったので、あのような風景が各地で見られたようです



水の貴重さを教えてくるパネル





水のうの使い方をレクチャーしていますが、あくまでも初期の対策であり、深刻な被害には手も足も出ないでしょう





合流式の下水道管を模型であらわしています。東京都や神奈川県は下水道整備が早い段階から進んだ地域だったので、合流式がほとんどを占めています。
合流式というのは、生活排水管の下水道管と、雨水だけの下水道管を一緒くたにするものです。分流式は雨水ならそのまま川に流す仕組みになってます。
武蔵小杉では一度下水道が氾濫して水浸しになったことがありましたが、下水道管は合流式なので、雨水と生活排水の混ざったものが街中に広がり、大騒ぎとなりました



水再生センターのコントロールルームを模したところです



コチラはお世話になってる微生物たちの名簿です





水再生のハイライトと呼ぶべき場所が反応槽と呼ばれるところで、そこでは投入された微生物たちが有機物を分解してくれます。
取り込んだ有機物で腹一杯になった微生物たちは、体重増加で沈んでいきます。
綺麗になった上澄みは、消毒を経て川へと流されていきます



微生物は、水再生のヒーローです。ありがとう微生物たち!



水再生の全行程



とりあえず最初は、ゴミを沈めます。どんどん細かいゴミも沈めていきます



下水道管はかならず傾斜していて、自然の流れに任せます。ただ、それだとずっと奥深くになってしまうので、ポンプで汲み取っているのです



そして水再生センターに運ばれた汚水は処理されて綺麗になって、川へと放流されます。むかしはこうした水再生センターがなくて、汚水は垂れ流しだったとか





ここはなんとミニシアターまであります



コンテンツも色々。長いもので20分近く。短いと10分もありません



アクリル板で下水道管の仕組みが分かるようになっています



こちらはアース君のお家。生活排水がどのように流れているのが分かるようになっています。
ちなみに、アース君のお家では、アニメによる下水道を紹介した動画が流れてて、YouTubeにもアップされていました。ちょっと長めですが、おもしろかったので見てみてください






普段は目に入らない世界ですが、こうした下水道を日々管理してくれる人たちがいるおかげで、清潔な毎日を送ることができます。
虹の下水道館を見学して、改めて下水道には感謝の念を抱きました